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道と術

お久しぶりです!眠たい…でも書けました!

久々の戦闘描写ですが、どうでしょう?



どうぞ!

夢道高校、夢高と呼ばれるこの学校は部活動で有名だ。サッカー、野球、柔道、茶道など…多くのジャンルが活躍している



その中で剣道部は二年前かりの新参でありながら、二年前から全国大会を連覇する強豪であった





「…何でこんな所来ちまったかな~…」



学校の校舎から少し離れた場所に、中々の大きさの道場があり、そこを入ると玄関にはトロフィーが立ち並ぶ。その奥を行った所に彼、仁道光矢はいた



右腕に刹那を、左腕に小野崎をくっつけて…というより引きずられて



この状況になった経過であるが、別段光矢が二人を落としたのではない



「絶対逃がしませんよ!あなたの腕は私の目で実証済みなんですから!」



「せっちゃんが言う程の男子なら期待出来そうね!全く放課後早々逃げ出そうだなんてそうはさせないよ!」



簡単に説明すると、現在は放課後であり、学校が終わった瞬間光矢は、剣道部の勧誘から逃れるために脱走を試みたのだが、ドアを出る寸前に両腕を二人に捕まれ、カバンを持ったまま引きずられて道場まで連行されたのだ



この時、光矢は女子二人に連行されているという余りにもシュールな光景を多くの生徒に目撃され、それを見た生徒に憐れみの目で見られつつ爆笑される何とも涙を誘う仕打ちを受けたのだった



「なあお二人さん…頼むから帰らせて!?俺人前で剣振りたくないの!お願いだからその手を離してぇぇ!」



「何を今更、あの時普通に竹刀を振ってたのに」



「あれは非常時だったの!あのまんまだったら何時まで経っても終わりそうにも…待てよ、そういえば刹那ちゃん」



すると光矢は突然何かを思い刹那に声をかける



「何です?」



「いや、そういやお前あの騒ぎあってから明らかに俺より遅刻したはずなのに、別段何かされたような感じがないんだが、何で?」



「え?それはあれですよ。事前に学校側に連絡を入れて事情を説明してから学校に行ったので、お咎めなしだったんです」

  


「はい!?じゃあ俺も適応範囲内じゃん!何で俺だけ怒られてんの!?」



「それはあれじゃないですか?連絡もなしに遅刻して事情を言わなかったからじゃないですか?」



「り、理不尽だ!んじゃ俺やられ損かよ!」



「んーそれは仁道君がしっかりやらなかったのが悪いよ?」



「そ…そんなぁ…」



光矢は小野崎のラストの一言で撃沈してしまい、気力を失った屍のように下を向いてしまった。女子二人に腕を捕まれながら



「あ、部長~!連れて来ましたよ!例の男の子です!」



だが刹那はそんな光矢など目もくれずに道場の中で声を張る



「ん?おお真京か。誰が来たって?」



すると道場の奥から野太い声がしたと思うと、三人の前にガタイの良い男が姿を現した



「そいつが例の一年か?何か死んだみたいにぐったりしてるが、どうかしたか?」



「ええと、ちょっとした自業自得…ですね」



「こら!仁道君!いつまでも落ち込んでないで部長に挨拶して!」



「楓ちゃん…君に分かる?マッチョマンにあらぬ誤解を着せられ頭をぶたれ、おまけに俺の精神を無駄に削られたという事実を受けたショックの大きさを!」



「全然」



「ぐはっ!?」



「…そろそろいいか?」



「え?あっとすいません部長!ほらもう起きてよ仁道君!」



一通りコントのような流れが終わると、さすがにこのままはまずいと感じた部長と呼ばれる男は声をかけた。そしてそれによって小野崎はすぐさま光矢を立たせて向き合わせる



「初めまして、俺は剣道部の部長兼主将を務める片桐剣かたぎりつるぎだ。君の噂は聞いているよ、よろしく」



「……仁道光矢です、まだ入るとは言ってないですが…今日はよろしくお願いします」



光矢は部長、片桐との挨拶をしながら、自然と何かを品定めするような鋭い目つきで彼を見る



(立ち方はマシか…重心がしっかり座ってる。剣を持つ人間が持つ独特の威圧感も並みよりはある、か…だがそこまでかね)



