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目覚めたブランカ

短いですけど、久しぶりですけど・・・。

会話ばっかの文章ですけど・・・。

言い訳ばかりですね・・・。

ゆっくりと瞳を開けた。

誰かが与えてくれた温もりがまだ自分を包んでいるようで、あの時のような言い知れぬ不安感や恐怖心は薄れていた。

「ここは・・・。」

明らかに自分の屋敷とは違う部屋だった。

分厚いカーテンが引かれているため薄暗いが、部屋の広さと調度品の豪華さ、上品さはブランカにも分かった。


大変な目にあった。


自分と言う存在は蔑ろにされた。

辱められた。

生きていても仕方ないほどの衝撃を受けた。

それなのに、今、自分は生きていた。

「なぜ?」

悲しくて、辛くて。

どんなに貧乏でも必死で耐えて頑張ってきた、生きてきたのを一瞬で壊された思いだった。

それなのに、今生きていて、受けた傷口には薬が塗られているように感じた。

癒えることはないだろうが、優しい薬を誰かが塗ってくれたような、そんな安堵感は感じていた。


コンコンとノックがされた。

「はい。」

返事をすると扉が開いて、夜会で見かけた貴婦人が入ってきた。

「気が付いて?」

優しい微笑みの夫人はブランカに近寄るとそっと彼女を抱きしめてくれた。

母と同じ優しい温もりを感じた。

もちろん、母よりも高級な生地のドレスと香りが彼女からはしたが、伝わってくる温もりは信じられると感じた。

けれど、今朝感じた温もりとは違う・・・あの温もりは誰?

「無事でよかったわ・・・もし、あなたに何かあれば、マグリットに申し訳が立たないもの。」

夫人は、ジオン・クラインハイブによく似ているなとブランカは思った。

服を着替えるのを手伝ってもらい、二人で連れ添ってダイニングルームへと向かう。

「うちの人と、ジオンはお仕事なの。」

部屋には、これまたジオンに似た少年が居て、駆け寄ってきた。

「姉様・・・よかった。お目覚めになられたのですね。」

にっこりと笑う少年は天使のようだった。

「あ、姉様?」

「はい。ジオン兄様と御結婚なさるんでしょう?だったら、僕にとっては姉様です。僕、姉様が欲しかったから、とっても嬉しい。」

絶句するブランカを見て、夫人が少年を嗜めた。

「こら、聡明なブランカが容易く返事をするわけがないでしょう?」

「あ、あの・・・。」

「いいのよ、ちょっとは、焦らしてやんなさい。男と言うのは我慢が足りないのです。」

自分の置かれた状況がよく分からないが、和やかに朝食は終了し、ブランカは自身の屋敷への帰宅を申し出た。

「貴方の屋敷には今、何方も居ないわよ。」

「えっ?」

「皆さん。マグリットの元へと一度戻ったみたい。」

「領地へですか?」

「ええ、アシュットバル男爵と、マグリットから、ほら、貴方を頼みますって言うお手紙を貰ってるの。だから、今現在の貴方のお家はここよ。私をお母様だと思って甘えて頂戴?」

娘が欲しかったから嬉しいのと可愛らしくはしゃぐ夫人。

ブランカはただ、ただ戸惑うばかりだった。



つづく

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