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第十四話   『世界樹の迷宮』二階層からの卒業


 『世界樹の迷宮』二階層で狩りを始めて十日が経った頃、俺は二度目のレベルアップを経験した。身体の中に溜まっていたなにかが弾けて全身に広がっていくような感覚は、前回と同じだった。



~~~『ステータス』~~~

ミツグ・ケンジョー(Lv3)  0歳  チキュー人

職能適性 魔法使い

能力適性 魔力+++

能力評価 筋力Lv3 柔軟性Lv3 速度Lv3 魔力Lv13

特殊技能 魔力チャージ

所持金額 0エール

~~~~~~~~~~



『レベルアップ、おめでと~。これでミツグも一般人レベルなのかな? でも能力レベルの成長は早い方だと思うよ~。大器晩成! かもよ? キャハハ』


 これで俺の魔力以外の能力レベルが、一般人の平均レベルくらいには追いついたらしい。魔力だけは異様に高いけど、相変わらずベソルと『世界樹』に吸われる以外に使い道がない。

 ここで『世界樹』が言っている一般人とは、探索者と区別しての事だ。つまり迷宮に入らない普通の人の事であり、殆どの人はLv1のままだ。だから俺はLv3になって漸く、普通の人のLv1の能力に追いついたという事になる。

 『世界樹』が言うには、俺の能力値の成長は早いらしいので、このままレベルアップを続けていけば普通の探索者レベルにはなれるかも、との事だ。まあ成長とは得てして止まるものだから、あまり期待しない方がいいだろう。

 それよりも魔力の使い道を考えなければならない。ただ吸われるしか能が無いのは、悲し過ぎる。




 前回レベルアップした時と同じ様に、上昇した身体の変化に慣れる為、しばらくワーウルフを狩り続けた。やはりその影響は大きいようで、危うくわんこの頭を粉砕しかけてしまった。

 ゴブリンから拝借した棍棒も軽々と扱える。試しに片手に二本棍棒を持って振り回してみたら、意外と簡単に出来てしまった。棍棒四刀流、もちろん意味がないのでやらない。

 しばらくワーウルフを相手にして身体の変化に馴染んできた頃、棍棒に亀裂が走ってしまった。レベルアップによって付加が上がった影響もあると思うけど、やはり木製なので限界があるようだ。もう一本も嫌な音がするのでそろそろ限界だろう。とりあえず多めにゴブリンから奪っておいて良かった。

 ショートソードに戻すか、棍棒を使い続けるかの選択は、三階層の敵次第かなあ。

 などと考えながら、俺はギルド支部への帰路に就いた。




 ギルドに到着した俺は、いつものようにベソルに談話室へと引きずり込まれる。

 そしてアイテムとお小遣いのやり取りをさっさと済ませてから、恒例の抱擁式魔力チャージが始まった。

 いつものように、ベソルが吸うタイミングに合わせて俺からも魔力を流していく。

 すると「はうっ」と艶めかしい悲鳴を上げて、ベソルが俺にもたれ掛かってきた。いつもより腰が砕けるのが早い気がする。

 ベソルの顔を覗いて見ると……いかん、白目をむいて気絶している!?

 しまった。今日はレベルアップしたんだった……。

 俺は急いでベソルを椅子に座らせて休ませる。涎を拭いて奇麗にするのも忘れない。

 魔力チャージを途中で止めていたので、ベソルはすぐに意識を取り戻した。


「ごめん、レベル上がったの言うの忘れてた……」


「もう、ちゃんと言ってくれなきゃ身体がビックリするじゃないの。ミー君、レベル上がると凄く濃くなるから……立てないから、このまま続けて……」


 その後、俺は椅子を四脚並べてベソルを寝かせ、宿へと帰ってきた。意識はあったので大丈夫だろう。


 俺は食事を終えた後、二階層の収支をノートに纏めた。



今日までの精算結果(二階層卒業)

~~~~~~~~~~


前回からの繰越金額 -1,905エール


収入

ゴブリン10エールx10匹=100エール

ワーウルフ15エールx152匹=2,280エール

2,380x50%=1,190エール


支出

お小遣い20エールx9日=180エール


残高    -425エール


目標金額

魔法書 5,000エール


~~~~~~~~~~



 ゴブリンよりワーウルフの方がお金になるので、稼ぎも大きく増えた。

 借金は後少し! この調子なら、三階層で借金返済が終わりそうだ。

 そして四階層か五階層を攻略する頃には、魔法書が買えるかも知れない。

 頑張るぞ!









----------




 同じ頃、閑静な住宅街の、とある建屋の一室。

 肌触りの良さそうなネグリジェを纏った美しい女性が一人、優雅にお気に入りの赤ワインを楽しんでいた。


 ミー君の稼ぎが増えてきたから、ワンランク上のワインに変えてみたんだけど、イマイチねえ。

 やっぱり本物の血……ミー君の血じゃないと、味気ないわね。

 明日から、ミー君は三階層ね。ウフフッ。

 順調にレベルも上がってるし、どんな味がするのかしらぁ。ジュルル……。

 あ、『帰還の魔石』を準備しとかなきゃ。

 明日が楽しみねえ。


 でも、問題はやっぱりあの猫ねっ!

 この前はあの猫のせいで、血を飲みそこねちゃったわ。

 明日は邪魔しなきゃいいんだけど……。

 あいつと一緒に行動するようになったら、これまでのようにはいかないわね。

 どうやってミー君の血を貰うか考えないと。


 そうねえ……。

 手を滑らせてナイフを落とす……不自然すぎるし、いつもナイフ持ってたら変よね。

 魔力を吸ってる時に興奮したどさくさで噛み付く……そんな下品な事、私には出来ないわ。

 魔力吸ってる時は力が全く入らないから、どうせ無理ね。


 ホント、どうしようかしら。



~~~ベソルの収益~~~


<ステータス上の所持金額>

前回繰り越し 8,580エール

サポーター日当 +1,000エール

ゴブリン素材代合計 +5,700エール

ゴブリン魔石代合計 +3,500エール

食事代 -2,100エール

赤ワイン代 -3,700エール

魔力エステ代 -2,000エール

ミツグお小遣い -200エール


残高 10,780エール


~~~~~~~~~~




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