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DRD ~転生者が多すぎた~  作者: ふすま
第4章:1年7月中旬
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第103話:御前試合終了

 日陰忍(ひかげしのぶ):ヒロインの1人、目隠れ美少女、千鶴と同室 レベル:5

 水無瀬(みなせ)伊織(いおり):元小麦肌少女。モブキャラ、小町の同室 レベル:5

 宗谷(そうや)廸子(ゆずこ):前世は間宮廸子。小町の妹


 宮古(みやこ):天皇の直孫、生徒会長。ヒロインの1人

 山下(やました)清美(きよみ):宮古直属の部下、西城家派閥の侯爵家4女。筋肉愛好家。須藤の前世の婚約者とうり2つ

 河中(かわなか)(あおい):宮古直属の部下、北条公爵家分家の長女。

 近藤(こんどう)昭彦(あきひこ):前世の須藤の親友であり木下清美の幼馴染。今世では清美の婚約者でもある。


 西城(さいじょう)瑠璃子(るりこ):西城公爵家の次女。姉の他兄が1人、弟が1人いる。主人公と同じく1年。【剣聖】のレア称号持ち

 信濃(しなの)海斗(かいと):瑠璃子付の護衛、信濃伯爵家の4男。表の顔はさえないおっさんだが、かなりの実力者

 琴子(ことこ):瑠璃子の侍女。皆川、長谷川、美々と心配事が絶えない日々。



  ■村田事件:


 村田の父親が起こした事件。中華のスパイであった村田が、南雲家に取り込むために第3女と恋人関係になったことから始まる。


 スパイであることがばれ、逃げるときに幼かった廸子を人質として引き連れ、最終的にロストしてしまった。



 全ての試合が終わり、宮古が閉会を告げる。



「皆見事な試合だった。全力を出せた者も、出し切れなかった者もいるだろう。我々の本懐は、探索者同士で競うことではない。ダンジョンのモンスターを倒し、日本を護ることにある」


「だが探索は理想だけでは成り立たない。装備も人材も、維持には相応の対価が必要だ。ゆえに、この御前試合は力を示す場でもある」


「勝敗に囚われる必要はない。だが、せっかくの機会だ。他者の技を見て、自身を見つめ直せ。今回の試合が、今後の探索に活きることを期待する」


「以上をもって閉会を宣言する」



…………………………



 試合も終わり、小町も帰り支度をしていたときに不意に声が掛かった。



「間宮小町さんですね?」


「は~い。悪いけどもうお弁当は無いわよ」(小町)


「いえ、そうではありません」



 小町が振り返ると見知らぬ女性が立っていた。何故だろう? 初めて見る顔なのにどこか懐かしい。近くに護衛と思わしき人が2人いる。



「……あなたは?」


「私は宗谷(そうや)廸子(ゆずこ)と申します」


「廸子……」


(あ、あ、あ……やっぱりだ、やっぱりお姉ちゃんだ)



 ただ名前を呼んだだけだが、その言葉だけでも懐かしさがこみ上げてくる。


 だが、護衛もまた耳ざとく捉えた。



「おいっ、貴様、宗谷様に対して名前を呼ぶとは何様だ!」(護衛)


「ちょっと、やめなさい!」(廸子)



「で、ですが、廸子様」(護衛)


(廸子様が声を荒げた!?)



 宗谷廸子は気弱な女性だ。元々気が弱かったが、村田の事件に遭いロストしてからさらに弱々しくなった。


 だが、彼女は華族だ。この世界の華族は例え気弱であっても、公爵家であっても強くなければならない。ダンジョンでレベルを上げねばならない。 


 新しい称号を発見したのは幸いだった。いきなりモンスターを捌きたいと言ったときは驚いたが。目の前の小娘も同じくモンスターを捌いたのだろうか?



 思考が逸れてしまった。



 結局年齢を重ねてもどこか不安げで、弱々しかった宗谷様が声を荒げたのだ。人生初では、ないだろうか? 一体彼女に何を感じたというのか。



「護衛が失礼しました。話というのは来週の土曜日にお尋ねしたいのですが、よろしいでしょうか? 同じ料理人の称号を持つ者として」


「宗谷様!?」



 いったい何を言っているのだ!? お茶会にすら出るのを嫌がる宗谷様が、南雲様は了承しているのだろうか?



「別にいいわよ」


「ありがとうございます」



…………………………




「さて、出せ」


「な、なにを?」



「おまえ、撮ってただろ?」(近藤)


「なんのことかなー?」(清美)


「……」(宮古)


「……」(葵)



「ちょっと宮古さん、なんか言ってくださいよ!」(清美)


「しかしだな、実際に撮ってただろう」(宮古)


「あんなにわざとらしく動いていたら、気付かない方がおかしい」(葵)



「そういうわけだ、まだ言い逃れするつもりか?」(新藤)


「昭彦、あなたは間違えています!」(清美)


「いや、お前が間違えている」(新藤)



「聞く前から言うのはよくありません」(清美)


「あんなに目の前で、見せつけられたら撮るしかないでしょう。いえ、むしろ撮られるために見せつけていたに違いありません。違うか?」(新藤)


「……しょうがないじゃないですかー! だって目の前に筋肉があるんですよ! 日華じゃめったにお目に掛かれない筋肉が!」



「それでなんで、全員が納得すると思っているんだ?」(新藤)


