表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DRD ~転生者が多すぎた~  作者: ふすま
第1章:転生者が多すぎる
19/102

第019話:とあるならず者の受難録

 五十嵐優(いがらしゆう):ゲーム中の主人公。仲間思い。

 柳伸(やなぎしん):五十嵐のルームメート、女性主人公の場合攻略対象の1人

 吉野織姫(よしのおりひめ):ヒロインの1人、世話焼き体質であり、五十嵐の幼馴染ポジ

 三島風音(みしまかざね):ヒロインの1人、曲がったことが嫌いな性格、刀術道場の娘

 日陰忍(ひかげしのぶ):ヒロインの1人、目隠れ美少女、千鶴と同室

 三段崎千鶴(みたざきちずる):物語の主人公。弓道家、薙刀も多少心得はある


 ■BP(バッファポイント)


 これが残る間は痛み、衝撃はあるが傷一つ付かない。体の15か所に分散するため実際の値よりも少ない。


 ■LP(ライフポイント)


 BPが無い部位にダメージ受けるとLPにダメージを受けるようになる。出血したり骨折したりするようになる。


 ■EMP:


 装備MP、パラメーターの1つ。ダンジョン由来の装備には全て必要EMPが定められている。


 装備品全て(着用はもちろん手に持っただけでも装備と見なされる)の必要EMPの合計が自身のEMPを超えて装備することはできない。


 無理に装備すると装備品全ての効果が著しく減少する。EMPは所持する称号数×5+5


 ■突撃ウサギ: レベル3 危険度D


 体長約40㎝とウサギの中でも大型。両耳の間に硬質化した固い頭皮があり、これを前にして時速40㎞の速度で突撃(頭突き)してくる。


 耳はかなり柔軟で通常はやや左右斜め前に向けられているが、突撃時は真後ろに閉じられる。



 初心者キラーとして恐れられる存在、性格は非常に好戦的でその長い耳で探索者を探し出し、鳴き声1つ出さずに近づき、魚雷が如く突っ込んでくる。


 3層への道を歩いていれば襲われることほとんどないが、絶対ではないため注意が必要。



 倒すと土魔石の他に『ウサギの毛皮』、まれに『突撃ウサギの頭皮』という硬くなった頭部の皮を落とす。


 毛皮は普通の毛皮として、頭皮は肘や膝のガードとして扱われる。ケブラーに代表されるアラミド繊維系の方が効果は高いが有効期限はこちらの方が長い。


 毛皮は質が良いため日本に出荷されるが、頭皮は探索者向けの防具が主な利用先となる。


 稀に探索者とのコラボ商品として頭皮を使ったジャケット等が日本で販売されることもある。



 頭部が硬質化しているのは雄のみであり、ダンジョンでも雄しか出現しない。


 DRDで何匹もの雄を召喚してくる雌ウサギというレアモンスターが企画されたことがあったが却下されている。

「さて、せっかくだし他も見て周ろうか?色々面白いもの売ってそうだし」(白雪)


「時間は大丈夫っすか?」(陽子)


「16:00位ですね」(千鶴)


「ま~門限があるわけじゃないけど17:30位には帰るか」(加藤)


「そだね」(白雪)


「とりあえず武器見に行きたいな」(加藤)


「ぼ、僕も」(七森)


「私もそっちについて行くにゃ」(ミーナ)



「うんじゃ私は適当な小物でも見に行くかね」(白雪:ガスマスク)


「その格好で行くの?」(加藤)


「どうにも視線が痛いんだよね」(白雪)


「別の意味で視線を浴びそうっすね」(陽子)



「おーけー私も被りショー。視線が分割されまーす」(メリッサ:ガスマスク)


「「ならば私達も」」(愛宮姉妹:ガスマスク)


「「「「友情!」」」」(ガスマスク×4)


「その勇気がすごいっす」(陽子)



 七森も頷いている。

 

 SKハンズには当然武器屋も存在する。



「武器屋って聞くとなんかわくわくするよな」(皆川)


「あーわかる」(長谷川)


「新しい街に着いたらまず行くのは武器屋だしな」(加藤)


