第三話~この世界の才能~
~前回のあらすじ~
なんとか危機を乗り越えた希、そして村の村長のナノじぃに会いに行くために、山を登り始める。
僕とエスカはアムル村の村長のナノじぃに会うために山を登る。
「そういえばエスカは、ラムダさんからあのってつけられていたけどそんなに怪力なの?それともなんかの武術でも極めているの?」
最初はからかってるんだと思ったけど、どうもさっきのことが気になった。
「うん、そうだよ。私は強い。」
エスカは嘘偽りない顔でこういった。
「どのくらい?」
僕は興味本位で聞いてみた。
「そうだね希が襲われた虎、デントは10歳の時に倒したよ。でもね、別に怪力でもないし、なにかを極めたわけじゃない。才能があったんだよ。」
(そういえばアムル村の村長のナノじぃも、才能を見つけるんだっけ。日本での才能とこの世界の才能は違うのか?)
「ラムダさんも言ってた、その才能って何なの?」
「あの木をよく見ててね・・・ほい!」
「ドォォォーン。」
突如大きな音がしてエスカが指をさした木に穴があく。
「これが、これが才能!?どうなってるんだ。」
「これが私の才能、普通は他の人には教えないんだけど。空気を変幻自在に操る能力。今のは空気を槍上にして飛ばしたの。」
エスカは当たり前のことのように話す。でも僕は普通にしてはいられなかった。
(嘘だろ。綺麗な花には棘があるっていうけど・・棘が太すぎるだろ。)
「才能って何なの誰でもあんなことできんの?詳しく説明してくれよ。」
どうしても才能について知りたかった僕は、エスカに問い詰める。
「いいよ、まず才能ってのは誰にでもある。でもね、私みたいにできる人もいるけど大抵の人はできないの。まず才能ってのは生まれた時からある能力と今の、身体的能力からなるものなの。」
「才能と努力ってことか。」
「そういうこと。まず生まれ持った能力、例えば私みたいな空気を操れるとか、火を出せるとかっていう異能と、お父さんの猟がうまいとか、建築センスがあるっていう能力に分けられる。まぁ大抵の人は後者の能力を持っている。これが生まれたときの能力ね。」
この世界の才能の表現の仕方と、地球での表現の仕方はとてもよく似ている。でも、大きな点で違うところがある。それは異能があるってところだ。
「そして身体的能力、これは3つに分けられる。まず体、一般的な身体能力のこと。つぎは技、これは技術力のこと手先が器用とかそういう感じのやつ。最後が心、メンタルの強さとかってのがこれなの。」
最初から引っかかていたことがあった。
「でも、二つの能力にどんな接点があるんだ?異能すら生まれたときに持っていれば、実際のところ身体的能力はいらないよな。」
「確かに必要なさそうに見えるけど、物凄く重要なの。まずどちらの能力値も、EからSの階級に分けられる。例えば才能の能力値がSで、身体的能力の能力値がBだったら、その人はBまでの力しか引き出せないの。」
ナノじぃに会いに行く理由は分かった。でもまだ一つ引っかかる点がある。
「身体的能力は努力すれば、どうにかなるけど・・才能は生まれつきなんだろ、才能の能力値が低い人はどうする、諦めるしかないのか?」
エスカはまってましたと言わんばかりに話し始める。
「才能の能力値が低い人は、新たな才能を見つけてもらうために他の占い師に見てもらうか、その才能を磨くっていう方法があるの。でも、ナノじぃを含めて占い師は4人だけ、しかもその中の2人は今どこにいるかわからないの。」
占い師を見つけるより、才能を磨くほうが圧倒的に効率がよい。
「希、ナノじぃがいるのはあの家だよ。」
森の中にポツンと小さな家が立っている。そこから20歳くらいの若い男性が出てきた。
「やぁ、希くん、エスカちゃん待ってたよ。」
(あれがナノじぃ・・じゃないか。あんな若い人が爺さん呼びな訳ないもんな助手かな?)
「さぁ、家の中に入りなさい、疲れたでしょ。お茶を入れるよ。」
いわれるがままに家に入る、でも他にナノじぃらしき人は見当たらない。
「まず、自己紹介するね。僕はこの森の3代目の主、ナノ・オルカスだ。みんなからはナノじぃって言われている。」
「え!?あなたがナノじぃ?」
想像してたよりずっと若い。もっと老けている人だと思っていた。
「こう見えても僕はもう135歳だよ、下の村の人たちよりも、もちろん君たちよりも、ずっと年上なんだよ。」
この人が村の村長であり、4人しかいない占い師の一人。




