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46 北の国へ 9

雨の中,お姉さんの案内でお姉さんの家に向かったよ。

ばしゃばしゃ・・・・夢の中と同じようにしぶきが体や足にかかるよ。濡れちゃうね~。

 しばらく歩いて,宿屋から少し離れた,お店屋さんが建ち並んでいる一角に,お姉さんの家があったよ。 お姉さんは家の横の入り口から,ただいまと言って入っていった。夢と一緒だよ・・・・・


「おじゃましま~す。」

「すみません。失礼します。」

「こんばんは~」

「ヨロシクオネガイシマ~ス」


・・あれ・・・・・まさか・・このまま行くとあの展開にゃの?

 家に入ると,本当に病気のお父さんまでいた。

 とりあえず,部屋に案内してもらおうとしたとき・・


 うわっもしかして,次は「どんどん」?

ほんとにどんどんいってるし・・・でも,夢と違ってグーテお姉さんが戸を開けた。

・・・びしょ濡れの大きな荷物を持った・・ 山嵐型獣人(あくやく


「にいさん,びしょ濡れじゃないの。・・・ずっと帰ってこないで。いったいどこに行ってたの?」

山嵐型獣人(あくやくじゃにゃいらしい。ちょっとほっとするけど・・・ズィルバー達の活躍が見られにゃい・・・ちょっとがっかり。



「早く濡れた物を脱いで,風邪引いちゃうわ。」

あたしはこっそり口の中で「けわか」って唱えるよ。

「乾いてる・・・」

「え・・・」

お姉さんはすぐに気がついたみたい。

「もしかして。みなさんのどなたかですか?ありがとうございます。」


「ミャアコ!」

小声でズィルバーがつつく。


「すみません。騒がしくして。すぐお部屋にご案内しますね。」

「ついでにこの荷物も乾かしてくれないかなあ?」

お姉さんの声と 山嵐型獣人(おにいさんの声がかぶる。

あたしはロートを見る。

「これが濡れたままだと,靴の材料が駄目になっちゃうんだ。」

「「「靴?」」」・・「クツ?」

「あぁうちはね,本当は靴屋なんですよ。」

グーテお姉さんが言う。

「本当はじゃなくて本当にだろ。」

「今までどっかに行っちゃってたくせに。」


もちろんロートに言われるまでもなく,あたしは急いで靴の材料だって言う荷物にも「けわか」って唱えたよ。

山嵐型獣人(おにいさんは荷物をなでてにこにこしてる。


「いったいどこに行ってたの,お父さんが怪我してからずっと具合が悪くて大変だったんだからね。」

「なにぃ,親父が怪我だって?はは。殺しても死なねえようなやつが具合が悪いだって?」


その頃にはお父さんも出てきていたよ。

「ゲホ・・こ・・この馬鹿息子が!!ゲホゲホ・・・」

あらあらせっかく止まってた咳が。あれ?あれは夢の中でだっけ。どうだったけ。

「なにおぉ」


そのまま言い争いににゃりそうだったので,

「とにかく座ってお話を聞かせていただけませんか。

・・・実は,我々は,このまちで靴を新調する予定でしたので。」

ロートがソフトに言うよ。



「靴を新調!!」

山嵐型獣人(おにいさんの目が輝いたよ。


そんにゃこんにゃで話を聞いたよ。

山嵐型獣人(おにいさんは,5年前に修行するって家を出て行ったんだって。それっきり連絡もないし,お父さんが去年した怪我が元で具合が悪くにゃってしまいって,靴屋を続けることができにゃくにゃったんだって。それからずっとグーテお姉さんが宿屋の手伝いをして暮らしていたんだって。

山嵐型獣人(おにいさん,音信不通はよくにゃいにゃ。」

・・・一度使ってみたかった「音信不通」ついに使えたよ。やったね。


お兄さん・・・ヒューゲお兄さんは,蜥蜴型獣人(とかげさん)のまちにある靴屋で修行してようやく一人前だって言われたので,餞別にもらった靴の材料の皮を持って帰ってきたんだって。蜥蜴型獣人(とかげさん)のまち。蜥蜴型獣人せんせいの故郷かにゃあ。


「この店は俺に任せて,親父は湯治にでも行ってきな。」

何でも最後に作った靴のできがたいそう良かったそうで,お金持ちの獣人が高いお金を出してくれたんだって・・へぇ。お抱えの(お抱えってにゃんだ?え?専属?もっと分からにゃい。え?後で説明するって?)靴屋にとまで言ってくれたそうだけど。お店が心配だからって帰ってきたらしい。心配にゃら連絡くらいすればいいのに。

そこは男の意地とか言う奴で,お父さんに対抗意識を燃やしていたんだとか。これは後でズィルバーから聞いたんだけどね。

・・・

「これだけあれば,グーテと一緒でも,温泉に1ヶ月はいられるだろ。」

「でも兄さん。」

「俺はこれからこの獣人(ひと)達の靴を作るから一緒に行けねえし。おまえがついて行ってやれよ。」

「ゲホゲホ・・・ヒューゲ・・ゲホゲホ・・・」

あたしはロートを見た。

「おとうさんの背中をなでていい?」

ロートは頷いてくれたよ。あたしは早速お父さんの背中をなでなで・・・・・


「ゲホゲホ・・・げ・・ほ・・・あれ?」

咳が止まったね。良かった良かった。

みんにゃ大喜びだよ。


「こほん。でも,温泉には行けよ。」

ヒューゲさん。


「俺にもたまには親孝行させろ。」

グーテお姉さんにささやいているのが聞こえちゃった。


にゃんだかこれで大団円(めでたしめでたし)でいいのかにゃ?!

山嵐型獣人(あくやくは結局いにゃかったのかあ。「この紋所が」って言ってみたかったにゃあ・・



一晩眠って起きたら快晴だった。

 朝ご飯を美味しくいただいた後,朝からお兄さんは張り切ってあたし達の足形を取ったよ。

 お姉さんは宿屋に出かけていった。ロートも一緒に行って,今夜から泊まれるか確認するって。まだ泊まっていっていいのよって言われたけどねぇ。お姉さん達が出かけるんじゃご飯がねぇ。


靴屋のお店も朝からお兄さんが張り切って開けたよ。お掃除とかあたしとヴァイスが手伝ったら,とっても喜んで,もういいから遊んでおいでって言ってたけど・・・まだ終わってにゃいのにいいのかにゃあ。


3人分の靴の新調とロートの靴の修理で,3~4日かかるらしい。その間,何していればいいのかにゃあ。

 え?にゃにもしにゃいでじっとしてろ?にゃぜ~?

 ズィルバーは,あたしとヴァイスがお掃除の時落として割った花瓶を片付けにゃがら怒鳴ってるよ。全く。怒鳴らにゃくても・・・


今日は朝から気分がいい。にゃんだろ。浮き浮きしてる。

「今日で10歳だからね。」

 あれ?あたしにいつもささやく声がしたよ。

「10歳ってほんと?」

「間違いなく今日で10歳だよ。」

・・そうか・・・・あたし,今日で本当に10歳ににゃったんだ。だからこんにゃに浮き浮きしちゃうんだね。


 大喜びでヴァイスとズィルバーにも教えちゃう。

ヒューゲ兄さんも聞いていて,お祝いしてやらなきゃなんて言ってくれるよ。


 にゃあ。





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