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10-2 瀬尾の過去


 アイマスクを外すと、僕と凪ちゃんが2週間前管理者に出会ったカフェについていた。しかしながら、周りには、瀬尾と前回会ったミステリアスな雰囲気の女性しか人はいなかった。変な場所に行くことを予測していたので拍子抜けだった。


「お久しぶりです、ヨデンです。お二方には負担をかけて申し訳ありません」


 彼女はそういった。


「ヨデンさんですか?」


 僕は彼女に聞いてみた。彼女は、そういえば前回名乗れていなかったですね、と言っていた。漢字では「良い」に「田」と書くと言っていた。


「早速ですが、結局どうするか決めていただきましたか?」


 僕は「2つの世界を両方とも残すことはできないのでしょうか?」と聞いてみた。怒られることも覚悟したが、彼女は感情を荒げることなく冷静に答えてくれた。


「私としてもそうできれば良いと思いながら色々模索していたのですが、どうにも厳しいようでした。申し訳ありません。この世界は通常の世界とは時間の流れ方が異なる場所にあるので、時間をかけてもらっても大丈夫です。どうしたいかを決めていただきたいです」


 彼女は諦めたようにそういった。瀬尾も、受け入れたくないのは理解できますが理解してくださると助かりますと言っていた。妙に腰が低いという印象だ。


「実は僕もそうだったんですよ」


 瀬尾は話し始めた。


「僕もお二方と違う世界でしたが同じような経験をしていて、管理者、良田さんではありませんでしたが、にブチギレて暴言を吐いてしまいました。今は比較的落ち着いていますが、知らされた時は暴力まではいきませんでしたがかなり怒っていましたね。今のお二人は取り乱していなくて素晴らしいと思います」


 彼が荒い言葉を使っていることは、今の話し方からは想像できない。凪ちゃんはその時の彼を想像して怖くなったようだが、感情としては当然だろうと思う的なことを言っていた。


「私と彼の世界が違うように、2人の瀬尾さんのいた世界も違っていると思います。瀬尾さんがどのような根拠であなたの世界を選んだのか聞きたいです」


 凪ちゃんはそういった。彼は答え始めた。


「2人の場合は性別が違いますが、私の場合はお互いの世界で外見は同じでした。しかしながら、片方の世界では2浪して医大に合格したのち、卒業後は研修医として働いていて、こっちでは現役であなた方と同じ大学に合格したあと卒業後は塾講師として働いていました。当然向こうもこっちも自分の世界の方が良いと思っていると言っていて埒が開かなかったので、結局コイントスで決めましたね。30歳の頃の話でした」


 彼はそういった。聞きたいことが無数にある。


「2つの道が1つになったあと、あなたに何か変化はありましたか?」


 僕は彼に聞いてみる。彼は肉体的な痛みはなく、もう1人の自分の記憶は遠い夢のように感じていると言っていた。そうは言っても、忘れてはいないようだった。


「僕はどちらかといえば凪ちゃんの世界を選ぶことにしています。やっぱりこっちの世界では自分はいないはずだったとなっているのがいちばんの理由ですね」


 僕はそう伝えた。彼は、時間は無限にあるから考え直す時間もあると言ってくれた。


「ちなみに良田さんはどうしたんですか?」


 僕は彼女に聞いてみる。彼女は、自分はそのような選択をしていないと言っていた。

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