↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
48/670

48 北の国へ  10

 あたしの誕生日は宿屋で祝ってもらったよ。

 美味しそうな,初めて見る蒸したパンってのが出たよ。

 焼いてるのはよく食べたけど,蒸しパンってのは初めて。中に甘い干した果物が何個も入っている。そして何より柔らかくてふかふかしているよ。


「コレ オイシイ フカフカダ~」

ヴァイスも大喜びだよ。

ズィルバーも初めてらしく,盛んにどうやって作るんだろうって聞いてた。ズィルバーのご飯献立に入れればいいのににゃ。

「俺に期待する目を向けても無駄だぞ。」

おや。


 それから,猪豚ではないお肉も食べたよ。この辺で獲れるって言う兎鶏(うさどり)って言う珍しい動物らしいよ。へぇ・・・。これも柔らかくて,口の中でとろけちゃった。

 北の国へ行くと,これから冬ににゃるから,干したお肉や野菜,塩漬けにしたお肉や野菜が食事のメインににゃるんだって・・・(急に行きたくにゃくにゃってきたんだけど。)

「・・・だから,ここで美味しい物を一杯食べておきなさい。」

食い溜めってできるのかにゃあ・・・

甘くて美味しい赤いザフトって飲み物。もう最高。

あたしもヴァイスも,飲み物を何杯もおかわりし,お腹がぱんぱんににゃるまで出てきた食べ物を食べちゃった。苦しいよ。

「そこらでやめなさい」

ってロートが止めてたけど・・・とまりませ~ん。

そしたらさ・・・


 最後にこの辺の山嵐型獣人(やまあらしさん)達の習慣だとかで,ここの女将さんがお姉さんと一緒に「お誕生日用「クーヘン」ってのを運んできてくれたんだよ。白い何かがかかったそれは,凄く甘くていい香りがしていたよ。

「モウタベラレナイ・・・」

ヴァイスが泣きそうな声で言ったけど・・・あたしは食べるよ。にゃんてったってあたしのお誕生日のために特別に焼いてくれたんだって言うんだもん。

そしたら,ロートが

「今日はもう食べない方がいい。」

って言うんだ。

「お腹を壊しちゃうよ。」

ロートぉ・・・

「クーヘンは明日の朝ね。」

お姉さん達がクーヘンをしまっちゃったよ・・・あ~あ。

ロートがいっぱい食べておけって言ったんじゃにゃいの~


・・・その夜あたしとヴァイスはお手水(といれ)の住人ににゃった。二人して交代で通ったよ。あ~あ。ズィルバーにきっちりしかられちゃったし。明日のクーヘン・・・食べさせてもらえるかにゃあ。


・・・・・


食べさせてもらえましたぁ。

 うふふん。ヴァイスの細長いしっぽがくるくる回ってるよ。

 あたしのしっぽも揺れてる。ズィルバーのふさふさしっぽも,あれあれ。珍しい。ロートのしっぽもうれしそうだよ。

 甘い白い物は,このまちで飼ってる山羊(やまひつじぃ)って言う動物のお乳を使って出来てるんだって。山羊(やまひつじぃ)って初めて聞く名前だけど,どんにゃ生き物にゃのかにゃあ。


 朝ご飯の後,みんにゃで山羊(やまひつじぃ)を飼っているってところに行くことににゃったよ。にゃんでもそこで,山羊(やまひつじぃ)のお乳を使って作っているって言う保存食を買うためにゃんだって。これから北の国だから,万全の支度をしておかにゃきゃにゃってロートもズィルバーも言うんだ。

 あたし達は寒いの苦手にゃのに・・・大丈夫にゃのかにゃ。ヴァイス?ヴァイスは水と氷の魔法を使えるくらいだもん。寒いのにゃんか平気だよね?え?苦手?にゃんでぇ~?


