第020話:いたって善意のおすそわけ
愛宮由美:双子の長女。ヒロインの1人、白雪の同類
愛宮沙耶:双子の次女。ヒロインの1人、白雪の同類
日陰忍:ヒロインの1人、目隠れ美少女、千鶴と同室
水無瀬伊織:元小麦肌少女。モブキャラ、小町の同室
■平民が探索者になる方法:
①14歳の時1クラス分の生徒から他薦されて特待生になる
→拒否権はなく強制。敵も弱く、規模も小さい小ダンジョンから始まる。攻略数に応じてはダンジョン学園に入学も可能。
②高校受験時にダンジョン探索者育成学園を受験し合格する
→一般的。企業からの評価も稼げる。いきなり大ダンジョンに挑むため明暗が分かれやすい。300万の学費を自分で稼ぐ必要があるが、大抵親が日本にいる内にいくらか持たせている。
③毎年8月に行われる日華共和国、国民募集に応募する
→成人していることが条件。書類審査あり人数制限あり。以降特待生と同じ。小ダンジョンの攻略数が多ければ大ダンジョンへも挑める。
④自衛隊に入隊する
→日華ではなく日本の探索者になる、日華国内に入ることはできない。
⑤犯罪を犯す
→日本で犯罪を犯した場合、有罪判決の後に被害者と本人の意思による。前話のならず者もその口。小ダンジョンのみ入場が許される。
「えっと、これ何?」(加藤)
「そこに書いてあるでしょ、ゴブリンの肉よ」(小町)
「えっ! 嘘! マジで? ドロップしたの?」(加藤)
「ドロップ? 普通に捌いたんだけど」(小町)
「捌いた……」(加藤)
「美味しかった?」(白雪)
にこりと笑みを見せる小町。
「そうね。食べたら夕飯50円引きでいいわ」(小町)
「……考えときます。とりあえずお風呂入りたい」(加藤)
「俺も~」(黒田)
「私もにゃ」(ミーナ)
「さっきシャワー浴びたのに?」(皆川)
「「シャワーと風呂は別だ(にゃん)」」
「健兄ぃ、お風呂にお湯張っている間に武器の整備して欲しいにゃん」(ミーナ)
「いいよ」(七森)
「夕飯は7時くらいから開店するからよろしくね~」(小町)
「服を買ってきたのであとで渡しますね」(楓)
「ありがと~」(小町)
整備室へ移動し武器の整備をおこなう。時折七森の整備のうんちくを聞きながら武器の手入れをしていく。
ほとんど使ってないためそれほど整備が要るわけではないようだが、やはりレンタル品、品質にけっこうばらつきがあるようだ。
……男風呂にて……
「モンスターって捌けるものだったのか……」(加藤)
「ゲームじゃ出来なかった?」(長谷川)
「出来ないよ」(皆川)
「長谷川も見ただろ、モンスター倒すと灰になって消えるの」(黒田)
「あーそういえば」(長谷川)
「どうやったんだろう?」(加藤)
「わからん」(黒田)
……女風呂にて……
「あ”~~~~~」(ミーナ)
「皆といっしょにお風呂はいれるとはねーー」(白雪)
「私もデース。光が眩しいデース」(メリッサ)
「風呂が広いっていいっすよね」(陽子)
「「「それなーー」」」
「そういえばなんでSKハンズにいたの?」(千鶴)
「あ、はい、そのアルバイトを」(忍)
「アルバイトか……その内私も考えようかしら」(千鶴)
「そ、そのときはいっしょに!」(忍)
……そして運命の時間……
「「「……ごくり」」」
目の前には皿につまれたゴブリンの焼き肉。すでに匂いからして不味そうである。
「えっと遠藤さんは食べたの?」(加藤)
「食べたぞ」(美々)
「味は?」(加藤)
「食えばわかる」(美々)
「よし、黒田最初はまかせた!」(加藤)
「ちょっとまて。……いや、分かったいこう」(黒田:白雪に目配せする)
「いえ、ここはレディーファースト。私がいくよ」(白雪:加藤を見ながら)
「白雪ちゃんばかり良い格好はさせられないな~。私がいく」(由美:加藤を見ながら)
「姉さんばかりずるい。私がいく」(沙耶:加藤を見ながら)
「どきな、僕がいく」(皆川:加藤を見ながら)
「おいおい、美味しい所持ってくなよ、僕がいこう」(長谷川:加藤を見ながら)
