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Air Cloud Spot...  作者: ampoule
12/15

vol.12...The Grim Reaper in the autumn

『もう終わりにしよう?』

『嫌だ、まだ付き合いたい!』

『どうして、死神が手を振っているのに』

『死神だって時にはキスを見過ごすもんよ』





「ねえ、冬って愛しいよね」

「そう……かな、あたしだってよく分からないけど。どうしてなんだろうね、鍋島君」

「今日の君は哲学的だ」そう言って、私の方からキスをした。だって、私の志向と彼女の思考が重なったのだから。

「高校生って、自由だと思う?束縛だと思う?」彼女は聞く。

「高校生なんてまだ可愛らしいものだよ。これから段々自由になる」

「自由って何?」

「……」私は言葉に詰まった。「雨が降るのと一緒かもしれない。雨粒って振っている間は実に自由だ」

「そんな事知りたいわけじゃないよ。今のアンタってずっと合わせている。あたしのレベル、落とそうか」

「いや、上げてくれ。もっと深く、君のことが知りたくなった」そう言って私はキスをした。

「どうしてキスしたの?」

「好きだったらキスをするわけじゃないだろう?単なる挨拶だよ」

「挨拶だったらしていいよ。わたしもどこでも挨拶はしたくない」

「そうだね。私もそう思う。挨拶は私的であるべきだ」

「そうだね。弁当冷めるよ」

「冷めた弁当要る?私が作ったんだけど。三色そぼろ弁当」そう言って出したのが、そぼろ弁当。あんかけにしたので、冷めても美味しい仕様にしている。

「へえ、じゃあ貰おうかな?」

「どうしたの?お腹の様子は大丈夫?」

「お腹ってキスしたら減るものなの。あたしのサンドイッチあげる。あたしもサンドイッチ作った。バゲットでね」

「へえ、じゃあ硬そうかな?」

「柔らかいのを選んだつもり」

「今度からバゲットにキスしたら?」私がそう言うと、エリザがウインクして、長いキスをした。私は弁当を食べる暇がない。

「彼氏になるんだね私が」

「そう。代用じゃないから」

「本当に?」

「絶対」

「何故多分って言わないの?」

「多分って言葉、嫌いだから」

「ふうん、変わっているね」

「そうかな?多分って随分感覚で使う言葉っぽい」

「だったら辞めようか?」

「いやあんたは使っていい。本当の事あんた自分で分かっていないから」

そう言われると、そうなのかもしれない。だから鵲にフラれたのか。ようやく彼女の思考に気がついた。彼女の父親は既に亡くなっている。彼女の言い訳だろう。ラインで言っていたし。彼女は離れたかったのだろう。どう見たって、鵲さんよりもエリザの方が私には向いている。それを教えていたのだろうか。

「そうか」

「じゃあね」サンドイッチを食べた彼女は立ち上がった。彼女はそぼろ弁当は食べなかった。

「ねえ」

「うん……何?」

「俺、鵲さんと別れた原因なんだと思う?」

「過去って降り積もるものだから、降り積もった過去って覗けないものなの。ちょうどステンドグラスの裏側のように」

「そうだろうね」

私は、彼女に断罪してほしかったのだろう。本当の事分かっていないからよ、って。そう言えば溜飲が下がったのかも知れない。下らないプライドだ。

「また、会いに来て」

「どうしてそんな事言うの?」

「会いたくなったから」

「あたしの心は遠くにいるかも知れないから、いつ鼓動が会うかわからないわ」

私の事を分かってくれるのは彼女だけだ。私は彼女と結婚しよう、とすら思えたが、まだ早すぎる思考であるが、恐らく。

「結婚しない?」

「いえ、私はそんな事をするくらい近くにいるのかなあ、って最近思うの」

「さっきのキスがあっても?」

そう言うと彼女は帰っていった。最後のプライドを何故壊したのだろうか。何故だろう。気をつけないといけない。

そういう子羊のような穏やかで優しい思考にはなれなかった。

寒くなってきた。

弁当は既に食べ終わっている。

しかし、彼女の思考を辿ることは終わっていない。




 壊れた彼女の心を直せる自信は私には無かった。



 しかし、確実に彼女との距離は縮まっているのが分かる。



 

 私の鼓動と彼女の鼓動の振動数や波長が揃っている。



 

 宝石のように奇麗なコサインカーブを描いている。



 美しく、妖しいサインカーブを描いた挙動を私の空に描く。



 彼女は笑っているかな?空が湿ったように泣いているのかもしれない。



 しかし、私は悪いことはしていないと思っている。



 彼女とのリンクしたいという願いが叶って良かった。



 『         』



 

 エリザは言った。



 今、切に願うのは彼女が秋空の中に放った言葉は何だろうか、と思案する事次第である。

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