女将さんとお姉さんに場所を聞いた後,お弁当を受け取ってあたし達はまち外れにあるって言う山羊(やまひつじぃ)牧場に出かけたよ。

 まちの中は賑わってる。あ・・あのお店・・あたしがふらふら吸い寄せられそうににゃったのは魔道具のお店らしかった。だって虹色のきらきら光るあの玉と同じ物がぶら下がってるよ。あたしは襟首をぐいって捕まれて我に返ったよ。ズィルバー。この場合はありがとうにゃのかにゃ。

「魔道具やさんには後で寄りましょう。」

ってロートが言うからしかたにゃい。


 まちを出て,ちょっと歩いたところに広々した原っぱがあった。

わぁい。あたしとヴァイスは走り出した。広いよ広い。思う存分走れちゃう~


「ウワッ」

ん?ヴァイスどうしたの?


・・・・・・こ・・・これは・・


近くに川はないかにゃ~?

「ロートぉ!」

ロートとズィルバーがやってきた。

転んでいるヴァイスを見て,鼻までつまんでる。ちょっとひどくにゃい?

え?おまえもつまんでるって。はは・・・


・・・ヴァイスはでっかい落とし物の上に転んでいた。


「あ~。これは多分山羊(やまひつじぃ)の落とし物だね。」

「まだあったかそうだな。・・・」

無駄な解説ありがとう。


ヴァイスは起き上がってあたし達の方に向かってくる。やばい・・・

「ミャアコちゃん。きれいにしてあげなさい。」

ロートはさっとよけにゃがらあたしに言うんだ。

あぁあたしには魔法があった。

あたしは「イレキ」って唱えたらドシャって・・・水が大量に降ってきたよ。ヴァイスの上にだけ。

しぶきがあたし達の方にも飛んでくる。うえ~

「ヒドイヨ ミャアコチャン」


そこに山嵐型獣人(おとこのひと)がやってきたよ。

「そこの獣人(ひと)達,足下に注意しなせぇや。時々落とし物があるからなぁ。」

注意するのが遅いです。


ここが山羊(やまひつじぃ)牧場らしい。

落とし物は肥料にも使う貴重な物にゃんだって。水で流しちゃってごめんにゃさい。


・・・あ。わすれていた。慌てて杖を振る。一応使って見せにゃいとね。

「りおどとも・いおに・いれき」


「マダビショビショダヨ~」

分かってるって。

「けわか」


 ヴァイスはようやくきれいににゃったよ

 あたしの魔法は,ちゃんと杖を使って呪文を唱えるのと,杖があっても適当呪文で出来ちゃうのと,杖なしでちゃんと唱えるのと,適当に唱えるのと4種類あるね。どれもちゃんと発動するよ。・・・これも不思議だよねぇ。蜥蜴型獣人(せんせい)には,適当呪文のことは内緒にしていたけど・・・ヴァイスは知ってるみたいだし。ズィルバーは変だって思ってるみたい・・・ロートはどうにゃのかなあ・・・・あたしの魔法って変にゃのかにゃあ・・・

でも,杖があった方がきちんと感があるよね。

 うん。杖を使ってまともな呪文を・・・でも・・・あんまり覚えてにゃいんだよねえ・・・ま。いっか。



 まだちょっとにおうような気がする,プリプリ怒ってるヴァイスを連れて山嵐型獣人(おとこのひと)の後について行くよ。この山嵐型獣人(おとこのひと)は,ここの牧場のご主人だったんだ。

 山羊(やまひつじぃ)は白かったり,茶色かったり,黒と白のまだらだったり,いろんな色のがいたよ。角もあった。へぇ。くるんと丸まったように見える角だよ。不思議。

 その山羊(やまひつじぃ)はあちこちに座ってもぐもぐしていたよ。

何をもぐもぐしてるんだろう?!

不思議に思ったんで聞いてみたよ。

山羊(やまひつじぃ)は何食べてるんですかぁ?」

山嵐型獣人(ぼくじょうのしゅじん)は,がっはっはと笑って,

「さっき食べた草をもう一度かみ直してるのさ。」

「反芻って言うんだよ。ミャアコちゃん。」

物知りだね。ロート。

「あたし達も反芻出来るの?」

出来たら最高だよ。あの美味しいお誕生日クーヘンをもう一度お口の中に・・・。

猫型獣人(われわれ)にはできないなぁ。」

ロートが笑いにゃがら言うんだ。何を考えていたか分かったらしい。

残念。


 しばらく歩いたところにあった 山嵐型獣人(ぼくじょうのしゅじん)の家は,不思議な形をしていた。丸くて四角い。丸いところは,ズィロって言うらしい。冬の間の山羊(やまひつじぃ)のえさを溜めとくところらしい。よく見たら,ズィロは3つ建っていた。


 四角いところは山羊(やまひつじぃ)のお家だって。大きいにゃあ。

 ここには500頭の山羊(やまひつじぃ)を飼っているんだって。へぇ・・・

 あれ?じゃあ 山嵐型獣人(ぼくじょうのしゅじん)の家は?


