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魔科学世界のリズ  作者: Luna(ルナ)
3章  神の使い
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50話  味方と敵

「サイネリア!連れてきたよ!」



ハアハアと、息をきらせながら、サイネリアにラタムとパームを連れてきたことを言う。

サイネリアからの声は聞こえない。



リズは一瞬、不安に思ったが、少しするとサイネリアの声が聞こえてきたので安心した。



<ありがとうリズ。ラタム、パーム、聞こえているかい?>

「聞こえてるパム。」



「あぁ、聞こえておるぞ。」

<単刀直入に言うよ、僕の森が人間たちに攻撃された。>



張り詰めた空気が辺りに広がっている中、ラタムとパームの間にも切迫した空気が流れた。

2人は『信じられない』とか、『遂に来たか』と、それぞれの反応を見せていた。



<今どこにいる?できれば合流したい。>

「まて、汝の森にいたオプティルトたちはどうしたんじゃ?」



そうだ、サイネリアの森には少なからずオプティルトがいた。

彼らはどうしているのだろうか…



<一時的にオプティルトたちの村で過ごしてる。村長のグレイから許可は得た。>

「汝はどうしているのじゃ?」



オプティルトの村、リズたちが人間界を脱出した時一番最初に訪れた場所だ。

サイネリアの森のオプティルトたちは村にいると言っているが、あの村はそこまで広くなかったし、サイネリアが隠れられるような場所もない。



そんなところにいて大丈夫なのだろうか?



<村に僕が隠れられる場所もなければ、食料的余裕もない。僕はエルフの森にオスマンと一緒にいるよ。>

「まて、そのオスマンとは誰じゃ?返答によっては汝の近くにいる人間を始末せねばならん。」



ラタムがスピネルと同じように、始末と言ったことでリズたちの間に戦慄が走った。

自分たちの親友が信じられないのかと言いたくなる思いを、リズは危うく口にしそうになったがグッとこらえた。



流石にリズにもわかったのだろう。

ラタムが見たのはリズ、チェス、レオ、ソレイユ、先ほどラタムたちを連れてきたときに会ったキキョウだけだ。



ラタムと会った時、オスマンはその場にいなかった。

もしかしたらサイネリアが善意で保護して、それがサイネリアの居場所を密告している可能性だってある。



自分がオスマンをかばうようなことを言っても効果はないだろう。

第3者が何を言っても聞かれないだろう。



<オスマンはリズたちの友達だ。ラタムのいた天界に行く前に預かっていたんだ。>

「リズ、いつからそのオスマンという者と連んでいた?」



質問の回答権はリズに移った。

急に話を振られ、リズはドギマギしていたが、誰も助けてくれそうにない。



今この瞬間、リズは1人でラタムにしっかりと真実を伝えなければならない。

息を大きく吸い込み、リズは自信を持って



「私たちが普通に暮らしていた頃からの友達、オスマンがサイネリアの居場所を言うはずがない。」

「その証拠は?妾は其奴のことを知らぬ。故に本当に信頼していいのかもわからぬ。」



ラタムが目を細め、リズに証拠を出せと言ってきた。

これが真実だ、他に言うことは何もないと思いながらも、それを口に出したところでラタムはさらにオスマンのことを警戒するだろう。



もしかしたら、警戒の矛先がリズたち4人にも向くかもしれない。

張り詰めた空気が辺りを支配した。



プレッシャーがかかってくる中、リズはどのようにことを進めるのが良いのかわからなくなってきた。

ラタムは相変わらず目を細めたまま、少しずつリズたち4人にも疑いの目をかけ始めていた。



「サイネリア、其奴が人間から送り込まれた駒ではないと言い切れるのかえ?」

<それはないよ。彼は色々と複雑な事情で人間界には帰れないんだ。>



「何か罪でも犯したのかえ?ならばその罪を免除してやるから諜報員として汝の元に行ってこいと言われたのかもしれぬぞ?」



ラタムの仮説を聞き、ソレイユがその仮説を否定した。



「それはおかしいわ!私たちが脱出する前にオスマンに色々とあったから私たちの脱出が早まったんだもの!」

「本当は半年かけて脱出準備を整えるはずだったんだ。ソレイユの言っていることに間違いはない。」



チェスがソレイユを援護するように言葉を発した。

そもそもこれは本当のことなのではっきり嘘ではないと言える。



「だから其奴が味方とは限らないぞ?」



ラタムの言葉にソレイユは目を見開き、チェスは顔をしかめた。

しかし、リズはなぜ味方とは限らないのかわからなかった。



ずっと自分たちと行動を共にしていたし、野宿などをするとき交代交代で見張りをつけていた。

その見張りも2人ずつ行うことにしていたので、もしオスマンがスパイだったとしても連絡を取れる時間はなかったはずだ。



「でもオスマンが仮にスパイだったとしても連絡を取る時間はなかったよ?それでもまだ敵だと思うの?」

「あぁ、直接連絡を取らずとも話すことは出来る。最も、やり方が面倒じゃがな。」



リズはあまりの信用のなさにがっくりと肩を落とした。

ラタムは尚も目を細め、今度はリズたち4人を警戒対象に入れていた。


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