第十章~エピローグ
第十章
地球人がSenpastを発明してから5年後、当時銀河系内に5つしかなかったSenpastサーバー(Senpastは遠隔で空間を操作していた)のうち一つであるベガを公転していた「おりひめ」が、オフラインになった。ベガ周辺の「おりひめ」防衛衛星である「はたおり」がオフラインになる直前のデータには、アルタイル付近からのワープによるものと見られる空間の歪みが残っていた。また、「はたおり」のカメラはアスパル連邦の国旗が描かれた宇宙船が写っていた。「おりひめ」はアスパル連邦に技術を奪われるのを防ぐためその後自爆した。
それとほぼ同時に、ちょうこくしつ座矮小銀河の「Saipo」というちょうこくしつ座矮小銀河全域を支配する国がアスパル連邦により攻撃され、銀河系と大マゼラン銀河の間にある「Veamela」という連合王国も攻撃された。
サイポーはピープル連合の助けにより滅亡こそ免れたが、サイポーは壊滅的な損害を負った。また、ビーメラ連合王国はビーメラ外縁の「Vash」というビーメラの恒星のエネルギー転送装置を応用した兵器でアスパル連邦艦隊を全滅させ、先よりのアスパル連邦加盟国の「Fadd」の都市5つをその勢いで破壊し、滅亡させた。
これにより、アスパル連邦とピープル連合の関係は悪化し、銀河系各地で紛争が勃発した。
地球も例外ではなく、エワカッカに恒星間探査機を破壊され、植民地も攻められた。地球人はなんとかこれに対応すべく土星のすぐ外側を公転するSenpastサーバー「あおぞら」を利用するということを考案した。「あおぞら」でターゲットがある場所の空間に物質を密集させ、一時的なブラックホールを作るというものである。
しかし、これには問題があり、ターゲットが太陽にあまりにも近いと、太陽系の天体に影響を与えることがあること、そして太陽のエネルギーを異常に使うため、一時的に恒星の大きさ、重さが変わってしまうことだった。しかし太陽が一時的にでも小規模になるのは地球への影響がよくわかっていない。これは「あおぞら作戦」と呼ばれ、利用されるのは太陽系の存亡に関わるときにのみ利用されることに決まった。
第十一章
ケンタウロス座α星の伴星であるプロキシマ・ケンタウリでは、アスパル連邦軍とピープル連合軍の激戦が繰り広げられていた。
ピープル連合軍は新兵器であるリンバ式超濃縮プラズマ砲でアスパル連邦のシールドを破壊し、戦艦2つを撃沈させたが、アスパル側が球状ミラー式高エネルギーレーザーと透明シールドを利用して高エネルギーレーザーを直径10mから直径1cmまで高密度にした兵器でプラズマ砲のリンバ(プラズマ発生装置)を破壊したことで事態は一変した。
ピープル連合軍は残った兵器(高エネルギーレーザーやカスター式プラズマ砲)で戦うも、アスパル側の強力通信妨害波により混乱し、撤退した。
これにより、太陽に最も近い恒星がやられたため地球も危険な状態になった。
既にプロキシマ・ケンタウリとの中間地点までアスパル連邦軍が到着しており、地球に向かってきている。
地球では長い論戦の末、あおぞら作戦を実行することに決まった。
シュミレーションでは、近くの探査機の軌道がおかしくなるも、その他の太陽系天体には支障はないとされた。
あおぞら作戦まで30秒前。
石本はティーガーデンb星で太陽系の無事を祈った。
石本は諸事情あってティーガーデンb星におり、太陽も見ることができた。
あおぞら作戦まで5秒前、4、3、2、1。
Senpastサーバー「あおぞら」は、太陽のエネルギーを使い、プロキシマ・ケンタウリと太陽の中間地点に重力を集中させた。
アスパル連邦の軍はそのブラックホールに吸い込まれていき、次の瞬間にはいなくなっていた。
作戦成功だ。
石本はそう思い、ほっとした。
地球では、しばらく歓喜の声が上がっていたが、2分後には焦りの声に変わった。
太陽が消えたのだ。核も残らずに。
地球人は、これまでどれだけ太陽から鉄を取り出してきたかを考えなかった。太陽が予想よりも軽かったことに気づかなかった。
数秒後、すべての太陽系の惑星の異常を知らせるアラートが鳴った。
計算では、地球はかに座の方に飛んでいき、途中で木星の衛星となるようだ。月は木星によって飛ばされ、土星に衝突する。すべての太陽系の天体が主を失い、外へ飛んでいってしまっている。
地球人は残ったエネルギーでティーガーデンb星へ避難した。
母なる星、地球は、自由浮遊惑星木星の衛星となる運命をたどった。
Senpastサーバー「あおぞら」がどこへいったか、知る人はいなかった。
エピローグ
30年後、巨大人工物がタイタン人居住区のパシートで発見された。
それには空間を操作する機能があると考えられた。そして、それには未知の言語が刻まれていたが、発音はわかっていない。刻まれていた言語をもっと詳しく調べれば、読めたはずだった。なぜなら、かつて同じ恒星系を支配していた人種の言語であったからだ。
今もこの言語を読めるものはいるのかもしれない。このように読んでくれる者はいるのだろうか。「あおぞら」と。




