常識
今日は常識について話そう。
ハルは言葉を話せるよね?
ん? そんなの当たり前だよだって?
うん、常識だからね。
でも赤ちゃんの頃は話せなかっただろう?
どうやって話せるようになったの?
ん? 自然に話せるようになったって?
うん、見て聞いて、時に手で触って感じて、周りの人の真似をして、時に教えてもらって勉強して話せるようになったんだよね。
結構、大変じゃなかったかい?
ん? 小さい頃のことだから覚えてないって?
ははは、そうかそうか。
特別じゃない普通の日常ーーーいつも通りって記憶に残らないよね。
常識は身についたクセだからね。
じゃあ、質問を変えるね。
ハルは外国の言葉を簡単に話せるようになれるかい?
その国で生まれて、その国で育ったんじゃなければ難しいんじゃないかな?
その国で生まれ育った人は、日常でその国の言葉に慣れ親しんで身につけたんだね。
こうやってね、慣れていけば、大変なことが当たり前の普通のことになって行くんだ。
この、大変な困難に慣れて当たり前の普通のことになっていくのが常識のできかただよ。
慣れは困難を普通にする。
慣れによって、困難を、いっぺんに飛び越えることができるんだ。
これにより、同じ常識がある人同士は、1から10まで説明しなくても心が通じあうことができるんだ。
いつも通りが、人を大いに助ける。1から考える必要がなくなるから。
常識とは思考の短絡回路なのだ。
考えなくても分かる。考えなくても分かりあえる。考える必要もなく、答えが決まりきっている。
常識は日常の考える力の負担を大きく減らしてくれるんだ。
日本語を知らない人とお話しするのは大変だろう?
どうすれば通じるんだろうって、いっぱい考えなくちゃいけない。
常識の中にはね、乗り越えた長年の苦労や困難が詰まっているんだよ。
その人の人生が歴史になって入っているんだ。
常識を解体すると、そこには、その人が乗り越えた苦しみーーー困難がある。
だからね、常識には、それを身につけた苦労に敬意を払うんだよ? 丁寧に大切にしてあげてね?
けっして、粗略にーーーどうでもいい、つまらないもののように扱わないように。
常識はその人が歩んだ人生の歴史なのだから。
でも、気をつけてね?
常識は人を助け、楽にしてくれる。しかし時に人を苦しめるんだ。
常識の成り立ちから分かるように、常識は育った時と場所、そこに暮らす人で変わってしまう。
時と場所と人が変われば、常識がはずれてしまう。
でも自分は自分の常識からはずれてしまうのは悪いことだと思ってしまうんだ。
悪いことをする人は罰を受けなくてはならないと思う。思い込む。
常識はずれは心苦しいものなんだよ。
常識の違う新しい環境に入り込むと、相手に大変な負担をーーー苦労をかけてしまうことになってしまう。悪い。
ん? そんなのしょうがないじゃんだって?
それを苦労をかけてしまう相手に言えるかい?
現実の異世界転生は、ラノベの異世界転生とは違うよ?
苦労をかけても「しょうがないなあ」って、許して育ててくれる、親のような人に出会えるといいね。
感謝して苦労して勉強して、常識を身につけて、役に立てるようになりなさい。
きっと、そこには、笑顔がある。
ん? パパも常識の習得で苦労したのかだって?
今、その真っ最中!
パパの会社、定年退職が多くてベテランがいなくなることが多いんだけど、
「ベテランがいなくなったら仕事のできる人がいなくなって会社がつぶれると困る」
って言って、頻繁にーーーしょっちゅう、何度も人事異動があるんだ。
早ければ1年、遅くても10年で職場が変わるんだ。
人が替わっても技術や経験による知識が充分に受け継がれて会社がなくならないように、いつも従業員を訓練させておくって。
だから、パパは、いつまでも新人で、その職場の知識を身につける訓練ばっかりしているよ。
だから、常識を解明し、明文化ーーー文章にしてしまうことには慣れてるね。
ん? 何度も異世界転移を繰り返す勇者みたいだって?
うん、とても共感する。
この常識というものは、現代魔法と精霊魔法の成り立ちのひとつでもあるんだ。
精霊魔法によって得られた真名。
その真名を捕まえる過程をーーー途中をすっとばして、真名だけが、呪文として存在化してしまう。
真名だけを聞いて、どうしてそうなるのか分からないけれど、そういうものだととらえる。
このようにして、現代魔法になってしまう精霊魔法もあるのさ。
現代魔法になってしまった精霊魔法は、真名にたどり着くまでの道筋、存在の精神と言葉の精神をつなぐ接続線である精霊が消えてなくなっているんだ。
精霊の接続線の切れてる言葉を「魂の入っていない言葉」と言う。
だから、他の現代魔法のように、時や場所、使う人で意味が変化しちゃったりするんだよ。
常識は、誰にとってもそうであるもの、理ではないんだよね。
常識は、理性でとらえるものではなく、感性でとらえるものだから、言葉にできない。
ん? 自分じゃない他人の生きてきた苦難の歴史なんて、自分とは、なんの関係もないんじゃないのだって?
その通りだよ?
でもね?
その言葉を誰かから、自分に言われたらどう思う?
じゃあ、外国の人が、
「お前が苦労して身につけた日本語は、こっちにとっては、なんだかよく分からない、どうでもいい、つまらないものだから、今日から外国語を使うように」
って、言われたらどう思う?
あまりにも情けない話しだと感じないかい?
自分で考えて出た答えと、自分達で考えて出た答えは違うから、注意してね。
だからって、自分の答えと自分達の答えのどちらかが、どうでもいいつまらないものではないけどね。
自分達が大切なのは、それを作っているひとりひとりの自分が大切だからなのだから。
自分も自分達も、どちらかをなくして存在できない。
2019年7月27日 修正
2019年7月28日 追記
2019年11月18日 追記
2019年11月20日 追記
2019年11月21日 追記




