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魔科学世界のリズ  作者: Luna(ルナ)
3章  神の使い
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52話  合流

「え?わ、私が…スパイ?」

「まさか自分が疑われるとは思っても見なかったという顔じゃな。」



ラタムの言ったように、リズはまさか自分が疑われるとは思っても見なかった。

リズは急に心臓の動きが早くなるのを感じた。



<いい加減にしてくれ。>



しばらく黙っていたサイネリアが声をあげた。

もう限界だったらしい。



彼は静かな、しかし、確かに怒りのこもった声で、リズとラタムを制止した。

ラタムはサイネリアが口を挟んでくることをわかっていたようで、特に驚く様子も、反発する様子もなく、少し微笑んだ後、何も言わずに一歩引いた。



<ラタム、今何処にいるんだい?>

「フェードの秘境にいる。これるか?」



リズは急に話を切り替えたラタムに動揺せざるをえなかった。

ラタムは先ほどのように皮肉のこもった声ではなく、淡々とした声になり、サイネリアと話し始めたのだ。




<夜中の方が警戒が強くなるから今向かうよ。>

「では青色の信号弾を上げておこう。何時が迷わんようにな。」



サイネリアはラタムの言葉を聞くと、通信を切った。

ラタムは息を吐き、リズの方を見た。



リズはラタムに見られたことで、また何か言われるのだろうかと、ドギマギしていた。



「汝がスパイではなさそうじゃな。」

「え?」



急に自分は敵ではないと認定された。

何処をどう見てそう思ったのかまではリズたちにはわからない。



「気を付けよ。敵は身近にいるかも知れんからのう。」

「わ、わかった?」



ラタムはため息を一つついた。

多分、リズが自分の言葉の意味をわかっていないことに対してだろう。



その後、リズたちはサイネリアが来るまでしばらくそれぞれの考えに耽っていた。



ーーー



「む?」



ラタムは空を見上げると、急に何かをぶつぶつと呟いた後、その場から青く光る玉が、空に向かって伸びた。



多分これが信号弾なのだろう。

信号弾を上げてしばらくすると、サイネリアがリズたちのいる場所から少し離れた、空いている場所に降りてきた。



サイネリアは無事着地に成功すると、リズたちの方へ歩いてきた。

サイネリアの背中にはオスマンも乗っている。



ソレイユはオスマンの姿を久々に見たからか、少し嬉しそうな顔をしていた。

サイネリアがリズたちのいる場所に到着すると、オスマンはサイネリアの背中から降りた。



「やぁ。久しぶりだね。」

「汝!何故妾からの連絡に出なかったのじゃ!?」



ラタムは狐の手でサイネリアをポカスカ叩いていた。

サイネリアは苦笑いをしていたが、少し嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか?



「本題に入るけど。」



少し戯れた後、サイネリアは真剣な声になり、話し始めた。



「人間界では戦争に向けて大改革をしてるみたいだ。」

「例えば?」



チェスがサイネリアに問いかけると、サイネリアは苦虫を嚙みつぶしたような顔で説明した。



「政府内で戦争に反対しているものを牢屋に入れてるみたいだ。とは言っても、僕はその場にいたわけじゃないから詳しくはないんだけどね。」



戦争に反対しているもの。

リズは自分の母親、エレンのことを思い出した。



今、母は元気にしているのだろうか?

もしかしたら戦争反対派であることがバレて牢屋に入れられてるのだろうか?



「僕の方はこんな感じだ。そっちでは何かあったのかい?」

「アルフを見つけたが、彼奴が無理難題をリズたちに押し付けてな……。」



サイネリアは『アルフ』と聞くと、少し嫌そうな顔をした。

サイネリアはアルフが苦手なのだろう。



「無理難題?」

「リズたちだけでフェードを説得させろとのことじゃな。」



ラタムの言ったことに、サイネリアは『それは確かに無理難題だなぁ』と、なんとも言えない顔になっていた。



サイネリアはしばらく考えるそぶりを見せた後、リズたちに尋ねた。



「リズ、フェードを説得する方法はあるのかい?」

「フェードたちの大切なものを修理してあげれば説得できると思う。」



サイネリアは特に反応することもなく、リズに続きを促した。

リズは続きを話し始めた。



「フェードたちは人間を近づけないために霧を発生する道具があるみたい。あと、えーっと……。」



リズは問題となっているもののこと以外、あまり覚えていなかったらしい。

見かねたチェスが助け舟を出した。



「その機械につけられてる所詮魔石と言われるものの耐久力が残りわずからしい。それを持って行って警戒を解こうとしてるんだ。」



その後も大方のことは話した。

サイネリアは説明中、一言も話すこともなく、黙って説明を聞いていた。

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