10 温泉を探そう 1
温泉を探そう 1
翌朝,ベァーさんが迎えにやってきた。
このあたりの地形(ズィルバー,地形って何?・・・簡単に言えば,地面の形だな・・・いちいち聞くな!!!・・・怒らにゃいでよ・・・って言うか,ズィルバーも知らにゃいんじゃにゃいの。あ・・ますます・・・怒った。)について教えてくれるらしい。
このあたりは,火山はなく(火山の近くは温泉が自噴しているんだって。自噴って自分で出てくるらしい。・・温泉も出歩くんだにゃあ・・・んなわけねえだろっ・・て・・またズィルバーだ。)とりあえず,難しいかもしれないそうだ。
と言うことで,ベァーさんを道案内にして,集落を中心として,周辺をまんべんなく歩いてみた。
山道なので,かにゃり疲れる。
あたしが,
「歩き回ってばかりじゃ疲れるから,村長さんのおうちで,お姉さんと遊んでいてもいい?」
って聞いたら,やっぱりズィルバーに怒られた。お姉さんも,家で遊んでばっかりにゃんじゃにゃいって。子守したり,山菜採りに山に入ったり,忙しいんだって。
ふうん・・・
歩いている途中に,ベァーさんが
「これは食べられる。
これは食べると毒が入っているから,食べちゃなんねぇけんど,乾燥させてからだば,薬に使える。」
にゃんていろいろ教えてくれる。
ちょっと疲れるとおんぶもしてくれる。
ベァーさんの背中あったかい。
細い山道をずっと登っていくと,途中で,大きな蜘蛛が巣を作っていた。
この蜘蛛は,村でも飼っていて,その糸を使って織物を作っているんだって。
蜘蛛の巣に蝶々が引っかかっていたから,そっと触ると,糸はべたべたしている。
「べたべたの糸で織ったら・・やっぱりべたべたくっつくのかにゃ?」
そう言ったら,この糸は,全部べたべたしているわけじゃにゃいと言う。
くっつくのは横糸だけにゃんだって。
ふうん。
そうして3日たった。今日からもうベァーさんの案内はにゃい。ベァーさんも忙しいのだそうだ。
3人で,もう一度,行ったところを丹念に見て歩いて行く。
集落からちょっと行った先に,窪地があった,その辺りの岩にロートは興味を持ったみたいだ。
「おそらくこの下を掘ると・・・・・雨とか,雪とかが地面の下にしみこんで,・・・すごい力で押さえられていると,この下の岩の成分が溶けだして,・・・うん。・・・多分・・力の加減でお湯になって溜まっているようだ。」
目をつぶって辺りを探っていたらしいロートが言う。
「まだ村の熊型獣人には,ぬか喜びになるかもしれないから言わないけどな・・・成分も分からないし・・・。」
ズィルバーが,
「やるか?」
っていうと,
「もうちょっと待て。もっといい場所があるかもしれないからね。」
ってまだ歩くんですか・・・
山道は疲れるけれど,お花がたくさん咲いていて,いい香りでいっぱいだ。
時々ひらひらしたものとか,たまに迷わせ鳥が出てくるけれど,あたしの目がキラって光ると・・・ほいって,二人が襟首をつかんで引きとめる。
あたし・・・ひらひら・・・追いかけたいよ~!!!!
ズィルバーだって追いかけたいでしょ?
「俺はガキじゃねえ。」
へぇ?それにしてはズィルバーのしっぽは,あたしのしっぽと同じようにひょこひょこ動いていて,今にも飛びかかって行きそうにゃんだけど・・・指摘するとますます怒鳴るだろうから言わにゃいけどさ。そういえば,偉そうにしてるけど,ズィルバーっていくつにゃんだろう。聞いてにゃいにゃ~。
こっそりロートに聞いたら,14歳だって。
にゃんだ。まだ子どもじゃん。・・ズィルバーに内緒で聞いたから,言いたくてもいえにゃいにゃ。今はにゃいおひげが,むずむずするよ。
・・・さらに2日掛けて歩き回った結果,やっぱり最初の場所が一番脈がありそうだと言うことににゃった。
・・・歩きまわらにゃくてもよかったんじゃにゃいか・・・思っても言いませんよ。ズィルバーにまた怒られるもん。
熊型獣人たちに,一応,ここを掘ってみたいと許可をもらいに行く。
掘るところを見たがる熊型獣人さん達には,丁重にお断りをして(ズィルバーの仕事は結構おおざっぱなので,下手をするとけが人が出る恐れがあるらしい。)3人で現場に向かう。
・・・あたし達も危にゃいんじゃにゃいの???・・・あたしが騒ぐと,
「うるせぇ」
ズィルバー,安心できそうににゃい一言をありがとう・・・。
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