「うんうん」(七森)


「実際買えなくてもなんかテンション上がる」(黒田)


「わかるわかる」(皆川)


 

 DRDでのSKハンズは武器の売り買いが出来た。しかしこちらでは販売のみで売却は出来ないようだ。


 入り口に”当店で買い取りはしていません、売却は探索者センターへお願いします”と注意書きに書かれていた。



「こう、細かい所がゲームと違うよな」(加藤)


「確かに」(皆川)



 武器屋はまさしく武器屋だった。何故か内装まで拘っており、まるでRPGの武器屋のごとく木造風に内装が仕上げられている。


 さらにカウンターには凡そ(おおよそ)人が持てない大きな斧と剣がクロスされて飾られ来客の雰囲気を盛り上げに来ている。


 店員さんも筋骨隆々で厳ついおっちゃんが繋ぎを着て腕組みしている、須藤といい勝負だ。先程の頭部装備の店は客がまばらだったが、武器屋は盛況している。

 


「「「おおおー」」」


「「「すげー」」」


 

 加藤達もテンションマックスだ。武器も剣、刀、槍、薙刀、戦鎌、斧と様々な種類の武器が長さ順に並べられている。



群水刀(ぐんすいとう)?って何?」(加藤)


「さぁ?」(長谷川)


「大正時代に宮口(みやぐち)竹雄(たけお)さんが開発した群水鋼で打たれた刀で良質な鋼を開発するために最も良好な鉄は日本刀、玉鋼であることからそれを科学的に作成しようと玉鋼の組成を科学的に解析して電気爐(でんきろ)でそれを作成あ、電気爐は通常アーク炉を使うんだけど凄い所はその爐を自分で作った所で宮口式電気爐を使って従来のたたら製法よりより簡単で同じ組成の鋼を造ったそれで打ったのが群水刀他にもタハード鋼で造った耐寒刀や満鉄で造った満鉄刀大戦中では海軍用にステンレスで打った刀耐錆鋼刀(たいせいこうとう)だってあったよ」(七森)


「あ、はい」(加藤)


「お、おう」(黒田)



 引く男性陣をよそに七森は満足気だ。



「無理に理解しなくていいにゃん」(ミーナ)



 基本的に売られている武器は刀も含めて工業生産品だ。


 こちらの世界でも刀匠が玉鋼を使用して打たれた物は装飾品としての価値が高く、貴族もダンジョンで使う武器はダンジョン由来の鉱石から作られた群水鋼などが使用されている。


 工業刀が多いが、オーダーメイドだと名のある刀匠が作ることになる。



 SKハンズに並ぶ商品も、赤鉄鉱、磁鉄鉱(砂鉄)合金等、材料も工法も様々な物が売られている、当然同じ武器でも値段は様々だ。


 探索者がダンジョンカードを介さないとパラメーターを確認できないように、通常武器の攻撃力はわからない。


 しかし、ダンジョンから出るアイテムの中に鑑定眼鏡という虫眼鏡の形のアイテムがある。それを介することで武器の攻撃力などの情報を読み取ることが可能になる。




 しかし、鑑定眼鏡でも全ての武器の情報が読み取れるわけではない。あくまでダンジョンの宝箱から出た武器や、ダンジョンから取れた素材で作成された武器がその対象になる。


 そのためダンジョン産の鉄鉱石はD鉄鉱と呼ばれ通常の鉄とは別に分類され値段も同じ工法で造った物の2~3倍の値段が付く。



 ダンジョン由来の武器はそれだけの価値がある、攻撃力は元より注目されるべきは、耐久力とパワーアシスト(PAS)値だ、この世界の武器は基本通常の武器より厚く太い。


 モンスターを切るためなのでやむを得ないとはいえ、その結果が重量の増加というデメリットに繋がっている。



 PASはそれを軽減してくれる。例えば1㎏の武器にPASが0.4着くと本人は600gの武器を振り回す感覚で使えるが、敵には1㎏の重み分のダメージが入ることになる。


 例え筋力が上がっても軽い武器はそれだけ調整しやすくなるため非常に重宝される。



 また耐久力(切れ味ではなく、ひび割れや欠けにくさ)も通常の鉄鋼よりもD鉄鉱を使った武器の方が高くなるらしい。


 科学的に解析してもほぼ同じ鉄にも関わらず内容には大きな差が生まれるのが大きな謎である。



 無論なんのデメリットもないのか? と問われればそんなことはなく、ダンジョン由来の武器、防具を装備するにはEMPが必要になり、有効な効果が大きければそれに比例して必要となるEMPも増大する。


