38 北の国へ 2
翌朝,ロートとズィルバーは,少にゃくにゃった食料やら用具やらを買い足すためにまちに行くって言う。
本当は,少し,前より大きくにゃって,きつくにゃってきたあたしとズィルバー,ヴァイスの靴も新調したいところだけれど,このまちには靴屋がないそうだ。まぁ。蛇型獣人達には靴はいらにゃいよね。もう少し我慢するよ。
あたしとヴァイスは,お小遣いをもらってまちに出た。
手をつないでいけ,走るな,お互い目を離すな,食い過ぎるな・・・・・相変わらず口うるさいよ。ズィルバー。
「杖は持って行っちゃ駄目だよ。」
ロートも珍しく言ってくる。
「杖があると,とんでもないことをやりそうだからね。」
・・・・・あたし,全然信用にゃい・・・
でもさ・・・杖にゃんてにゃくても魔法は使えちゃうんだけどな。
ヴァイスと二人、まちを見て歩く。あっちのお店こっちのお店・・・
これにゃに?え?猪豚の串焼き?2本くださいにゃ。
うまっ
こっちの店は?うわあ目移りしちゃうよぉ。美味しそうな平たいパン。上にいろいろ乗っていて,とろっととしてるよ。2つくださいにゃ。・・・うまっ。
・・・・・あっちきょろきょろこっちきょろきょろ・・・・・
「ボクコレホシイ」
きれいな色・・・うわっ美味しそう・・・飲み物にゃんだね。いろんにゃ色があるよ。不思議な棒がささってる。にゃんだろ。
「これとこれください。」
ヴァイスはきれいな空色の飲み物を。
あたしは真っ赤な飲み物をそれぞれ選んでお金を払った。
早速ささってる棒について聞くよ。
「これにゃに?」
へえ・・・すとろー?へぇこうやってすうの?じゅるじゅるじゅる・・・・すごいよ。入ってくるよ。何?これ!!うまっ・・・しばらく吸うのに夢中ににゃって・・・
・・・・・
ヴァイス?あれ・・・・?
どこ?どこにいるの?
あああああ・・・・・ヴァイスが迷子ににゃった!!!???。
さっきまで一緒にジュルジュルしてたはずにゃのにぃ!!!
どこどこどこどこ・・・・・・
きょろきょろしていたら,きれいな縞模様を顔に付けた蛇型獣人に声を掛けられた。
「どうしたんだい?」
目がきらりと光ってるよ。にゃんだかこわいかも・・・。
「あのぉ・・・ここらで3歳くらいの小獣を見ませんでしたか?」
「さっき,そこの店に入っていくのを見たよ。」
「・・・は・・はい。ありがとうございます。」
ヴァイスは一人でお店ににゃんかは入らにゃいはずだよ~・・・多分。
「一緒に入ってあげようか?」
きれいな縞模様を顔に付けた蛇型獣人がにっこり笑ってあたしを見るんだ。でも・・・でも・・・目が笑ってにゃいんだよね。
・・・こ・・・これは,もしや・・・ご主人様が,気をつけるようにいつもお母さんから言われていた誘拐のお誘いでは?!
「遠慮しないでいいんだよ。ほら。」
きれいな縞模様を顔に付けた蛇型獣人はあたしの腕をとった。
うわっ鳥肌が立ったよ。にゃに,この獣人
「!!!いにゃくにゃって!!!」
あたしは目を瞑って思わず叫んじゃったよ。
・・・・・
あれ?いにゃい。
「下ろしてくれ~」
え?上から声が降ってくる。
屋根の上,それよりずっと高いところにある煙突のてっぺんに,きれいな縞模様を顔に付けた蛇型獣人がいて,服がてっぺんの棒に引っかかっているみたいにゃ・・・いつの間に?・・・にゃにしてるんだろうねえ?
声を聞きつけて,たくさんの蛇型獣人たちが集まってきた。
ロートとズィルバーまでいるよ。やばい。ヴァイスとはぐれたこと知られちゃう。あたしはこっそり逃げだそうとした。
ぐいってあたしの襟をつかむやつ,だれぇ?!
げっズィルバー。
「ミャアコ,ヴァイスは?」
「ミャアコちゃん,もしかしてあの蛇型獣人を上げたのは・・・・・」
・・・あたしは黙秘権を行使します。
蛇型獣人たちがやってきたのはすぐだった。
きれいな縞模様を顔に付けた蛇型獣人は,なんと,何人もの蛇型獣人達を誘拐していた,誘拐犯だったそうだ。指名手配ってやつをされていたらしい。
よってたかって引き下ろされた後は,きっちり縄で縛られて,連れて行かれたよ。
「あの蛇型獣人,あたしをこのお店に連れて行こうとしていたよ。」
って,こそっとズィルバーに言ったら,慌てて,ロートと二人で店に入っていったよ。あたしももちろん一緒に入ったよ。
おや。動物屋さん?檻がいくつもあった。空っぽのが多い。
「おっいた。」
店の奥に隠されるように布が掛かってる檻のひとつにヴァイスが入って眠っていたよ。
その頃にはお店の中も,蛇型獣人たちでいっぱいだった。
ヴァイスがにゃあにゃあのメンバーだって,まちに入ってくるときを知っている蛇型獣人がいたので,すぐ,連れ出すことが出来たよ。ヴァイスはくーくーと寝息も幸せそうに眠っていたけど,
「りゅうを眠らせるなんて。何をしたんだろう。」
ってロートが首をかしげていたよ。
宿屋に戻る道々,美味しい飲み物に気を取られた隙に,ヴァイスがいにゃくにゃったことを白状させられた。あ~あ・・これで当分二人でまちに出してもらえにゃいにゃ。
宿屋でヴァイスが目を覚ますのを待って,話を聞いたけど,やっぱり美味しい飲み物を飲んでいるうちに眠っちゃったんだって。あれえ・・・にゃんであたしは眠らにゃかったのかにゃ。
あの飲み物屋さんも共犯だってんで,慌ててロートが警備の詰め所に向かったよ。
美味しい飲み物だったのににゃあ。
しばらくして戻ってきたロートが,飲み物屋も捕まっていたと言っていた。
「飲み物に混ぜて眠らせる方法を試していたらしいよ。どのくらい入れていいか分からないから,多めの物と,少なめの物と何種類か用意していたらしい。ヴァイスが飲んだのは,眠り薬が多い方で,ミャアコちゃんが飲んだのはおそらく,少ない物だったんだね。」
話を聞いてる内に・・・にゃんだか・・・ね・・・む・・・
「あれえ。でもあたし・・・あ・・た・・ZZZZZZ」
「おい,ミャアコ!!」
「ミャアコちゃん?・・・眠ってる。」
蛇型獣人を屋根にぶっ飛ばした疲れからか,安心したからか,はたまた急に眠り薬が効いたのか,あたしは眠ってしまったから,後のことは知らにゃいよ。
読んでくださって, ありがとうございます。