「館護戦線」
初投稿です
※まだですが物語の途中から戦闘・流血描写があります。
朝の光がやわらかく館の廊下を満たしていた。
窓から差し込む陽射しや焼きたてのパンの匂い、遠くで食器の触れ合う音。
この館の朝はいつも騒がしいけれど、それが良いみたいなとこもある
レイズ「だから言っただろ! そこ爆破すんなって!」
シロクラ「いやいや必要なんすよレイズさん! あれは芸術的判断!」
レイズ「芸術で壁に穴開けんな!!父さんに怒られるの俺なんだぞ!?」
シロクラ「それはすみません、そこは本当に申し訳ないです…」
シロクラはしゅん、ってなる。次の瞬間にはまた
シロクラ「でも爆発は最高でしたけどね!!」
レイズ「反省してねぇな!!?」
シロクラ「当たり前です!!」
レイズ「テメェなぁ!!!」
廊下に朝っぱらから大声が響く。シロクラは敬語なはずなのに態度が最悪。
距離が近いのか遠いのかよく分からないが、なんか凄い楽しそう。
その横をやわらかい声が通る。
ソラ「はいはい、走らないの。危ないよー」
ソラが小さな手を両側から引いている。
ソラ「ニアちゃんゆっくりね〜!」
ニア「はーいソラさん!」
ソラ「アマネちゃんも転ばないようにね!」
アマネ「わかってるよぉ!だいじょうぶ!」
ニアとアマネは素直に頷く。
二人ともソラを見上げる目がきらきらしていて、完全にソラを「お姉さん」扱いしてるのが可愛い。
…とても可愛い。
アマネ「今日のおやつなにかなー?」
ソラ「たぶんクッキーかなぁ。ハウルさんが焼いてたよ」
ニア「おやつ、!」
アマネ「ニアちゃんよだれ!」
ニア「ぁ、えへへ……」
アマネがハンカチで拭いてあげる。それを見てソラはくすっと笑い
ソラ「ふふ…ほんと、二人ともかわいいなぁ、」
場面が切り替わり、窓際のソファに大きな影と小さな影が並んでいる。
角灯の隣でシュアが本を読んでいた。
シュア「私、ここ好き!」
ページを指でとんとん叩く。
シュア「誰かの灯りになれたなら、それだけで生きてる意味があるだって!」
角灯「…良い言葉だな」
シュア「うん!角灯っぽい」
角灯「俺がか?」
シュア「うん!」
即答。迷いゼロ。
シュア「角灯、もう灯りだもん!」
その言葉を聞いて、角灯の頭のランタンは灯りが強まる。照れているのが丸わかり。
角灯「……そうか」
シュア「そー!」
短いやりとりなのにすごく自然で。長く一緒にいる二人の空気だった。
館の中には笑い声があって、足音があって、誰かの名前を呼ぶ声がある。
ただそれだけなのに、胸の奥がじんわり温かくなる。
ここは世界の安全地帯みたいに穏やかで優しい。そして、暖かい
どんな時も帰ってきたくなる場所。
すると突然
「朝ごはんできたぞー!」
ここの館の主。ハウルの声が響く。
ソラ「今行きますー!」
シロクラ「はーい!」
ハウル「来い来い!」
いくつもの声が重なる。シロクラも振り返って
シロクラ「レイズさん、早く行きましょう! 飯ですよ飯!」
レイズ「わかったわかったうるせぇw」
廊下の奥からいい匂いが漂ってくる。焼きたてのパンやスープの香り。
シロクラ「飯だー!!」
レイズ「だから走るなって言ってんだろ!!」
シロクラ「ちょっ、離してくださいレイズさん!? 朝ごはんは戦争なんですって!」
レイズ「どんな理屈だよ別に戦争でもねぇし!」
騒ぎながら食堂の扉を開ける。
中はすでに賑やかだった。大きなテーブルの上に、湯気の立つ皿がずらりと並んでいる。
その中央でエプロン姿のエイルが微笑んでいた。
エイル「おはよう。みんなちゃんと手は洗った?」
声はやわらかいのに、逆らえない圧がある。
シロクラ「……洗ってきまぁす」
即Uターンするシロクラをみてレイズが小声で笑う
レイズ「母さんには勝てねぇな」
エイルはくすっと笑った。どこか儚くて、優しい笑顔。
その隣では黒髪の青年が淡々と皿を並べている。ルガだ。
ルガ「兄さん、また廊下で騒いでたでしょ」
レイズ「えっ、いや別に騒いでないぞ?」
ルガ「声、庭まで聞こえてた」
レイズ「マジか」
ルガ「マジ」
淡々と刺す。容赦がない。
レイズ「…お前、ほんと手厳しいよなぁ」
レイズがしょんぼり肩を落とす。けど次の瞬間
レイズ「ッッはァ!!!ルガ!重いの持つなって言っただろ!俺やるから!ほら!貸せ!」
ルガ「いや別にこのくらい――」
レイズ「ダメ!腰やる!絶対やる!」
ルガ「やらないってば」
レイズ「ほらほらほら!」
半ば強引に皿を奪うレイズ。ルガは心底めんどくさそうな顔をした。
ルガ「……兄さんブラコンすぎ。鬱陶しい」
レイズ「えっ」
ぐさっ。
ルガ「鬱陶しい」
レイズ「んな聞き取りやすく言わんでも」
食堂に笑いが広がる。ソラが小さく吹き出して、アマネとニアもつられて笑う。
シロクラ「レイズさん、今日も負けてるね」
レイズ「うるさいぞシロクラ!」
シロクラ「いや今は叫んでねぇけど!?」
レイズ「うるさい!」
シロクラ「んな理不尽な!」
わちゃわちゃと椅子が引かれて、みんなが席につく。
角灯とシュアは食べれないが、そこに壁は少しもなかった。
ニアはソラの袖を掴み、アマネはその反対側。自然ないつもの並び。
それをハウルが少し離れた場所から眺めている
ハウル「……増えたなぁ」
エイル「ん?」
ハウル「いや、家族さ」
エイル「貴方がここに来た子全員住ませるからw」
ハウルは、テーブルいっぱいの顔ぶれを見る。
笑ってて。騒がしくて。好き勝手で。でも、誰一人欠けてほしくなくて。
ハウル「でもよ、賑やかな方が、いいだろ?」
エイル「……そうね」
レイズ「っしゃー!いただきます!」
声が重なる。パンをちぎる音。スープをすする音。他愛もない会話。ただの朝食。ただの、なんでもない日常……なのに
この場所はやけに温かかった。
騒がしい朝が始まる。今日もきっと、いつも通りの一日。
_まだ誰も知らない。_
この“当たり前”がどれほど大切な奇跡なのか。
そして
その奇跡を壊そうとしている者たちが、もうすぐそこまで来ていることを。
読んでくれて本当にありがとうございます!亀更新かもですが、よろしくお願いします




