第109話:ギグス降臨
転移魔方陣の光に包まれながら、ギグスは心の中で悪態をついていた。
(……クソ……マジャホめ……
元々は俺の部下だったくせに……
なんで今じゃ俺が小間使いなんだよ……)
ギグスは高身長、筋骨隆々、彫刻のように整った顔立ち。
神々しいオーラまで纏っている──が、それだけだった。
見た目だけで出世したが、数年経つと中身の無さが露呈し、
今ではかつての部下だったマジャホの雑用係に落ちぶれている。
そんな悲しき男が、光とともに講堂へ転移した。
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■ ギグス、降臨
マリアンヌの頭上に魔方陣が展開し、
クラリッサが目を細める。
「なに……魔方陣が輝いて……」
光が弾け、その中心からギグスが姿を現した。
神々しい光を背負い、まるで英雄のように降臨する。
アメリアは息を呑んだ。
「……すごいオーラ……超強敵!
ヤバいよみんな!」
エレンも焦りの声を上げる。
「バックスさん! ヤバいのが来ました!」
バックスは額に汗を浮かべながら頷いた。
「ああ……わかってる……
エレン、最大出力だ!」
しかし──当のギグス本人は震えていた。
(……なんかみんな見てる……
ナニコレ……完全にヤバいとこに出てきたじゃん……
マジでマジャホのバカ……)
クラリッサが剣を構え、ギグスへ向かって踏み込む。
「いくぞ!!」
ギグスの背筋が凍りついた。
(……なにこの女……めっちゃ怖い!!
もうムリ!!)
ギグスは反射的に転移壺を取り出し──
「えいっ!」
情けない声とともに、転移壺を投げつけた。
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ギグスの“見た目だけ最強”の勇姿は、
講堂にいた全員の予想を裏切る形で幕を開けた。




