8 将来設計・・・朝カフェ草案
ガゼボでの雑談
「ミコさまは今日は工場の件で東京行きですね」
「ねえここは考えようによっては不用心よね、こうやってだれでも入れるし」
「いやあ、普通の人はここに入って来て座ります? 防犯カメラもついているし・・」
「そうよね、ここは袋小路だしね」
「それにしても、私はこのあいだの入院で、なんか寿命の日めくりが残りわずかしかないんじゃないかと不安になったけど、片づけ以降自分を俯瞰できるようになって遠くも見えるようになった気がするの」
「ほんと、服とか食器とかはもう私を幸せにしないしね」
「そして、痩せようと人生で初めて思ったし」(遅くねえか)
「いつも思うんだけど店のレジでね、よくポイントカード持ってますかって聞かれるじゃない」
「うん、カードってどんどん増えて財布圧迫するから私は持たない派」
「人生も全てポイントにして年金を割り出せば、公平じゃないかって思うの。私なんか年金、少なすぎるし働いた日々を考えると、妥当な金額じゃないと思うし、なんでガイジンの生活保護費がずっと高いのか、おかしいでしょ。半世紀も日本に尽くしている私より、税金も払ってないガイジンの方がもらってるなんて」
「オーどーした、どーした」とレーコちゃん
「私は今まで、税金や年金保険料など一度たりとも滞納をしてきません、で100万ポイント、犯罪も犯さず、勤労で、税金もきちんと払ってきました、で100万ポイントって計算してさ、それで年金額を割り出せばいいじゃない」
「そうよね、勤労で滞納せず無犯罪、それこそが上級国民として賞賛されるべきで、年金の上乗せがあるべきよね」
「ねえこのアイディア考える政治家はいないのか」(いねーんだよな日本には)
「これ作ったらノーベル経済学賞確実だよね」
「ダメだね、日本は」
「でもよくさ月6万くらいで暮らしていますっていう年金受給者いるじゃない?」
「ああ、節約してね」
「でもそれって間違ってない?そういう自慢って」
「どこが?」
「だって今まで勤労で税金や年金を滞納せず、無犯罪の上級国民がこんなにお国に尽くしていて最後の仕打ちがこれかよって思わない?節約を強いる老後なんておかしいよ」
「まあ、怒りないな」となだめるレーコちゃん
「外国なんか、退職の次の月から月給の半額出るような職種もあるし、55歳で年金出る国もあるのよ」「日本人働きすぎよね」「だよね、退職後も働きたいってどんだけ勤労体質なんだろうか」
「私が外国で見たテレビ広告で印象に残っているのがあってね、信託銀行なんだけど。『この銀行は私のリタイアを3年も早めてくれたのよ』って利用者が言うの、つまり、この銀行のファイナンシャルプランは定年退職を3年も早めてくれて優秀だってことなのね。早く辞めたい外国人には定年後も働きたい日本人はクレージーに映るんだよね。まあ働かなくてはならない人もいるけどさ」
「みんな巻かれているよね。日本人弱すぎない?」
「教育だろうか」
「そうだね、たとえば、自分の人権が侵されたときどうするか、生活の中で隣にごみが不法投棄されるとか新興宗教が引っ越してきたとか、個人では立ち向かえない大きな問題に直面した時にどうすればいいかってこと、学校で教えてくれないもんね」
「なんか今日真面目っていうか豆ちゃんってすごくまじめ」(いかん固い雰囲気にさせてしまった)
「そういえば、ミコさまの社員寮を改装してカフェにする話どこまで進んでるの?」
「入り口の部屋を朝食だけの会員制カフェにし、昼間はサロン(集会場)として各サークルに貸し出すまでかな」
「じゃ、みんなで考えない?」
「朝食のメニューはどんなふうにする、和食とパン食」
「とりあえず会員は一か月一万円として、朝食代と見守り代、安否確認ができなかったら、まず家を訪ねて、何かあった時は関係者に連絡する費用として・・・」
「パンはトーストとコーヒーとゆで卵かな、和食派はごはんとみそ汁、納豆と豆腐とあと何か・・」
「とりあえずスタッフは当番制にして朝は7時から8時半まで」
「一人一万円で25人が限度だとして、25万で材料費とか行けるかな」
「安否は壁のマグネットネームプレートをボックスに入れて朝食を受け取る」
「顔認証できないかな」
「納豆ダメな人なら玉焼きとかヒジキの煮物や切干大根か、もっと安上がりのないかな」
「きっとだらだら居続ける人がいそうだから、そのまま外のカフェで9:30までお茶ができるとか」「10時から部屋貸しのため退去してもらう」
「サロンは、仙波さんの株取引入門講座、馬場さんの裁縫教室、私は手芸教室かな・・・」
「そういえば馬場さんみんなにおそろいのエプロン作ってくださいよ、小物グッズも販売するとか」
「あの片づけに使った書類仕分けファイルをオリジナルグッズとして販売するのはどうよ?」
「シニアでグループ作ってシニアモニターとして高齢者商品開発に提言するとかでアドバイス料」
「仙波さんは衛生管理者の資格生かしてフロアマネジャーとか」
「そういえばいらない食器あったよね、そのカフェで使えるかも」
「ほかにもカトラリーとかタオルとか、捨てなくてよかったあ」
「でもその前に、リフォームの見積もりとか、設計デザインとかいろいろハードルあるよね」
「そうだ、若道さんに聞いてみようよ、かえで不動産の」
「だね」
「とか、私たち勝手に言ってるけど、ミコさまのお話だともしかしてあの社員寮も売り払われるかもしれないわよね」
「そうね、それを今ごろ話し合っているとか・・」
「じゃ、もっとこの計画煮詰めて持たせるんだったわね」
「それじゃ、ひとつジジでも転がしますか」
「なにそれ?」
「お金持ちのじいさまがいるんだけど、この間理想の老人ホーム話で盛り上がったの、もしかしたら社員寮を買い取ってくれるかも」(転がし方によるわなと自分に突っ込む)
「なんか妄想するだけでも楽しくない?」
「ひとんちの不動産なんだけど」
「妄想って脳トレにいいらしいんだって」と私
その時大きな音がした、車がその社員寮がある土地へ突っこんで木にぶつかったのだ
(ヤバ。カフェがつぶされた?)