視線が加藤に集中する……、ここまでやったんだ、お前わかっているだろうなと圧がかかる。
「……俺がいく」(加藤)
「「「「どうぞどうぞ」」」」
「おまえら覚えておけよーーー!」(加藤)
ひと噛みした瞬間加藤が止まった……。
「どうした! 大丈夫か!」(黒田)
「反応がない……ただの屍のようだ」(白雪)
「おしい人をなくしてしまった」(由美)
「加藤よ……安らかに」(沙耶)
「どんな味だった?」(長谷川)
(ニッコリ)(加藤)
加藤はまるで悟りを開いたような笑顔と共に突撃ウサギのシチューを200円払って食べ始める。その顔は至福に満ち、涙まで流していた。
「あぁ、食事ってここまで素敵なことだったんだね……」(加藤)
「だめだ、なんか壊れてる」(白雪)
「いくか……残金700円。はっきり言ってここでの50円は大きい」(黒田)
「わかった。死ぬときは一緒だ」(皆川)
「先月死んだおじいちゃん、先立つ不孝をお許しください。ままよ!」(長谷川)
「既に先立ってるよ!」(皆川)
「うっぷ、これは……」(黒田)
3人思い思いの表情でゴブリン肉を食べて全員咳き込む。その惨状におもむろに白雪がゴブリン肉を食べる。
「ふむ……」(白雪)
「どうだい? いけるかい?」(由美)
「まるで風船のような……」(白雪)
「いきなり例えが無機物!?」(沙耶)
「それでいて緑亀のような……」(白雪)
「亀えぇ!?」(由美)
「「共通点なくない!?」」(愛宮姉妹)
「これは……」(由美)
「いこう、お姉ちゃん」(沙耶)
こくりと頷きあってゴブリン肉を食べた。
「「おおふ……」」(愛宮姉妹)
「……確かに風船」(由美)
「……確かに緑亀」(沙耶)
「喰ったことあるんか~い……ぐふっす」(陽子)
「やきー!……」(メリッサ)※極めて不快、まずい、気持ち悪いの意。
「えっと忍、無理しなくていいのよ」(千鶴)
「いえ、千鶴お姉さまを残していけません……」(忍)
(昔、隊でまずい酒を回し飲みしたことを思い出します)(須藤:渋面)
「お姉さま……私はどうすれば」(楓)
「食うてみよ死ぬわけではない」(美々)
「はいっ! お姉さま」(楓)
直後に「すごくまずいです! お姉さま」と楓の泣き言が聞こえる。
「昔ミーナがもったいないからと、さわらの臭み抜きした牛乳で作ったシチューに比べれば…………どっちもまずい!」(七森)
「……昔のことをゆうにゃ~~!」(ミーナ)
「ただいま~! こまっちゃん今日のご飯は何かな~?」(伊織)
伊織がパーティーメンバー男2人女2人を連れて戻ってくる。その先に地獄があることを知らずに……。
「やぁ伊織ちゃん。これを見てくれ、こいつをどう思う?」(白雪)
「ゴブリン肉食べたら50円引き……」(伊織)
「くっそ不味いよ。すごく不味いよ、この世の物と思えないくらい」(白雪)
「う~ん、お金には今のとこ困ってないしー、そういうのはちょっと遠慮したいなーなんて」(伊織)
「いいのかな~? 今日限定だよ~」(由美)
「そうだよ~今日を逃したら食べる機会はないよ~」(沙耶)
「うぐっ……」(伊織)
「まじでまずいよなぁ?」(皆川)
「これは食べた人じゃないと共有出来ないまずさだよね」(長谷川)
周りを見る伊織、しかしすでに囲まれている。周りのみんなはとてもいい笑顔だ。
「それじゃ、いってみよ~」(白雪)
「ごめんなさいね」(千鶴:左手を掴む)
「本当にすみません」(忍:右手を掴む)
「「でも犠牲者を増やしたいんです!」」(千鶴&忍)
十分地獄を堪能した後、ゆっくりと後ろを振り向く伊織。伊織はとてもいい笑顔だ。だが目は笑っていない。電光石火で二人の友達の手を掴む!
「私達ずっ友だよね?」(伊織)
「友達はそんなもの勧めないよ」(恵)
「先っちょだけ、ちょっと口開けるだけだから」(伊織)
「待って、話せばわかるから」(ゆかり)
「試してみなって、飛ぶぜ」(伊織)
「「その表現はやばいから~~!!」」(友達S)
男友達も回れ右して逃げ出した!
……しかし、須藤に回り込まれた!
