第6話 王子様
『きらめきはいつもすぐそこに』
私が死んだ翌月に発売する予定だった乙女ゲームである。
前作とは登場人物も変わり、2作目からも楽しめる仕様だ。
発売日前に死んだから、プレイしてない!!
はい、詰んだー!
プレイしてから楽しみたい派だから、出来るだけ公式サイトを見ないようにしてたのよ。
この先なにが起こるか分からないまま生きて行かなければ行かないのか。
この世界は特殊すぎて、下手したら死んでしまうのだ。
もしかしたら、美少女にも身の危険が!?
処刑とかは勘弁して!
中庭で見かけた超絶美少女は、この物語のいわゆる悪役令嬢的立ち位置。
王子様の婚約者である。
小さい頃から婚約者にふさわしいように色々努力してきた方なのだろう。
礼儀作法にとても厳しいはず。
そして、私!
アリシアはこの世界のヒロインらしい(笑)
いやいやいや、おかしいでしょ!
私がヒロインって似合わない!
ここが乙女ゲームの世界って事は、当然攻略キャラがいるわけで…
まだ見ぬ王子様も攻略対象者。
もう、超絶美少女を悲しませるかもしれない存在なんて死んでしまいたい。
処刑はいやだけど!!
はっ!王子様に会わないようにすればいいじゃない!
私ってば天才!
「ケイト!随分可愛らしいお嬢さんと一緒にいるね。よかったら紹介してくれないか?」
ん?なにやつ!
「あぁ、殿下」
ビクゥ!!
サッとケイトの後ろに隠れる。
なにこれ?
殿下ってあれだよね?
もうこの場の殿下って王子しかいないよね?
なんてタイミングなんだ?
「幼馴染のアリシアです。おい、アリシア?どうした?」
流石に挨拶しなと失礼だよね?
仕方ない、今回は挨拶を済ませてやり過ごそう!
「初めまして、殿下。スコット伯爵家の長女アリシア・スコットと申します。」
「ハイネスティア王国第一王子のエドワード・ハイネスティアだ!よろしく、アリシア。」
ふぉーっ!
この国の王子様は爽やかきらきら系イケメンですか!
笑顔が眩しくて目が潰れそう。
だがしかし!
挨拶を済ませたからには、サッとケイトの後ろに避難させてもらうぜ!
「君の幼馴染は、随分恥ずかしがり屋だと見た!とても可愛らしいな。そして、とても仲良しだ!」
王子様が私とケイトの手を繋いだ部分を見つつ、にこにこときらきらビームを放っていた!
ちょっ!いつの間に手なんか繋いでるのよ!
子供じゃないんだからね!
プンス
「あ、これは!こいつがぼーっとしてるからでだな…。しかもこいつ、恥ずかしがるなんてたまじゃグホッ!!」
とりあえず失礼なので、背中に1発入れてやった!
「フッ…やっぱり仲良しだ!」
「まぁ、ありがとうございます!病弱だったもので、失礼致しました。そろそろお時間なので、お先に失礼致します。」
そう言って、ケイトを引きずって退散する。
「いたっ!ちょ、アリシア?引きずんなって!あ、殿下!また後ほど!」
「おほほほほ」
王子がこっちをじっと見てる気がする!
怖い怖い怖い!
後ろ振り向けない!!
「面白い子だな…。からかい甲斐がありそうだ!」
王子から逃げるこのに精一杯なアリシアには、不穏な独り言には気づくはずもなかった。
名前考えるの難しいです(๑・᷄ὢ・᷅๑)