45 北の国へ 8.5
鼻血って残酷表現に当たります?う~ん。基準がよく分かりません。
とりあえず,今回から残酷表現ありでいきますね。
雨の中,お姉さんの案内でお姉さんの家に向かったよ。
しばらく歩いてく雨がけっこう降っていて,ぬれちゃうよ。みんにゃ小走りだよ。ばちゃばちゃばちゃ・・・しぶきが上がってますます濡れちゃう。
宿屋から少し離れた,お店屋さんが建ち並んでいる一角に,お姉さんの家があったよ。
お姉さんは家の横の入り口から,ただいまと言って入っていった。
「おじゃましま~す。」
「すみません。失礼します。」
「こんばんは~」
「ヨロシクオネガイシマ~ス」
あたし達も続けて入っていく。
「こんこんこん」
あれ?狐型獣人?
「お父さん,寝ていなきゃ駄目じゃないの。」
咳き込みにゃがらお父さんと呼ばれた獣人が出てきたよ。くるしそうだにゃあ。
でも・・・
どっかで聞いたようにゃ台詞・・・う~ん。
「いつもすまないな。」
あれ?ますます聞いたことがあるようにゃ気がしてきたにゃ。
う~ん。う~ん。
あ。・・・・・ご主人様が時々・・お父さんやお母さんと見ていた・・・ん・・・と・・時代劇ってやつの中でよく言ってた言葉だよ。そうだよ。この後,大体悪人が来るんだ。そして,たしか・・・
一生懸命思い出すよ。確か確か越後の何とか。にゃんだったけ?
「考え事してないで乾かしてくれ。」
・・・はい。ズィルバー。
「おまえやけに素直だな。」
上の空で唱えるよ。
「けわか」
「おい。生乾きだぞ。」
あたしははっとする。
「ごめんにゃさい。けわか」
にゃんて騒いでいたところに・・
どんどんどん・・・
あれ?戸を凄くたたいてる獣人がいるよ。
一番近くにいたヴァイスが
「ハ~イ」
と返事をする。おっと。返事しちゃいけにゃいんじゃにゃかったかにゃ。
たしか,時代劇では・・・
ばあん。戸が勢いよく開いた。
え???やっぱり。
「山嵐型獣人 !?」
あたしは思わずつぶやいた。
その見たからに「悪い獣人」に見える山嵐型獣人を見たとたん,お姉さんは真っ青ににゃった。
山嵐型獣人はにやにや笑いにゃがらお姉さんに近づいてお姉さんのあごを指でぐいっと持ち上げた。お決まりだね。わくわく・・・
「お客さんかい?豪勢だねえ。こんなに大勢もてなしが出来るんなら,さぞや沢山稼いでるんだろうねぇ。ふふん。そろそろ借金を返してもらうときが来たよ。耳をそろえて返してもらおうかい。」
「いよっ 越後屋 !!」
確かそう叫ぶんだよね。違った?長崎屋だっけ?え?違う?にゃんだっけ?叫んじゃいけにゃかったっけ・・・
「何言ってんだ,この小獣」
あれ?
「こんな夜中にあなたはどちらさまですか?」
ロートが丁寧に聞いているよ。
「見りゃわかるだろ。」
「わかんにゃい。」
「ダレ」
ロートは顔をしかめてあたし達を見た。
「ミャアコちゃんとヴァイスは,ちょっと奥に行っててくれないかな。」
また面白いとこ見逃すの?でも,ロートの眼がいつににゃく厳しいから,ヴァイスと二人で渋々奥の部屋に行った。
部屋の奥では,お姉さんのお父さんが寝ていたよ。
コンコン咳をしている。大丈夫かにゃ。
あたしは起き上がっているお父さんの背中をなでなでしたよ。そしたら咳が止まっちゃった。よかった。
ロート達がぼそぼそ話しているのも気ににゃるけど,お父さんの方も気ににゃるよ。
お父さんは咳をした後,枕元の水を飲もうと手を伸ばしていたから,あたしとヴァイスは飲みやすいように手助けしたよ。
そのうちにバタンバタンと音がしたからあたし達はそっとのぞいてみた。
ズィルバー拳を振るってるよ。あぁぁあ・・・山嵐型獣人鼻血でどろどろだぁ。やばっ
「痛い痛い痛い・・・」
泣いてるよ~。涙と鼻水と鼻血で大変にゃことに・・・
山嵐型獣人をねじ伏せたズィルバーが
「神妙にしやがれ」
って言ってるよ。うわっやっぱり・・・
「この紋所が眼に入らないか」
ロートが紙を見せてる・・・
あれえあの紙・・・いつも門番さんに見せてるやつだよ。あれは紋所って言うのかあ。へぇ~。
「はは~」
あはは・・・土下座ってやつ・・・・ぺたんこになってるね。
だれ?あたしの肩をたたくのは。いいとこにゃんだから。ズィルバーもロートもかっこいいんだからね。
「かっこいいのは分かってるから起きろ。」
・・・え?・・・
「起きて,ミャアコちゃん,ヴァイスちゃん。終わったから行くわよ。」
「ミャアコ,ヴァイス,起きなさい。もう行くよ。」
・・・え? 山嵐型獣人は?
ここはどこ?
「何寝ぼけてんだ。そろそろグーテさんの家に行くぞ。」
「グーテサン?」
グーテさんとはお姉さんのことだった。
・・・今までのことは・・・ゆめ?
待ちくたびれて寝てしまったミャアコの夢・・・
「正夢になるかにゃぁ」・・・どうかな。