 ダンジョン由来の素材を使って作られた武器の近くにはスペックが記載されたラベルが付けられている。使ってない物は推定と付いたラベルが付けられていた。


 店員さんに伝えれば鑑定眼鏡で本当かどうか確認もできると書かれていた。疑い深い探索者でもいたのだろうか?



「へー鑑定スキルとかないの?」(長谷川)


「ないなーだから他人のステータスとか見れない。装備品は見れるけどね」(皆川)


「他人に虫眼鏡向けることになるけどな」(加藤)


「うわ、超失礼」(長谷川)



「一応イベントアイテムでスキル見れるのはあるぞ」(黒田)


「それは重箱の隅じゃん」(加藤)


「まーなー」(黒田)


 ※)そういったイベントアイテムは基本プレイヤーは使えないため。


 

「武器はあまり種類がないね。もっと色々あってもいいと思うんだけど」(皆川)


「た、多分消耗品だからなのと、い、命を預けるものだから、あ、遊ぶ余裕ないんじゃないかな?」(七森)


「なるほど、防具は避けるなり、BPなりあるからな」(加藤)


「弓矢も売られてないな」(黒田)


「や、矢の消耗も激しいし、き、基本もっと離れた距離で使うし」(七森)


「弓矢は数百キロメートル離れて使うのが基本にゃん、それに流れ弾ならぬ、流れ矢も怖いにゃん」(ミーナ)



「あー……確かに。DRDだとフレンドリーファイア無かったからな」(黒田)


「味方NPCも魔法とかばんばか撃ってたからな、フレンドリーファイアあったら背中(じゅう)穴だらけだな」(加藤)


「弓の味方、(かっこ)第三の敵」(皆川)


「ほほう三段崎さんは敵と」(長谷川)


「ノー!。味方、味方だから」(皆川)


「……っくしゅん」(千鶴)


「大丈夫?」(白雪)


「風邪薬飲む?」(由美)


「ガスマスク被る?」(沙耶)


「被りません。そういえば探索者は風邪引くんでしょうか?」(千鶴)


「あーどうでショウ?」(メリッサ)



 店内には他に砥石や油なんかの整備用品も売られている。



「そっかーリアルだと整備用品とかも必要になるのか」(加藤)


「ゲームだと耐久が減ったら整備コマンドで一発だったからな」(黒田)


「手入れなら健兄に頼むといいにゃん」(ミーナ)


「うん、いいよ。代わりに鉄鉱石とかの採掘してね」(七森)



「わかってるにゃん」(ミーナ)


「おー、ありがとう」(加藤)


「あ、そろそろ時間だ」(加藤)


「じゃ行くか」(黒田)



 入口にいくと何かを買ったのか買い物袋を提げた女性陣がいた。白雪達は相変わらず注目を集めているが今度は別の意味だろう。


 

「おまたせ」(加藤)


「何買ったの?」(白雪)


「武器のお手入れ品とかだな。そっちは?」(加藤)


「Pnoとかトランプとかだね。パジャマパーティでもやろうと思ってね」(白雪)


「俺らも買っとくべきだったかなー?」(加藤)


「夜は暇だしな」(黒田)



「あ、武器使った人帰ったら出すにゃ、健兄ぃが整備するから」(ミーナ)


「はーい。とはいってもあんまりいないかな?」(白雪)



…………………………



 同時刻五十嵐達もSKハンズへ向かっていた。



「懐かしいな、昔父さんに連れて来てもらったことがあったけどそのままだ」(五十嵐)


