友達
一ヶ月と少し空いてからの投稿となります
作者自身、夏期休暇には入ったのですが、毎日忙しいです。
なので出来る限り投稿したいと思いますが、基本的には一ヶ月毎にします。
こんな作者ですが、よろしくお願いします(^o^ゞ
それは唐突に起こった。
響き渡る悲鳴。その直後に起こる混乱。
そんな中て弥嗣は顔を上げた。担任の宮下が生徒に落ち着かせるように声を上げているが、それは混乱した生徒達に届かない。
そんな時、状況を知らせるアナウンスが校内に響き渡った。
『――現在、連続殺人犯が校内に侵入!!生徒は教師の指示に従い、速やかに避難せよ!!繰り返す!!速やかに避難せよ!!』
焦った声はそう告げ、放送は切れる。
状況を知り、ますますパニックに陥る生徒に宮下はバンッと教卓を叩いた。生徒達の視線が集まる。
「聞け、今はパニックになっている場合じゃない!!俺の指示に従って避難するんだ!!」
宮下は真剣な表情でそう告げた。それで幾分かは落ち着いたのだろう。その様子に宮下は頷き、次の指示を出す。
「まず、俺が出るからその後に続けて――――っ!?」
宮下の言葉は途中で止まった。教室のドアが開けられ、四十代ぐらいの男が姿を現したからだ。
こんな男は学園関係者にはいない。宮下はすぐさま、魔法陣を構成しようとする。だが――――
「――――動くな。生徒に危害を加えられたくなかったら魔法も使うな」
ここに来るまでの間に構築はされていたのだろう。
男の前には構築された魔法陣とそれの上に浮かぶ、矢が現れていた。
「っ!!わ、わかった」
自分よりも早く構築された魔法に宮下は構築しよう
としていた自らの魔法陣を消す。
教師として生徒を危険な目に合わせる訳にはいかなかったからだ。
「それでいい」
抵抗しないと分かり、男は満足そうに頷く。
その後、生徒と宮下は窓際に集められた。勿論、その中には弥嗣の姿もある。だが、弥嗣は片手で頭を押さえ、苦しそうに息を吐いていた。俯いている為、その表情は確認できない。
いつ殺されるかわからない、という緊張感で誰も弥嗣の異変には気づいていなかった。
男は恐怖に怯える生徒達を見渡し、ただ一人俯いている弥嗣を見つける。
「おい、そこの俯いている男の生徒。顔を上げろ」
弥嗣にその言葉は届いていた。しかし、顔を上げない。顔を上げてはいけない理由があるのだ。
だが、そんな理由など露知らず、男は自分の命令に従わない弥嗣に強い不快感を感じ、怒声を上げる。
「顔を上げろつってんだろ!?殺されたいのか!!」
脅迫に対しても弥嗣は顔を上げない。男の怒りが頂点に達し、男の目の前に魔法陣が構築されていく。
その徐々に構築されていく魔法陣をみて、誰もが殺される、と思った。
その時。
――――ガシャァァアァァン!!
凄まじい音をたてて、窓が割られる。それと同時に窓際に集められた生徒と宮下に防御魔法がかけられた。
その音に動揺し、男の構築していた魔法陣が乱れる。
「今だ!!行け!!」
そんな言葉を合図に窓を飛び越えて教師たちが男に詰め寄り、魔法で拘束する。それはあっという間の出来事だった。
生徒達を守っていた魔法も解かれ安堵の声が響く中、今なお頭を押さえて苦しそうに息を吐く弥嗣に駆け寄る影があった。
「弥嗣!!大丈夫か!?」
暫くは聞いていなかった、だが聞き慣れたその声に弥嗣は顔を上げた。
「義哉………?」
その視線の先にいたのは慌てた様子の義哉だった。
義哉はA組に所属した筈だった。なのに何故、こんなところにいるのか。
「何故……ここに?」
「先生たちに犯罪者がD組に侵入したって聞いて、俺が協力を申し出たんだ。友達だろ!!」
“友達”――――その言葉に弥嗣は胸が暖かくなるのを感じた。
「それより、弥嗣!!痛いのか!?」
義哉は弥嗣の様子がおかしい事に気づいていた。頭を押さえ、苦しそうに息を吐く弥嗣はそんな義哉に口を開く。
「心配……してくれるん…だな」
「当たり前だろ!!」
裏表を感じさせない義哉の言葉に弥嗣は決意を込めた目を義哉に向けた。
「詳しい事は…後で話す……だから、今は誤魔化してくれ……」
弥嗣の言葉に真意を見いだした義哉は頷く。
それを最後に、弥嗣の視界は黒く染まっていった。