「須藤! どいてくれ!」
須藤はとてもいい笑顔だ! 体格も相まってとても怖い。そんな須藤にどけといえる男2人に敬意を表そう。
しかし、無意味だ。
女友達の方は愛宮姉妹に、男友達は長谷川、皆川に羽交い締めにされていた。
「「私も食べたんだからさ!」」(愛宮姉妹)
「「一緒にいこうぜ!」」(長谷川・皆川)
犠牲者は増えていく……。
「ただいま~」(五十嵐)
「「「ニッコリ」」」(一同)
「え、な……なんだ?」(五十嵐)
にっこりとゴブ肉を指さす加藤。扉に回り込み逃げ道をふさぐ須藤達。ジワリと織姫たちにはいよる伊織達。
固まる五十嵐、震える織姫、戦慄する柳、覚悟を決めかねる風音。
ゴブ肉ゾンビは順調に仲間を増やしていく。
「ごめん! 本当にごめん!」(五十嵐)
「すみません、すみません」(織姫)
「あやまりながら笑ってんじゃねーか」(モブ1)
「いまだ!」(柳)
「承知!」(風音)
「なにその連携ーー! ごふっ!」(モブ2)
…………何故かF組の仲間意識が上がったそうな。
なお突撃うさぎのシチューは小町の腕もあいまってとてもおいしいシチューだった。
「あの、美々さん……」(千鶴)
「なんじゃ?」(美々)
「先程はありがとうございました」
「構わん。楓も世話になるじゃろうからな」
「あ、お姉さまこちら頼まれていた服です」(楓)
「おお、助かったぞ」
「それとこちらも見つけました、どうぞ」
そう言って小さな箱を渡す。
「なんじゃ?」
包みを解いた美々の目が見開かれる。
「こ……これは! 楓! 大好きじゃ!」
楓に抱きつく美々。普段逆なだけにかなり珍しい光景だ。楓はあふれんばかりの幸福に包まれていた。
楓が美々に送ったもの、それは煙管である。前世の美々が愛用していたものだ。
「あ、こちらたばことライター、カス入れです」(楓)
「おお、すまんの。それではさっそく」(美々)
「ちょっと、たばこなら外で吸って」(小町)
「むう、しょうがないのう」(美々)
「ちょっ、20歳未満はタバコ禁止だろう」(五十嵐)
「うるさい! わしの楽しみを奪うものは敵と見なす!」(美々)
言い放って美々は軽い足取りで外に向かって走っていった。
* * *
談話室の一角で五十嵐達は今後の予定を話し合っていた。
「酷いものを食べさせられた」(五十嵐)
「で、でもその後のウサギのシチューは美味しかったよ」(織姫)
「そうだな。あれは美味かった」(風音)
「そういえばモンスターって食えるんだな」(五十嵐)
その一言に柳が考え込む。
「……そういえばそうだ、そんな話は聞いたことがないぞ」(柳)
「あれは本当にゴブリンの肉なのか? 本当ならゴブリンを倒したことになるのだが」(風音)
「でも間宮さん嘘つくような人に見えないよ」(織姫)
「実際私達の目の前で突撃ウサギを解体していたからな」(風音)
「それもおかしい、普通モンスターは倒したら灰になって消えるはずなのに、彼女は捌けていた。それにそんなことが可能なら、動画配信をする探索者が必ずいるはずだ」(柳)
「いや、これ以上考えても答えはでないな。それで本題だが、次はどのモンスターをターゲットにする?」(柳)
「ゴブリンはどうかな? 美々と小町2人で倒せるくらいなんだろう?」(五十嵐)
「いや、そんなことはないはずだ」(柳)
「美々さんのあの技を見ただろう、あれは別格だ」(風音)
「じゃあどうする?」(五十嵐)
「石喰いネズミを狙いたい所だが、狩場はどこも独占されているとの噂だ」(柳)
「だが噂だろう?」(風音)
「そう言われてしまえばそれまでだが、効率的に一番なのは確かだ、狙う人は多いと思う」(柳)
「それじゃ、どうするの?」(織姫)
「一度行ってみて、だめならゴブリンしかないんじゃないかな?」(五十嵐)
「……そうだな、蜂は論外だし、狼に比べればゴブリンしかないか……だが、ゴブリンをターゲットにしてもソルジャーはやめよう」(柳)
「わかった」(風音)
「わかったよ」(織姫)
* * *
「やっほーー! Pnoやらなーい?」(白雪)
「やるー」(伊織)
「私やったことないんだけど?」(小町)
「大丈夫大丈夫、やり方教えるから」(白雪)
「へいらっしゃい」(沙耶)
「ご注文は~?」(由美)
「生2つでー」(小町)
