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エピローグ

「はぁー! 今日も疲れたねー!」


「何言ってんのよ……吹雪は指示出してるだけでしょ?」


「えー? マスターはマスターでアタマ使うんだから!」


「ふっ……」


「あっ、鼻で笑ったでしょ! 叢雲!」


 学校の帰り道。今日も今日とてたっぷりとバトル(部活動)をしてきた吹雪と叢雲。季節はすっかり秋と冬を越し、そろそろ日中も暖かくなってきた頃合いだ。近所の桜の木も少しずつ色づき始め、朝のニュースによれば南の暖かい地方ではもう開花宣言が発表されたという話だった。


「それにしても、もう半年とちょっとが過ぎたんだねー。大会からさー」


「急に何よ。私の華麗な活躍でも思い出したわけ?」


 バトルドール・ガールズ東日本大会を見事優勝したブロッサムメイツ。その後、吹雪達はSNSなどでちょっとした有名人として扱われ、またそれに伴って桜ヶ丘第一高等学校の知名度も上昇したといっていいだろう。しばらくの間、街のバトルフィールドを利用しようものなら、いつの間にか出来たファンやら追っかけへの対応に苦慮することもあった。それはそれで大変ではあったが、最近ではいきなりバトルを申し込まれるような事もない。




 結論から言って、彼女たちの高校は廃校を免れた。


 世間的にはまだ噂でしかなかった、少子化とオンラインスクールの台頭による就学人口の減少を受けて推進された公立学校の統廃合計画。先生情報によれば、吹雪達が通う高校はその草案で廃校対象のリストに入っていたらしいのだが。


「一応……私達の活躍のお陰……で、いいんだよね?」


「そうに決まってるじゃない。でなきゃ、あれほど苦労して大会優勝した甲斐ってもんが無いわ」


 大会の後、しばらくしてから文部科学省と政府による全国的な公立学校の統廃合計画が発表された。そして廃校対象となる学校のリストに、桜ヶ丘第一高等学校の名前は無かったのだ。


「それにしても、色々あってその計画自体がポシャるなんてねー。なんだか釈然としないんだよねー」


 だが、統廃合計画の急な発表と強引な手法は世間の反感を買ってしまい、さらにはSNSやインターネットを中心に反対活動が広がってしまったのだ。廃校対象となったいくつかの学校の生徒が自主的に署名活動を展開したりと、地道な努力が実を結んだ結果、計画自体が見直しされる運びとなったのだ。


「何言ってるのよ。詳しくは知らないけど、私達が優勝したことでリストから外されたって先生やフレイスヴェルグが言ってたじゃないの。私達のやった事は決して無駄なんかじゃなかったわ」


「うん……そうだね、叢雲が言うなら間違いない! っと、ただいまー……あり?」


 自宅であるアパートの一室、いつもどおりに鍵を差し込むが、どうやら空いているようだった。今朝はちゃんと戸締まりしてから登校したはずだったと訝しんでいると、ガチャリと扉が開いた。


「あら、おかえりー吹雪。もー、ずっと待ってたのよー?」


 中から出てきたのは吹雪の母親だった。そう言えば、一旦日本に帰ってくる用事があるとかでこちらに寄るとチャットアプリで連絡してきたのを吹雪は思い出した。


「あ、おかーさん! 部屋に入ってるなら先に言っといてよー!」


「まーまーいいじゃないの。勝手知ったる娘の部屋、見られて困るようなもん置いてないでしょ」


「……ちょっと、誰よコイツ」


「……あれ?! 叢雲ちゃん?! なんで吹雪と一緒にいるのよ? いやー久しぶりだねー!」




「「はぁ?!」」




「あれ? もしかして私のこと覚えてないの? ほら、叢雲ちゃんのマスターの深雪だってー。いや~二十年ぶり? いやそんなに昔じゃないかー」




 * * *




 季節は春の少し手前。


 新たな事実が判明したが、吹雪と叢雲の関係は変わらないだろう。少なくとも、今の二人は最高の相棒なのだから。


 それに、これからすぐに忙しくなる。四月になればBDG部も新しい部員を募集するし、何より今年はバトルドール・ガールズ()()()()が開催される。東日本大会優勝チームであるブロッサムメイツはシード出場が約束されているが、それでも強豪揃いなのは間違いないだろう。


 秋華と陽炎のいる黒風白雨を始め、過去に戦った多くのチームも参加する。彼女たちも常に進化しているし、叢雲たちも苦戦は必至だろう。


 それでも吹雪はいつも前を向き、叢雲は先陣を切る。そして美空とフレイスヴェルグ、真理とアルテミスがそれに並ぶ。一人では苦戦してしまうようなバトルも、ブロッサムメイツの三人が揃えば必ず勝てる。そして、彼女たちには心強いマスターがついている。


 これは、どこにでもいるような普通のマスター(少女)と、プライドは高いけど仲間思いなドール(少女)がちょっぴり頑張るお話だった。


 これからは、いつも明るく挫けないマスターと、誰よりも芯の強いドールが、どんな苦難にも立ち向かうお話になる。


 バトルドール・ガールズ。小さな身体に最新鋭のAIを搭載し、多機能高分子とエンジニアリングプラスチックのハイブリッド素材をその身に纏った少女たち。マスターと呼ばれる者と心を交わし、共に生活し、共に戦う。


「いくよ、叢雲! 今度のバトルもぶっちぎっちゃえ!」


「ふん、そんなの当たり前よ! 吹雪は大船に乗ったつもりで待ってなさい!」


 ――――少女たちは、今日もバトルを繰り広げる。




 バトルドール・ガールズ


 ――完――

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― 新着の感想 ―
[一言] バトルドールガールズ完結おめでとうございます! ラストバトルは一転二転三転してラストに相応しい展開でした。 なかでもアルテミスキャノン爆発事件は良かったです。まさかアルテミスの核融合炉を爆発…
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