61話 次に行く場所
「え?ほ、本当にここサイネリアの森?」
「っ……。」
サイネリアの森は黒く焼け焦げで、リズたちが訪れた時のような美しさは一片も残ってなかった。
リズはひどく動揺して、本当にこの場所が美しい緑と澄んだ綺麗な湖があった場所だと信じることができなかった。
「どうやら僕たちがいなくなった後、確かめるためにも森を焼いたのかな……。」
サイネリアはそのブルームーンストーンのような瞳に怒りや悲しみを閉じ込めたまま、じっと森があった場所を見ていた。
ラタムやパーム、そしてアルフの瞳にも悲しみの感情があった。
「とにかく僕の忘れ物を取りに行こう。……ここからも早く去りたいし。」
サイネリアが歩き出したので、リズたちは何も言わず、ただ黙ってサイネリアの後をついていった。
ラタムとアルフを残しリズたちはその場を離れた。
ーーー
「よかった。湖はまだあった。」
サイネリアが目指していたのはどうやら森で一番大きい湖だったらしい。
サイネリアは徐に湖に近づき、頭を水面のギリギリまで下げて
「アスター」
と、一言呟くと、湖がボコボコと泡を立てた。
何事かとリズたちは思ったが、しばらくすると、丸くてみ空色の水晶玉のようなものが出てきた。
サイネリアの忘れ物はこのみ空色の水晶玉のようだ。
彼は出てきた水晶玉に触れ、何やらブツブツと呟くと……
次の瞬間、ネイビーと薄花色の光が辺りに広がった。
いつかどこかで見たことがある光景に、リズたちは少し心の緊張が解けた。
「この森に少し僕の力を分け与えた。通常よりも回復力が強くなるはずさ。」
サイネリアは頭を上げて、そのままみ空色の水晶を体の中に入れた。
リズたちがぎょっとしてサイネリアを見ると、彼は少し笑って
「この水晶玉の中には僕の魔力を閉じ込めておいたんだ。詳細は省くけど、そうしないとダメだったんだよ。」
「そうなんだ……。」
理由が気になったが、これ以上は聞くべきでない気がした。
リズは湧き上がってきた疑問をグッとこらえ、サイネリアに
「このあとはどうするの?」
「とにかくラタムたちの方へ戻ろう。」
サイネリアの足取りは、来た時よりも遅かった。
ーーー
「おぉ、戻って来たか。」
「僕たちがいない間何もなかったかい?」
サイネリアの問いに、ラタムはゆるりとした口調で
「何かあったらこんなに余裕そうにしていないわ。」
「それもそうだね。」
ラタムは狐の姿でつまらなさそうにしていた。
パームはそんなラタムの上にのてちて、アルフは少し離れていた。
「忘れ物は取れたのかえ?」
「あぁ。ただ、次にどこにいくかが問題だ。」
このまま森があった場所にいてもすぐに見つかってしまうし、かといって他の神獣のいる場所を知っているわけでもない。
リズたちが頭を抱え始めた時
<ラタム、聞こえているかい?>
嫌悪の神オーヴァリの使いであるニックから連絡がきた。