「は~い。生水2丁~」(沙耶)
「セルフサービスでよろしく~」(由美)
「セルフかーい」(伊織)
「やっほ~いおり」(恵)
「やっほー」(ゆかり)
「めぐっち、ゆかっちやっほ~」(伊織)
「来たにゃー」(ミーナ)
「へろー。ぐっどいぶにんぐ」(メリッサ)
「こんばんは」(千鶴)
「え、えっとこんばんは」(忍)
「というわけで、Pno大会始めるよ~」(白雪)
「「わーぱちぱちぱち」」(愛宮姉妹)
一同拍手が起こる。楓、美々もいるが窓辺で煙管をふかし、楓は美々の髪をとかすのに忙しいようだ。
「まず簡単にPnoのルールから、5枚ずつカードを配ります。
持っているカードから1枚出します。同じ色で今出ている数より大きければなんでもだせます。9の場合は0ね」(白雪)
「色変え~。同じ数字なら別の色に変えることができるよ」(伊織)
「これで全部自分のカードを出し終えたら勝ち。最後の一枚のときにぷのーっていわないと、ペナルティで1枚引かないといけないから注意ね」(白雪)
「ほーほー。カードが出せない場合は?」(小町)
「順番をスキップして1枚引く感じだね。ただし数字の他に特殊カードがあってね、なんか特殊カード持ってたら出してー? ドロー系以外で」(白雪)
「無いから青8で」(由美)
「私が出すよー、リバース」(沙耶)
「リバースは順番が逆になるよ。他に順番を飛ばすスキップカードなんかもあるね、特殊カードは色さえ合っていれば、数字に関係なくいつでも出せるよ」(白雪)
「それじゃ満を時してのドロツー」(由美)
「これがPnoのご醍醐味ドロツー。このカードは次の人に2枚引かせることができる」(白雪)
「じゃ私もドロツー」(伊織)
「さらに私も。ドロー系は重ねられるからね。これで6枚」(白雪)
「あまい! リバースドロツー」(由美)
「ドロー系と呼ばれるものは色か種類で重ねられる。ドロツー、これで10枚だよ!」(白雪)
「オッケー。プレゼントフォー・ユー!」(伊織)
しかし、無常にも伊織のリバースドローツーが炸裂する。
「のーー! とまぁこんな感じなゲームなんだよ。というわけで何セットかあるから適当にやってねー」(白雪)
説明とデモプレーが終わり仁義なきPno大会が始まった。
「はっはっは『ぷのー』」(白雪)
「そうはさせないっす、お願い回して! ドロツー」(陽子)
「まかせてドロツー」(由美)
「私持ってないんだけどー」(小町)
「ふっ天は私に味方したようだね」(白雪)
「そうはさせない、スキップドロツー」(伊織)
「ないす!」(小町)
「それはどうかなー。ドロツーあがりー」(白雪)
「ひどいっすーーー!」(陽子)
* * *
探索者センター長の部屋にノックの音が響く。
「冬川です」
「どうぞ」
「失礼します」
部屋に入るなり冬川茜は応接スペースに置かれているソファーにダイブする。
「はー疲れた」(茜)
非常に無礼な行為だが、部屋の主冬川真帆は軽く窘める程度だ。
「こら、飛び込んじゃだめでしょ。まったく誰に似たのかしら」(真帆)
「お母さんでーす。ま、それは置いといて、報告するね」
そう言って姿勢を正してレポートを真帆に渡す。
「今期は黄金時代って言われるけど、光が強い分、影も濃いって感じかな。怪しい子が多すぎ」(茜)
「確かにね……」(真帆)
今は3年に南雲家の長男、2年に北条家の子息と東郷家の息女が在籍しており、そこへ西城家の息女が入学してきた。
関東一円を支配している公爵四家が一堂に会するのは珍しいどころか前例がない。
来年も南雲家の長男が卒業する代わりに三女が入学してくるため四家一堂の状態は維持される。
これだけでもありえないのにさらに天皇家のご息女まで2年に在籍しているのだ、もはや黄金時代と呼ぶのすらおこがましい。
ダンジョン1層~7層の各セーフルームには中継器が設置されている。
これはセーフルームが上下の階層と通信できる特徴を利用し、外部との通信を可能にするためだ。
だが、一般の探索者には知らされていない機能もある。探索者カードが近づくと、その記録が自動的に残るのだ。
「……まず、ずっと3層にいる4人は特待生だったわね」(真帆)
「うん。これが資料」(茜)
村田達4人の資料を差し出す。
「……これは間違いなく黒ね、逆にわかりやすいわ」(真帆)