そして光矢は一通り評価を終えると目つきが戻る。その時間わずか0.5秒



「君の前にも一人一年が来たんだが、まさか初対面の時に同じ目で見られるとは思わなかったな」



「っ…それはすいません。不快だったなら謝ります」



「いやいいさ。その子がした事を君もするということは、かなりの手練れは人を一瞬で見る力があるということだろうな」



「あ、ちなみに言うとその子は有沢さんだよ」



「チーが!?」



すると光矢は突然幼なじみの名が出たことに驚く



「あいつが部活に顔を出すなんてよっぽどだぞ」



「あ、やっぱりそうなんだ…実はね?有沢さんも最初は勧誘を断ってたんだけど、ね」



「せっちゃんが仁道君が関わったあのいざこざの渦中にいたって聞いたら、仁道君の話を証言してくれるなら行ってもいいって言ってくれたんだ」



「……そうなんだ(あいつ裏でそんなこと…苦労かけちまったな)」



光矢は表には出さなかったが、千歳に対して心の中で礼を言う



「早速なんだが、防具をつけてくれないか?君の力を見たい」



すると頃合いを見て片桐が話を切り出す



「?片桐さん、そんないきなり模擬戦なんてやっていいんですか?」



「仁道君、俺達剣道部は新参ではあるが連覇校だ。それなりのプライドがあるんでね、その場で実力のない者は排除するのが筋となっているんだよ」



「有沢さんもそれで試合をしたんだよ。相手はせっちゃん…てかあの人凄すぎだよ!せっちゃんが攻勢に出れたのが一回きりだったんだから!この子中学の頃天才って呼ばれる位凄い剣士だったんだよ!それをあんな風に倒すなんて!」



「別に凄くもないからね!?…あたし、天才とか言われてもよく分かんないし…昨日の有沢さんみたいな人には及ばないのも分かってたから。だから私は皆が思ってるような人じゃない」



すると刹那は俯き、暗い顔を見せた



「……ふう、片桐さん、防具を着けて下さい。僕には竹刀のみを頂きたい」



「何?」



だがその時、突然光矢が口を開く



「すいませんが俺は剣道を心得てないんです。俺が出来るのは剣術、試合ではなく死合い…命の取り合いに防具なんて重いものは背負わないんですよ」



「え!?ちょ、仁道君!君何を言ってるのか」




























「貴様、我々を馬鹿にしてるのか?」



そして光矢は怒りの引き金を引く。片桐は顕著に光矢の発言に憤慨の態度を示し、彼を威圧する



「馬鹿にする?馬鹿言うつもりありませんよ。チーは元々剣術を進む者だった、けどいくつか剣道の心得を持っていたから試合が出来た。けど俺は器用じゃないんですよ。俺が剣を振ってきたのはほぼ殺し合いの術…一本道を外れた荒れた野を生きる術しか知らない。ルールという縛りのない世界から、ルールのある道には戻れない。だから俺は今まで通りの流儀でお願いしたいんです」



だが光矢はそれをどこ吹く風のように涼しい顔で、かつ真剣に言葉を発する



「こ、殺し合いって…」



「刹那ちゃん、何をそんな驚くことがある?元々竹刀は真剣の代用…つまり斬るためにあるんだ。人を斬るものを斬ることに使うことは間違いかい?今は道徳的な視点があるけど、それは立て前だ。結局追い詰めたら残る結論はこれだ……俺が人前で剣を振りたくない理由、分かった?」



「「あ…」」



そして光矢の説明を聞いた刹那、小野崎はようやく気付く。殺し合いの剣を無闇に人前で使えばどうなるか、剣道を知らないまま剣を磨いた者が道を進めば何が起こるか…それらが分かった上で再び彼が言った冗談半分にも聞こえる発言を反芻させると、その言葉の重みが増す