ちゃんとありましたぁ。小屋とズィロの向こうに,結構大きい家が。


山嵐型獣人(ぼくじょうのしゅじん)の家族と,他にも,5組の家族が住んでいて,みんにゃで一緒に働いているんだよって教えてもらった。へぇ。子どもも沢山いるらしい。後で遊べるといいにゃあ。


 さて,そのお家でお乳で作ったいろいろな物を味見させてもらったよ。ついでに,ヴルストっていう細かくした山羊(やまひつじぃ)のお肉にいろいろな物を混ぜて腸に詰めてゆでたっていうお肉を味見させてもらったよ。激うまだよ~


「これは,焼いてもまたうまいんですわ。」

製品開発しているって言うその山嵐型獣人(やまあらしさん)は,

「旅ならいぶしてちょっと日持ち良くなってるコレがおすすめですよ」

って言ってちょっと茶色いヴルストを出してくれたよ。

見た目はちょっとひからびてるような感じだけど,コレも切って食べさせてもらえた。

しょっぱ~い・・・でもかんでいるとどんどん味が出てくるのが分かる。うまっ


乳をかためてつくったっていうケーゼも美味しかった。もう一個いい?え?だめ?鼻血が出る?え~出ないよぉ。


 こちらもいろんな種類があって,それぞれ味が違うんだよ。ヴァイスは白いのが気に入ったみたいで,ズィルバーはにゃんか青い変にゃのが混ざってるのが気にいったみたい。

あたしは周りが茶色っぽくて煙みたいにゃ味のするのが気に入ったよ。ロート?

ロートは穴の開いてるのが気に入ったんだね。そればっかり味見してるよ。


 どれを買うのかにゃあ。みんにゃでわくわくしてロートを見るよ。

 ロートは苦笑いして,みんにゃの気に入ったのを少しずつ全部買ってくれたよ。やったぁ。

 燻したヴルストも干し肉と一緒に沢山買った。これで冬の間も大丈夫。

 でも?こんにゃにいっぱいどこにいれるのさ?

 ロートは自分のリュックにぽいぽい入れ始めたよ。・・・凄い。みんにゃ入った。


牧場で,持ってきたお昼を食べてから帰ることににゃってるので,お庭を借りることににゃった。

 適当なところでみんにゃでまるくにゃってすわってお弁当を出していたら,あたしと同じくらいの小獣(おんなのこ)が二人出てきた。手にそれぞれ白い壺と袋を持ってる。

「どうぞ。」

「コレお母さんが。」

二人が持ってきてくれたのは,山羊(やまひつじぃ)のお乳の入った白い壺と,真っ白なブロートと黒いブロートの入った袋だった。ブロートって,パンみたいな物だって。真っ白い方はふかふかしてたし,黒っぽい方は木の実が入っていて少し酸っぱかったよ。

 あたしは白いのが気に入ったけど,ヴァイスもロートもズィルバーも酸っぱい方を気に入ったんだって。こっちの方が日持ちするからってこれも買っていくことににゃったよ。

 ふかふかのほうがいいにゃあ・・・

 あたしたちはみんにゃ白いおひげを生やしてミルクも飲んだ。ほんのり甘くて懐かしい味だよ。どこで飲んだ味だろ?


 その後で,さっきの二人の小獣(おんなのこ)と他にもいた小獣(こどもたちと一緒に沢山遊んだよ。追いかけっこしたり,飛び縄ってのを使って縄跳びしたり・・・あんな風に両端を持って,縄をくるくる回してる中に次々に入るのって面白いね。連続して何回飛べるかもう夢中だったよ。意外とヴァイスがよく引っかかってたね。



今日は,楽しくて美味しくて,最高だったよ。



いよいよまた旅立つ用意が出来たよ。魔道具屋さんに寄れるかにゃあ・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。