「だよね、ある時から格段に強さが上がってる。でも鵺ではないと思うな」(茜)
「そうね、多分黒武者か、赤鬼あたりかしら」(真帆)
「うん、多分ポーションを取っていたと思う。というかまだいる。多分今日中に集められるだけ集めるつもりだろうね」(茜)
E組F組は両方共平民のみなのだが、貴族だけでなく貴族外の組織からの息がかかった間者の隠れ蓑になっていることが多い。
しかし、E組は元々貴族の騎士団や従者の子息子女だ。それだけに来歴は追いやすい。問題はF組だ。
今、問題となっているのが探索者用の麻薬だ。昨今ダンジョン素材を使った、探索者にも効果があるドラッグが出回っている。
彼女達が追っているのは鵺と郭公という組織だ。どちらも麻薬を扱っている。
『鵺』と呼ばれる組織は筋力の増強に加えて異常な興奮作用のある麻薬を取り扱う。
『郭公』はいわゆる気持ちがよくなる系の薬を取り扱う。
探索者は丈夫な分依存症になりやすく、なんとかして蔓延する前に止めたいのだがなかなか尻尾を掴むことができない。
冬川母子は公爵家とは別の天皇家の親族であり日華の公爵家とは関係ない貴族だ。
天皇(大公)からの委任状により各公爵家に情報提供を求めているが、今のところ芳しくない。
生徒会にも協力してもらっているがやはり効果は無い。あまり考えたくもないが内通者の存在も有り得るだろう。
「伸、五十嵐、吉野、三島はかなり長い時間潜ってるわね」(真帆)
「伸君はなかなかいい所入ったね、どんな報告が来るか楽しみ。一応白である可能性が高いって報告は来てる。なんでも突撃ウサギで全員レベル3まで上げたんだって」(茜)
「あらあら、すごいじゃない」
「そうだね、でも2年までその勢いを維持できるかはわからないけれど」
「酷いこと言うわねー」
「問題は遠藤楓他13名ね、3層に突入後すぐ出て来てるけれど……運よく3層への入り口を発見して意気揚々と降りてきたらゴブリンに遭遇して慌てて戻ってきたって所かしら?」(真帆)
「3層の滞在時間的に見るとそうなんだけど、おかしいのよ、2層の滞在時間が短すぎ。2層のマップ知っていないと出ないタイムだよ」(茜)
「それは怪しいわね、でも黒だとしたらなんなのかしらこの人数?」(真帆)
「そうなのよ、あまりにも多すぎ。これじゃまるで見つけてくださいって言っているようなものよ」(茜)
「遠藤美々と間宮小町は逸れたのかしら?」
「う~ん、どうなんだろう? 逸れたにしては滞在時間が長すぎる、とてもじゃないけど初日にこれだけ逃げ回るなんてできないよ。
間違いなくゴブリンに殺されると思う。それに美々は義理とはいえ楓の妹よ。見捨てるなんてありえるのかしら?」
「う~んわからないわね、監視カメラの映像は?」
「変わった所が見られなかったわ、散々逃げ回ってボロボロって様子でもなかった。あと遠藤美々について追加報告。彼女の成長値20だって」
「……はい?」
「成長値が20」
「なにそれ? そんな人いままで居なかったじゃない」
「うん、間違いなくギネスだね。まぁ本人はそんなギネス要らないだろうけど。間者だったらご愁傷様ね、ここまで低ければ相手にしてくれる貴族はまずいないし」
「伸君からは何て?」(真帆)
「DRD? っていうSNSの集まりで、学園に入学する前からの集まりみたい」
「何それ?」
「まだ深く探ってないけれど、そんなサイトがあった経歴はなかったわ。
あ、ちなみに中心は加藤浩平、黒田竜司、花籠白雪の3名みたい」
「怪しいわね、木を隠すなら森の中って感じで誰か匿っているのかしら?」
「それにしては目立ちすぎだと思う。態々そんなことせずともF組の1生徒の方がいいんじゃないかな?」
「そうよねー。とりあえず宮古に接触してもらうように頼んでみようかしら」
「うん、いいと思う」
■素敵:
「すばらしい」+「敵」が語源として有力。敵は「匹敵するものなし」or「敵わない」から用いられた模様?
■一同と一堂の違い:
一堂は一つの建物や場所に会すること、一同は仲間やクラスメートのような概念てきな集合を指す。
お読みいただきありがとうございます。拙い文章ですが次話も楽しみにして頂ければ幸いです。よろしければ、ブックマーク、評価、感想なんかもお願いします。




