魔導具の授業と新しい事
皇女様からメールが来たので開くと「船を見に行きました」と書いてあり、その後にも感想とかを書いてありました。
そして詳しい打ち合わせをお父さんとしたと書いてあった。
相変わらず動くのが早いよね。見習わないと。
本日は選択授業の日なので1時間目は酪農ですが、牛さんの世話をしてから、ミルク搾りの実習をしています。
これ結構疲れるよね。でも牧場では褒められたからちょっとだけ調子にのっていますよ。
それと私達は授業の時だけの作業だけど、酪農家では大変な仕事だよね。
確か前世ではミルクを搾る機械があったはずだよね。ちょっと考えてみようかな?
「ホーデン様どうかしたのですか?」
一緒の授業を受けている女子に聞かれた。
「ミルクを搾る魔導具が有れば酪農家の方は少し楽になるのかな? と思って」
「そんな事出来るのですか? もし有れば欲しいです。
仕事が楽になるのと、他の事ができます」
「そうだよね。少し考えてみようかな」
その内男子の2人も話しに入って来て盛り上がってしまった。取り敢えず考えてみよう。
◆
2時間目は魔導具の授業で、ジェミニさんやフソウ国組と一緒です。
「男爵様どうかしましたか? もうすぐ授業が始まりますよ」
ケターダさんに声をかけられた。
「ちょっと考え事してた。酪農の授業をやっている時に魔導具を思いついたのだけど、どの様にやろうかな? と考え中です」
「また思いついたのですか? 先日の学園祭用の甘味でもやっていませんでしたか? エマーダの従姉妹が言っていましたよ。今度は何ですか?」
「牛の乳絞り機で、絞り方はわかるからそれをどの様にやるのかを2種類から検討している所」
「それはどの様にやるのですか?」
「1つ目が直接・・・んん。言わないよ。危うく言いそうになったよ。提出用にするかもしれないから言わないよ。出来ない場合の保険も1つ有るけどね」
「残念。あっ講師が来ましたね」
授業が始まりましたが、今年もフィット講師が担当です。
「魔導具の授業を始めて1年半程経ちましたが、この中で実際に製作をした人は挙手をして下さい」
6人が挙手をしていた。
「その中で企画や仕様書作りをやった人のみそのまま手を挙げといて下さい」
エマーダさんのみだった。
「下ろして下さい。企画や仕様書を作った人は挙手をして下さい」
私は挙手をしたが、他にはいなかった。
「下ろして下さい。ホーデンさんだけの様ですね」
その後魔導具作りをした男子生徒から感想等を聞いていたが、仕様書と言う物が無く、発注者が口頭で話して魔導具師がメモ書きして終わるそうだ。
そして製作して修正、また修正と何回も作り直しているそうだ。途中での打ち合わせも無くリテイクばかりでは見積りも高くなりそうだね。
「ホーデンさんは企画や仕様書作りはどの様にやっていますか?」
「はい、企画は私が作りたい物を提案しているだけです。
仕様書に関しては口頭では無く、必ず書面にしており、必要なら絵や図解等を入れており、実際に魔法を使っての実演もしています。
仕様書を作った後は必ず魔導具師と打ち合わせをして、出来る出来ないを確認しており、出来無い場合はどうすれば出来るのかを魔導具師と一緒に考えたり、魔導具師の意見を入れてより良くしたりしています。
この方法だとほぼリテイクが無いので短納期で製品単価も安くできます。
リテイクが多いとその分の人工代が高くなります。
私が頼んでいる魔導具の工房では仕事がしやすいと言われています」
「ありがとう、ホーデンさんは魔導具師との信頼関係をより良い方向に行っていますね。
今ホーデンさんが言った様に書面にすることは大事です。そして発注者が言った事だけでは分かりにくい事もありますので、必ず話し合いを持って自分が作り易い環境を整えて下さい。
例えばですがある商品を作りました。
ホーデンさんのやり方で1週間で出来ました。勿論リテイクはありません。
男子生徒のやり方でやるとリテイクが数回有るので2週間かかりました。
そうするとホーデンさんと比べると1週間余分にかかっていると言う事ですので、その分の工賃や材料費等が上乗せとなります。またホーデンさんは1週間早く終わらせているので別の案件の仕事ができます。
お客様は2つを比べた時にどう思うのでしょうか? 全く同じ商品なら短納期で値段が安い方を選びます。まぁ事情が有る場合は別ですけど。
今話した事を良く考えてみて下さい。貴方達の将来に関わる事です。
あっ時間の様ですね、今日は此処迄とします」
授業が終わるとケターダさんが来ました。
「リンダ師匠の所で男爵様の仕様書を見させてもらったのですが、本当に分かりやすかったです。
仕様書だけで商品のイメージが出来ました。
それに絵が可愛いです」
「う〜それ、レシピの時も言われた」
「仕様書を書く時にコツとか有るのですか?」
「できるだけ誰が見てもわかり易くしているだけで、物によっては細く書くのとイメージしやすくする位かな?」
「参考になります」
「いえいえ、そろそろ提出物を決めないと間に合わないよね。早目に決めて試作しようかな?」
「そうですね、私もそうします」
その日の授業が終わり部活に顔を出すと下級生の2人(エマーダさんの従姉妹さんと南部の子)が話しをしていた。
「どうしたの?」
「あっ男爵様、彼女の領地の特産品の事で話していました」
「そうなんだ、何か良いものはあったの?」
南部の子領地は農業が主で特にさとう大根を主に作っていて一部でブドウを作っていると言っていた。
「ブドウを作っているならワインとかレーズンが出来そうだよね」
「セリカ様、ワインは細々ですがやっています周辺の領にも出荷はしてます。それでレーズンとは何ですか?」
「干しブドウの事だよ。家ではパンに練り込んだりドライカレーに入れたりしているよ」
「「ドライカレーって何ですか?」」
2人が大きい声で言って来た。あ~耳が痛い。
「カレー味の炒めたご飯だよ。ホーデン領内ではレシピ公開されてるけどね」
「美味しそうです。男爵様作って下さい」
「そこは自分で作らないと。フソウ国の領事館がホーデン領にあるから、そこからレシピが入手出来るはずだよ。それとワインだけどちょっと変えると別のお酒が出来るよ。家の領ではワインを作って無いからね」
「よろしければ教えていただけませんか?」
「良いけど私も作った事はないよ。概略を知っているだけだよ。それともし本気で作るなら辺境伯家を巻き込んだ方が良いよ。ついでに家も」
「そうなのですか?」
「物が物だから高位貴族を後ろ盾にしないといちゃもんをつけられるからね。3家合同でやろうか」
「良いのですか?」
「良いの良いの。叔父様とお父さんに連絡を入れよっと。また面白い事が始まるよ」
その後にワインを使ったお酒とワインを作る時に出た搾り滓を使ったお酒の話をしたのだが、2人共驚いていた。
「フソウ国にはないですか?」
「有るよ。まだ決まってはないけど皇女様と話し中」
併合した隣国の港町で見つけたホップの話をしてそれがお酒の材料になる事を言った。
◆
寮に戻ってからお父さんと叔父様に今日の事をメールをした。
新しい事はワクワクするよね。お父さん達はどう動くのかな?
ご覧いただきありがとうございます。