「そうか五十嵐はここの出身だったのか?」(風音)


「うん、織姫は別だけどね」(五十嵐)


「私は栃木の生まれでな。実家もそっちなんだ」(風音)


「実は僕も京都の出身なんだ」(榊)



「そうなのか。何故大阪のダンジョン学園にいかなかったんだ?」(五十嵐)


「……ちょっとね」(榊)


「ふーん?」(五十嵐)


「あれ日陰(ひかげ)さんじゃない?……なんか絡まれてる?」(織姫)



 織姫が指さした先ではクラスメートの日陰(ひかげ)(しのぶ)が探索者と思わしき2人に絡まれていた。



「本当だ! 助けにいこう!」(五十嵐)


「あ! 待ってよ!」(織姫)


「私達も行くぞ!」(風音)


「ああ!」(榊)

 


「あ、あの! 離して下さい!」((しのぶ)


「いいじゃねぇか。新入生なんだろ。これから先の戦いで困らねえように闘い方をレクチャーしてやろうって言ってんだ」(A)


「そうそう手取り足取り腰取りってな。ひっひっひ」(B)



「おいっ! 何してる!」(五十嵐)


「あぁん? なんだてめぇ? 関係ないやつはすっこんでろ!」(A)


「クラスメイトだ!」(五十嵐)


「くらすめーとぉ? なんでぇじゃあF組じゃねぇか」(A)


「ちっ」(女なんか侍らせやがって)(B)


(4人か、まぁF組だ、レベルも1とか2って所だろ、それに女2人……大方女の前でいい格好したいって所か)(A)



「かすクラスの劣等生がなにイキってんだよ。痛い目みてぇのか!?」(B)


「その女2人と交換なら離してやってもいいぜ。ひっひっひ」(A)


「「ふざけるな!」」(五十嵐・風音)


「へぇ、俺達とやろうってのか?」(A)


 

 二人が腰に下げている剣に手を伸ばす。



「おや、あれは五十嵐君達と……(しのぶ)ちゃんかね」(白雪)


「えっ(しのぶ)!?」(千鶴)


「あぁ、そういえばそんなイベントあったね」(皆川)


「そうだっけ?」(加藤)



「ほら買い物いくと不良2人と戦うイベント」(皆川)


「あー日陰ちゃんがバックスタブするやつか」(加藤)


「どうする? 助けるかい?」(白雪)


「当然です!」(千鶴)


「当たり前です!」(須藤)



「じゃぁ僕達であいつらの気を引くから三段崎(みたざき)さんは日陰さんを、須藤さんはなるべく正面に立って威圧して」(長谷川)


(りょ)」(須藤)


「わかったわ」(千鶴)


「ならば私も漫才師(ぱわー)を見せようか」(白雪)

 


「Hey! Hands Up!」(メリッサ with in ガスマスク)


「やぁやぁ五十嵐君達じゃないか~」(白雪 with in ガスマスク)


「ひっ……だっだれ!?」(五十嵐)


「ふっふっふ私は謎のガスマスク仮面」(白雪)


「「マスクと仮面が被っとるやないかーい」」(愛宮姉妹 with in ガスマスク)



(ちっ増えやがった。てか、なんだあの格好? 頭湧いてんのか? それとも目立ちたがりか?)(B)


(でけぇのが1人いるな……。さすがにあれに、あの人数はまずいか)(A)

 


「えっと……白雪さん?」(五十嵐)


「前に名前呼びは禁止したはずだけど? あとさんをつけろよデコ助野郎」(白雪)


「いや、つけてるんだけど」(五十嵐)


「花籠さんさんだ、さらに約束を破った罰も加えて花籠さん↑さん↓さん↑あらやだ歌みたいと呼びたまえ」(白雪)


「それで花籠さんさんさんあらやだ歌みたい、いったいどうするんだ!」(加藤)


「部外者だし、どうしようか?」(白雪)


「まさかのノープランか、花籠サンSUNさんあらやだ歌みたい」(黒田)


(しのぶ)!)(千鶴)



