59 北の国で 3
真っ先にテントを買ったよ。今までのだと,雪に耐えられにゃいってことで,厚手の,木枠付きのテントだよ。重そうだにゃあ。
「見てねえでおまえの部屋に入れろ。」
え?ぽかんとしているあたしに,言うのはもちろんロート。
「この前作った,ティガティガの牙を入れていた部屋のことだよ。ミャアコちゃん。」
ロートありがとう。あの部屋のことかあ・・・忘れてたよ。あれ?また作らにゃいといけにゃいのかにゃあ?
え?出来てるから大丈夫だって?どれ・・・
おお。ちゃんとあったよ。忘れてたのにさ。すごいにゃあ。
あれ・・・この部屋ってあたし達も入れにゃいのかにゃあ・・・入れたらテントにゃんかいらにゃいよ。
そう言ったら,
「う~ん。試してみたいところだけれどね。
基本,生きた物は部屋には入れないと思うよ。
・・・でもミャアコちゃんだからねえ・・・・・・・
できるかもしれないけど・・・まあやめておこう。」
って。
信用されてにゃいにゃあ・・・テントをしまうついでに入って見よっかにゃ。
・・・いやいやいやいや・・・やめておこう。何があるか分かんにゃいもんね。
魔物よけの木の葉も袋で沢山買ったよ。それもあたしの部屋に詰め込んだ。それから食料。蜂蜜漬けの木苺とか,アプとかも沢山。うふふふ。これもあたしの部屋に・・・
「入れねえよ。これはロートが持って行く。」
あら。こっそり食べようと思ったのがばれたみたい。
そう言えば,こんにゃ沢山の魔除けの木の葉。買っていったらこのまちの獣人が困らにゃいの?
「このまちのまわりはね,ミャアコちゃん。魔除けの木で囲まれているんだよ。この葉っぱも沢山採れる。毎晩毎晩焚いても大丈夫さ。」
へえ。確かにこのまちの周りはやけに木が多いなと思っていたけど。魔除けの葉っぱの木だったのか。
にゃんだかんだで出発の用意はどんどん出来ていくよ。ああ。またしばらくズィルバーのシチューかあ。最近知った海藻の出汁のおかげでずいぶん美味しくにゃったけどさ。
・・あたしもヴァイスも,最近,ご飯の支度を手伝ってるんだ。そうしにゃいといっつも同じメニューにゃんだもん。中に入れる物とか,パンをいろいろ変えてみたり,飲み物を変えてみたり,ケーゼをシチューに入れてみたり・・・最初は怒られちゃったけど,食べたら美味しかったんで,逆に褒められちゃった。ははは。
「マチガッテ
ミャアコチャンガ
シチューニ ケーゼヲ オトシテサ
ソレニ キヅカナカッタ ダケダヨ。」
あっ ヴァイス,し~!!
靴も新しくまた作ったよ。雪ぐつだって。これを履いていれば雪の中でもすべらにゃいし,温かいんだって。自分の足にぴったりちょうどいい「特注の」ヒューゲさんの靴と違って,少し足にあわにゃいけれど,「既製品」だから仕方にゃいんだって。また分かんにゃい言葉がいくつか出てきたよ。あとでまた聞かなくちゃね。
出発の日の朝,雪はまちまで来ていたよ。道も真っ白だよ。
寒そうだし・・・ぶるぶる・・・
朝ご飯をいただいてから出発だよ。外に出て驚いたことに,辺銀型獣人の小獣達が外で雪を投げ合ったり,なにやら下に薄い板を2本くっつけた箱・・え?そり?そりっていうの?に乗ってるのを引っ張ったり・・寒い中遊んでいたよ。うわ~寒くにゃいのかにゃあ・・・
しばらく歩いてまちの門もところに来たら,
「にゃあにゃあのみなさあん。」
って呼びかける声がするんだよ。
「あたしですよお。」
だれ?
もっこもこに着込んだ・・・だれ?
「酷いなあ。 あたしですよお。」
顔に巻かれたマフラーを取ったら・・・ああ・・
あたしが言う前に,ズィルバーが,言ったよ。
「なんだ。 虎型獣人 か。」
「ち・・・違いますう!!虎型獣人 ですう。」
「だよな。虎型獣人 でいいんじゃねえか。」
「間違えましたあ!!虎型獣人ですう!!」
ズィルバー・・・
「お金ありがとうございましたあ。
おかげさまでえ,旅券をさっき発行してもらえましたあ。
旅館にも一番安いところで春まで泊まれそうですう。
仕事ももらえたんですう。」
まとわりついてくる・・・五月蠅い五月蠅い・・・
ズィルバーがぼそっと
「しゃべるティガティガ」と言ったのには笑っちゃった。
門番さん達も笑ってる。たまにはズィルバーも面白いこと言うよね。
「じゃあ。」
「ええ~もう出発しちゃうんですかあ~。」
見かねた門番さんが虎型獣人を引き留めてくれたよ。
「ふう・・・」
誰ともなくため息をついてあたし達は温泉探しに出発したよ。