「目の前に筋肉があって撮らない馬鹿はいません! ねえ!」


「……」


「……」



「なんで目を逸らすんですかー」


「一般的な反応だ。何より宮古様に迷惑を掛けるんじゃない!」




…………………………




 いつもは、カードゲームに参加する人達で賑やかな白雪の部屋だが、今日は重い空気が漂っている。



 伊織が座り、その反対側には同じパーティだった2人が相対する。伊織側には愛宮(まなみや)姉妹が挟むように座り、その後ろには(しのぶ)と千歳がいる。



 なお、ベッドではこのような重苦しい雰囲気でも何も変わらず煙管を吹かす美々と、喜々としてその髪をとかす楓もいつも通りだ。




「……だって白雪ちゃんが」


「人のせいにすんな!」


「まて、私のせいな可能性が高い! 話してみたまえ」


「堂々と言うべきことじゃないっす」


「私は人に迷惑かけるために生きてることを自負してるからね」



「あーしの夢なんだ」


「なにが?」


「……ブティック」


「……」



「えっと、伊織ちゃんの実家ブティックやってるんだけど、(うち)に借金があるとかで」((しのぶ)


「つまり、(しのぶ)ちゃんの家の命令で東京へ行くことになって、夢を諦めたけれど、生産称号で裁縫師? に夢が再燃したと」(白雪)


「うん……」(伊織)



「なるほど。私のせいだね」(白雪)


「そうなるんすか?」(陽子)


「生産系の称号を見つけたから、色々な元凶?」(白雪)



「というわけで、めぐみん、ゆかりんほんとごめん、あーしは夢を諦め切れないんだ」(伊織)


「……わかった」((めぐみ)


「ちょっと恵!」(ゆかり)


「だってしょーがないでしょ、このまま無理に連れてっても戦力にならなそうだし。その代わり! 良い服できたら奢りなさいよ」((めぐみ)


「うん……うん!」



…………………………




 F組の寮に青いドレスのような衣装を着た少女が1人立っていた。周りにはメイドが1人、護衛が3人うち一人は大きな剣を背負っている。



「へぇ、ここがF組の……思ったよりは綺麗かしら?」(瑠璃子)



 独りつぶやく少女を他所に他の護衛は目まぐるしく周りを警戒する。本来ならF組相手にそんなものは不要なのだが、遭遇すれば終わりとなる悪魔がいる。



 色々な所から視線を感じる。だが、殺気よりも怯えているような感じだ。まあ意味はわかる。F組の寮に公爵家の息女が来たのだ、怯えない方がおかしい。



 少し瑠璃子も声が震えているあたり思い出しているのだろう。だが、F組の寮へ行きたいと言い出したのは瑠璃子だ。



 本人の目的としては午前試合で戦った五十嵐が思いのほか奮戦したのと、皆川や長谷川のパーティメンバーが自分達と同等かそれ以上の人間もいると聞いたからだ。



(くそ、なんでOKなんか出しやがるんだババアは)(信濃)



 悪態をつきつつも、大体わかる。花籠白雪とかいうやつと知己を結ばせたいのだろう。前代未聞のAランクテスト満点だけでなく、レッサーポーション、スキルコピーという大きな実績もある。


 現在ダンジョン資源というものは大きな成果を上げていない。企業もどちらかといえば資源よりかは、探索者を使ったコマーシャルに力を入れている。



 だが、御前試合でも白雪は、足手まといにならない程度の戦闘能力があることを示した。探索できる研究者というのは希少価値は何物にも代えがたい。



「お、いらっしゃい」(皆川)


「あ、(まさる)! (はるか)は?」(瑠璃子)



 ぱっと華が咲くような笑顔になる瑠璃子を見て琴子は複雑な表情だ。



「あっちでみんなと遊んでる」(皆川)



 目をやる先では模擬戦が繰り広げられている。最近はE組の人まで来るようになり、結構カオスな練習風景が繰り広げられている。


 その後なぜか寮の施設を紹介することになった。逆になんかもの珍しいらしい。



「ここは何かしら」(瑠璃子)



 そう言いつつもすでに、扉を開いて中に入っている。



「うるさいわね」


「多分鍛冶場ではないでしょうか?」


「あっ、そこは」



 2重の扉を抜けた先には、一心不乱に鉄を打つ七森の姿があった。



「すごい」



 瑠璃子からしてみればそこは珍しいものでいっぱいだった。




 そのままぐるりと部屋を見回したときに目があってしまった。なぜか気に入ってちょくちょく部屋に

入り浸っている美々と。


 七森も最初はびびっていたが、何も話しかけてきたりせず、猫よりもよっぽど大人しい美々のことをだんだん気にしなくなり、現在では置物程度にしか気にしなくなった。



 美々も美々で、何が気に入っているのかは謎だ。常にうるさいし、炉の熱で暑いというのに。楓いわく、物が作られていく過程を楽しんでいるとのこと。




 美々と目が合うと、護衛含めて脱兎のごとく逃げ出した。それは【縮地】を思わせる速度だったという。



「う~ん、大丈夫じゃないかな? 彼女喧嘩売らない限り常識的な人だよ」(白雪)


「白雪と反対だな」(加藤)


「うんうん」


「認めるなよ」



「浩平は、私が常識人だと思っているのかね?」(白雪)


「常識的に非常識なことをする人間」(加藤)



「うれしい。私のことをわかってくれるんだね」(白雪)


「すみません、話をずらしてしまいました」(加藤)



「まぁつまるところ、こんな私ともちゃんと話をする人ということだ。子供みたいに「はい、視界に入った~。ぶっころ~」なんて人ではないという事だよ」(白雪)


「つまり、偶然視界に入ったとか、すれ違ったくらいじゃ目くじら立てたりしないよ」(白雪)


「そ、そうでしょうか?」(瑠璃子)







次話:本日11:00公開

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