 裏から回った千鶴がこっそりと(しのぶ)の袖を引っ張る。野次馬の方も気を利かしたのか特に騒ぎ立てなかった。


 振り返った(しのぶ)が千鶴を見て思わず声を上げそうになるのを口に人差し指を当てて制する。


 そのまま(しのぶ)の手を引き野次馬の裏へ回る。野次馬達も上手いこと道を開けて通してくれる。



「おいっ!何ごちゃごちゃやってやがる!ふざけたもん被りやがって」(A)


(ちっ、いざとなったら女を人質に取るか?、いやそこまでするとさすがに周りの野次馬も黙ってねぇか)(B)



「何って……コント?」(加藤)


「コントか?」(黒田)


「コントじゃないかも?」(皆川)


「ギャグじゃないか?」(黒田)


「真面目な話なの?」(長谷川)


「コメディとギャグの違いみたいな?」(陽子)


「コントと真面目ってそんな違いなの!?」(加藤)



「てめえら! ふざけてんのか!?」(A)


「心外だね。こっちは真面目にコントやってんのに」(白雪)


「「コントじゃねーか!」」(A・B)


「「「コントだったの!!?」」」



 白雪がわけがわからないという風に手を上げる。まるでコントをするのが当然のように。



(((そういえば花籠さんは自己紹介で漫才師を希望していたな)))



 そんなどうでもいいことを、本当に(・・・)どうでもいいことを五十嵐達は思い出していた。



「おいっ、いい加減にしねーと……あれ? あいつ何処いった?」(A)


「本当だ! いねぇ! くそっ、ずらかるぞ」(B)


「「「「「ちっ!」」」」(A・加藤達)



 何故かAの舌打ちに加藤達の舌打ちが被る。



「てめぇら! 今日はこのくらいにしてやる!」(黒田)


「面ぁ覚えたからな!」(皆川)


「次あったらただじゃおかないにゃん!」(ミーナ)


「ふぁっく!」(メリッサ)



「月の無い夜には気をつけることですね」(長谷川)


「命びろいしたな!」(加藤)


「あんたたち、さっさといくよぉー!」(白雪)


「「アラホラサッサー」」(愛宮姉妹)


 

 野次馬含め全員の心が1つになった。



(((お前たちが言うのかよ!)))



 不幸なのは当事者のならず者と五十嵐達である。五十嵐からすれば被害者の(しのぶ)は、いつの間にか消えていた。


 (しのぶ)がいないのだから戦う意味がない。元より先程のコントのせいで完全に場の雰囲気が霧散している。


 ならず者たちも、完全に立ち去るタイミングを逃してしまった。コントが始まった時点で捨てゼリフを吐いて立ち去ればまだ恰好が付いた。



 白雪達のあまりの姿に一言(ひとこと)言いたくなってしまったのが悪かった。


 お互いに掛ける言葉が見つからず、声を出そうとしても何も話せない双陣営。無言の見つめ合いがさらに気まずくさせる。


 結局ならず者が片方の腕を肘でつつき、(きびす)を返すことでようやくの決着がついたのだった。


 

 DRDのストーリーでは助けに入るとならず者2人と戦闘になり、どちらか片方のLPにダメージを与えれば、相手は捨てゼリフと共に逃亡し勝利となる。


 レベルは4、スキルは使わない、その上パーティメンバーも共に戦うため、全員がレベル2~3程度あれば苦戦はしないだろう。



 発生条件は自分の部屋で出てくるメニューから、「移動」→「店に行く」→「SKハンズ」を選んだときに発生する(初回のみ)。地上マップを自分で移動してSKハンズに辿り着いた場合は発生しない。


 報酬はヒロインの1人日陰(ひかげ)(しのぶ)からの好感度小上昇。敗北するとゲームオーバーである。


 レベル1だとそれなりに苦戦するため、開始早々買い物に行くと初見殺し的に発生するので注意。



 また、(しのぶ)を見捨てる選択肢(見て見ぬふりをする)もあり、見捨てると以降忍は行方不明になる。


 メインストーリーに関わりがあり、居ないと余計な戦闘が増えるため最小戦闘RTAでは買い物に行かない、もしくは地上マップの最短ルート構築が必要になる。


 ならず者達が去った後、五十嵐達も帰路についていた。空はもうそろそろ茜色に染まろうかというところだ。



「……なんだったんだろう」(五十嵐)


