66話 救済方法
「とにかく今は世界樹が焼き払われずに済んだ事に素直に喜ぼう。まぁ……彼らもただ単純に世界樹を燃やそうとしていたわけじゃないと思うけど……。」
流石にそこまで馬鹿な真似はしないだろうと、サイネリアは思っているらしい。
しかし、相手は目先の争いのことで頭がいっぱいになっているかもしれない。
何をしでかすかわかったものじゃないのだ。
そんな切羽詰まった状況下の中、リズの頭に思い浮かんだことは、罪のない善良な人々を助けねばと言うことだった。
「何も悪いことをしてない人たちを助けなきゃ!」
「助けるって言ったって……。」
リズが勢いよく自身の気持ちをさらけ出した。
チェスはリズの方をちらと見て、戸惑いの含まれた声を出した。
『俺たちに何ができるんだ』とでも言いたげな表情だった。
しかし、リズはそんな視線に臆することなく
「何ができるかはわからないけど、何もしないだなんて無理!……そうだ!転送魔法を使ってみんなを助ければいいじゃん!」
「転送魔法を使えるのはお前の相棒のパームだけだぞ?」
リズたちがしっている情報だと、自分たちの中で唯一転送魔法を使えるのはパームだけだ。
1人しか使い手がいない中でどうしようと言うのか、チェスはリズにそう聞きたいのだろう。
対してリズは
「パームに魔法を使ってもらえばいいじゃん!そうすれば何もしてない、ただ巻き込まれただけの人を助けれるもん!」
「そんなのパムが過労死するパム!重労働反対!!」
パームがリズの方に駆け寄ってきて、前足でリズの足元をポカスカと殴り始めた。
リズが困惑していると、『まさかわかってくれてなかったのか』と顔に書いてあるかのような勢いでパームが
「転送魔法は便利だけど大量の魔力を消費するし、少なからず体力も消費するんだパム!人数によってそれも変わるし!」
「ごめん……でも、だったら魔法陣?だっけ、あれを使えば魔力消費量は少なくて済むんじゃ……。」
「いちいち魔法陣を描くのかえ?」
ラタムの鋭い声が、リズたちの会話に割って入ってきた。
「魔法陣は一度使うと消えてしまう。」
「あまり現実的じゃないと思うのだけれど……。」
ライサとルフィナも口々に否定する。
じゃあどうすればいいのか、リズは自分の記憶の中を探り始めたが……何も思いつかない。
「じゃあどうすればいいんだー!」
「カルセベルってやつを使えばいいんじゃないかな?」
リズの叫びを聞いたオスマンが提案した。
リズはさっとオスマンの方を向く。
「そのカルセベルってやつをもらって、カルセベルを使うための装置?を作ればリズの願いも叶うと思うんだけど……。」
「オスマン天才!」
リズの願いが無理じゃないことがわかり、リズは一気に元気を取り戻した。