「ま、それやって痛い目見たからってのが本音だけどさ?っと、時間を余り食いたくないんだった。片桐さん、改めて言います。防具の用意を、そして俺に竹刀を」



光矢はここを区切りと見たのか、改めて片桐と向かい合い、同じ事を口にする














「これは剣道と剣術の真剣な果たし合いだ」



ただし、新たに一つ、彼の意思を付け加えて



「……よろしい、受けよう」



「な、部長!?」



そして片桐はそれを受け入れ、防具と竹刀を固めて置く場所へ向かう。小野崎はその背中に慌てて止めようとする。考えてもみてほしい、先程までの死合いだの殺し合いだの言った側からこの場でそれをやろうと言うのだ。止めないはずもない……止められる訳でもないが







「念の為ルールを言います。勝敗は相手の武器を取るか、膝をつかせた場合。基本手足は使える。死角に回り込んでの打ち込みも有り。これで変えたい場所は?」



「手足の使用とは突きや蹴りを使える、ということか?」



「はい、ただし手足の使用で相手を卒倒させるような場合は反則負け、決め手は必ず竹刀で行うことです。距離を取るために蹴りを使っても構いません」



「いや、それは結構。私は道を歩む者、反することはしない」



「そうですか。なら了承ということで」



二人は準備を済ませると、互いに開始の位置に立ち、ルールを確認する



「判定は女子陣、刹那ちゃん、楓ちゃんな。回りはあんまし騒がないように。何度も確認するが、これは剣道の試合じゃない」



そして準備をしていた時に道場では変化があった。剣道部員が騒ぎを聞きつけて集まってきたのだ。光矢達がやってきた時間帯はまだ人がいなかったのだが、いつの間にやら時間が押していたらしく、今は二十人近く正座して脇にいる



おまけに騒ぎの余波のせいで一般生徒も十人程道場を覗いている。ちなみに生徒はほぼ女子、光矢にとっては踊る程嬉しいことだろう



だが今の彼はそれすらも眼中にない



「えと、では位置について」



ルールの確認を終え、小野崎は死合い開始を促す。片桐は剣道の作法通り剣を持ったまま立ち位置でしゃがんで相手を見るが、光矢はそれをせず右手に竹刀を持って自然体に立つ



光矢のこの行いを咎める者はいない。彼は剣道の剣士ではないと、この場の者達も承知の上だから



そして片桐の雰囲気はいつにも増して、重い。向きあう敵をねじ伏せようとするその迫力は、見るものですら息を呑んだ



忘れているようではあるが、彼は主将。剣道部を二年連続で頂点に導いた猛者なのだ



「それでは互いに」



そして戦いの火蓋は



「始め!」



切って落とされる



「刹那ちゃん、しっかり見てろよ?この光景を…この後から先の背中を」



「え?」



だが光矢は始まりの瞬間に何故か刹那に声をかけ、うっすらと口角を上げた



「余所見とは余裕だな」



片桐はその隙を逃すはずもなく、容赦ない突きを放つ



「余裕?そう見えたか?」



その突きを見た光矢は、敬語を忘れ、ただ微笑してそれを前に出ることで迎え撃つ



「突きの悪い所は速いけど一点しか攻撃出来ないこと」



前に出た光矢は目線の先に竹刀の先を捉えると、突然バランスを崩すように体を下に落としてかわし、懐へ走る



「もらった!」



そして懐から光矢は右手の竹刀を斜めに切り上げる



「くっ!」



だが片桐はそれに反応してみせる。踏み込んだ後に突きを放ったにも関わらず、かわされたと感じた瞬間に踏み込んだ足をすぐさま後ろへ蹴ることで足元に引き戻し、即座に竹刀を引いて攻撃の角度に合わせて竹刀を盾にした



その直後、光矢の剣閃は片桐の竹刀に吸い込まれるようにぶつかる










はずだった



「何!?」



「っ!」



光矢の右手は完全に振るわれ、竹刀に向かっていた。だが彼らが驚いているのはその肝心の竹刀が『右手にない』のだ。その竹刀はと言うと



「まさか…右手を振る時に!」



光矢の視線高さの宙に落下していた



「確実に手にかける方法、意表をつくこと。講義料はあんたの右脇だ」



そして光矢は空中の竹刀を左手で掴み、真下から片桐の右脇を切り上げた

いかがでしたか?光矢がちょっとガチになりました。それと後にそれらしきことを言いますが、光矢は自分の剣術を嫌っています。何故?それは続きです


そしてアクセス数1000を超えました。ありがとうございます!


次回、片桐戦。光矢が!?

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