閑話 不登校
ハルがイジメで登校を拒否した。
と、朝、スマホに妻からメールが届いた。
悲しいやら悔しいやら、怒り憤り、受け止めきれない感情が心にあふれた。
飲み込めない。
どどどどっ、どうしよう!
オロオロするばかり。
突然、お気に入りのWeb小説が読みたくなった。
おかしい。
なぜ、このタイミングでWeb小説なんだ?
不登校の我が子に真っ直ぐ向き合うのが怖くて逃げてるんだ!
その事実に愕然となる。
自分の心は、なんて弱いんだろう。
一個250円もする米屋の梅おにぎりを食べさせて、自分の心を懐柔する。
これ食って力を出して強くなれ!
梅おにぎりうまぁ~
飲み込めない感情は、美味しいもので、流し込むにかぎる。
食べ物が美味しく感じられれば、大丈夫だ。
家に帰り、家族全員がテーブルに座って、ハルの話しを聞く。
うん。溝に突き落とされそうになったんだね。
うん。嫌なこと、いっぱい言われたんだね。
ハル。ママが先生に事情を話してくれたからね。
だから、先生に言えば、すぐにパパとママに連絡が来て、すぐに駆けつけるから。
だから、辛かったらいつでも家に帰ってこれるよ。
だから、明日は、試しに学校に行ってみないか?
辛かったらいつでも逃げていい。逃げたって死ななきゃハルの勝ちだ。
どうだろう? 明日、学校に行けるか?
ハルは、どこか安心したように頷いた。
不登校を叱って、危険に向かって追い立てるのではなく、安全な、いつでも逃げ込める避難場所を用意してやって、自分から冒険させる。
パパはーーーオレはハルの保護者なのだから。
そういうことがあってから、ハルは毎日、休まず学校に行っている。
やっぱりハルは冒険者ーーーパパの勇者様だと思う。
毎朝「行きたくない」と、泣き言を言ってママを困らせてるけど。
 




