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8-3 レイとの食事


「普段カシスオレンジのむの?」


 自分は彼女に聞いてみる。彼女は、いつもは違うがなんとなく最初にカシスオレンジを飲みたい気分だったと言っていた。


「凪は普段何飲むの?」


 自分は最初の1杯目は大体ビールを飲むことが多い。そのあとはみんなの気分で決める感じだ。レイはビールを注文しているらしい。数分後、注文していたものが届く。


「いきなり凪呼んでごめんね、乾杯!」


 凪ちゃんはそう言って乾杯してくれた。レイも、大丈夫だと言ってくれた。


「パラレルワールドって実際にあるんですね」


 レイは信じているのかは不明だが、今まで読んできた話から自分が言っていることを理解してくれていたようだ。その上で心の底から本当だと思っているのかまではわからない。僕の世界のレイも似たような反応だったように思う。自分はそれとなく聞いてみる。


「彼女から話は聞いてますので、ある程度本当なのかなとは思っています」


 レイはそう言ってくれた。


 自分が昔タメ語で話していた人と敬語で話している状況を改めて不思議に思う。自分は持ってきてくれたカシスオレンジを口にした。


「私も時空のおっさんの話などを読んでいるので、ある程度そう言う話を概念として理解できている方だとは思っています。そのことと、実際に見せてくれたマイナンバーカードと学生証にも凪ちゃんと同じ学生番号と誕生日が書いてあったので、もしかしたら本当なのかもしれないなとは思いましたね」


 彼女は落ち着いてそういった。少なくとも完全な創作話だとは思われていないようで一安心だ。


 レイは僕の記憶と同じように、かなり早めのペースでお酒を飲んでいる。自分と凪ちゃんはほとんど同じペースだった。性別が違うのにかなり性格や考え方が似ているのは、同一人物であるならば驚くことではないのかもしれないが意外に感じる。


 体重は聞いていないが、身長や大雑把なプロポーションも同じだ。性格はともかく、身長や体格は性別が違えば大きく違うはずだ。そこが同じことは改めて不思議だなと思う。


 レイは1杯目のお酒を飲み終わったようだ。僕と凪ちゃんは少し遅れて同タイミングで飲み終わる。自分は凪ちゃんのおまかせで注文した。レイは2杯目もビールを行くらしい。


 そういえば装置を持ってきていたことを思い出した。自分は凪ちゃんに小声で「装置を使えばレイを本気で信じさせられるのではないか」と聞いてみる。


 凪ちゃんは確かに実際に信じそうだが、周りに人がいる状況ではリスクが高いから今はやめた方が良いと思うと言われた。自分は確かにと思い、思いとどまった。

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