6-3 元カノの話
「すまん、待たせたな」
僕は大丈夫だと伝え、予約が入っていた店の方まで向かっていった。
「3名様で予約の大村様で間違い無いでしょうか」
彼は間違いありませんと言った。店員が奥の方の席まで導いてくれた。僕は椅子に座り、持っていた荷物を荷物入れに置いた。
「時空のおっさんの映画、見た?」
どうやら大村は時空のおっさんの映画が今日公開だという話だとを覚えていたようだ。僕は見てからきたと伝えた。
「あ、今日なの?」
もう1人の本郷は言った。彼も映画の話は聞いていたようだが、今日公開だということは聞いていなかったようで、どうだったかという感想を僕に求めてきた。
「ネタバレ有りでもOK?」
自分は彼らに聞いてみる。彼らはOKだと言っていた。自分は映画の内容とその感想を話した。
「変わった話だね」
本郷はそういった。僕はそれでも面白いと思ったということは伝えた。
「ホラー要素が少ないのいいな」
大村はそう溢した。大村はホラー系の描写が苦手なようだった。
そんな話をしていると店員がファーストオーダーを受け付けてくれた。自分と本郷はビールを頼んだが、大村はお酒に弱いという理由からソフトドリンクのオレンジジュースを注文した。
大村は高校の頃やったアルコールパッチテスト(腕にアルコールパッチを当てて、肌の変色からお酒の強さを推定するテスト)では赤くならなかったらしいが、実際に口にしてみるとすぐに顔が赤くなったようでそれ以降飲まないと決めているらしい。すぐに飲み物とお通しが運ばれてくる。僕たちは乾杯!と合図をして飲み物を口にした。
僕は最初はビールをまずいと思っていたが、克服したいと思いながら飲んでいるうちに自分は飲めるようになっていた。それは本郷も同じようだった。本郷は僕が彼女と別れたという話を覚えていたようで、その話題を出してくれた。
「元彼女さん今どうしてるの?」
大村はそもそもなんで別れたんだっけと言っていた。自分は彼女がアイドルを目指すということで別れたということを伝えた。彼女はアイドルに無事合格したらしく、今年の3月から正式に活動するらしい。
「そういえば自分の彼女が誰だったのかって話、そもそもしてたっけ」
ふと思って聞いてみたが、2人ともはっきりとは覚えていなかったようだ。彼女ができたときも特に何か報告もしてないし,別れたときも別れたとだけ伝えて、どのような経緯で別れたのかは理解していないようだ。自分が話していなかったのか、話したが忘れていたのかは不明だが、少なくとも2人とも理解していなかったのは間違いない。
自分は最近、記憶力に不安を覚えることが多くなっているように感じた。