「……」(榊)


「なんかすっきりしない」(風音)



「お、お互い怪我がなかったんだからいいことなんだよ……きっと」(織姫)


「まぁ……そっか」(五十嵐)


「……そうだな」(榊)


「ところで買い物はよかったのか?」(風音)


「「「あっ!!」」」



…………………………


 

 小町達が帰ってきたのか寮の食堂からはいい匂いが漂ってきている。



「今日は色々あったな~」(加藤)


「明日から稼がねーとな」(黒田)



 思い返せば本当に色々あった。探索者になって初のダンジョン、ゴブリンとの戦闘、SKハンズの買い物に(しのぶ)の救出と1日に色々ありすぎた。


 転生してからたった2日、皆の人生が変わる中、特に大きく変わったのは白雪とメリッサだろう。


 白雪は日光の下では歩けなかったが、探索者になって日光を浴びても問題なくなり、盲目だったメリッサも転生したことにより再び目に光を灯すことになった。


 風が吹いてくる、四月とはいえまだ少し肌寒い。白雪とメリッサはガスマスクを外して夕焼けを見つめていた。


 夕焼けを浴び赤くたなびく髪を風にまかせ彼女達は言葉を交わすでもなく無言で赤く染まる世界を見つめていた……。



「……そうだな」(加藤)










「……ばいばい浩平、あなたの仇は必ず打つからね」(白雪)


「アーメン」(メリッサ)


「勝手に殺すな!」(加藤)

 イベントのifケース、(しのぶ)イベントは発生条件が極めて緩く、時限でもない。

 

 ■ケース1:


 「いや! こないで!!」(忍:レベル20)


 「こっちこいよ!……こっこっちに…こ! このっ、こっちにー」(ならず者:レベル4)


 「なにをしている!…………本当に何をしているの?」(五十嵐)



 そこには2人がかりで一生懸命(しのぶ)の腕を引くならず者、対して微動だにしない(しのぶ)の姿があった。



 END1◆育ちすぎた忍、今更ナンパ? もう遅い



 

 ■ケース2


「よし、SKハンズに行こう」(五十嵐)


「うん、いいよ」(忍:パーティメンバー)


「ぐへへ」(ならずもの)


「きゃ~助けて~」(忍)


「えっ? (しのぶ)? それじゃ後ろにいるのは……」(五十嵐)



 END2◆五十嵐! 後ろ!


 

 ■ケース3


「きゃ~助けて~」(忍)


「ぐへへ」(ならず者)


「バックスタブ!……です」(忍:ニッコリずぶり)


「ぐはぁ!」(ならず者)


「こ、怖かった……」(忍)


「……」(いえあなたの方がよっぽど怖いです)(五十嵐)



 END3◆戦闘にパーティメンバーは全員参加です。




 ■D鉄鉱:ダンジョンから産出する鉄鉱石は2種類あり、D赤鉄鉱とD磁鉄鉱の2種類。


 どちらも地球産に比べて不純物が少なく品質は良い(地球赤鉄<D赤鉄<地球磁鉄<D磁鉄)。貴金属も地球産とダンジョン産で分割扱いされている(レートに影響するから)。



 ■戦鎌(いくさがま) (ウォーピック):


 漫画のような柄に対して垂直に刃が付いたものでなく水平に付いたもの。まぁ普通に大鎌なんて振り回したら味方の危険が危ない。



 ■虫眼鏡:


 17世紀頃の発明、詳しくは不明。日本では江戸時代には伝わっていた模様。中世だと16世紀頃までなので厳密にいうと中世モデルのDRDで虫眼鏡のようなものが出るのはおかしい(細けえこたぁいいんだよ)。



 ■風邪をひく:


 漢字は風邪を引く、吸引の意味で使用するため。風邪菌を吸引する、自分の体の中に取り込む。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