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現代にダンジョンが出来たので好色に生きようと思います  作者: 木虎海人


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 鳴った着信音




 薬草ダンジョンから戻った雨木は、翌日に申し込んでいたダンジョンの予約をキャンセルした。


 薬草ダンジョンで出会った精霊、コダマから聞かされた「祠を巡る」という話が、頭から離れなかったからだ。


いわゆる、気が気ではない。


こんな状態で新しいダンジョンに入るのは危険だと判断し、

雨木は祠の情報を調べることに集中した。

イージス端末で冒険者専用掲示板を読み込み、祠に関する情報を探す。


だが――


「……該当なし。

うーん、全くねぇのかよ」


ダンジョンの中に祠があれば、目立ちそうなものだ。

誰かしらが一つくらいは書き込んでいるだろう。

そう思っていた雨木の当ては、見事に外れてしまった。


「……あぁ、祠って単語がよくないのか?

コダマにとっては祠でも、人間――冒険者はそんな呼び方しないかもな」


だが、それらしい情報は見つからない。

いくら検索の仕方を変えても、結果は変わらなかった。


気が気ではないため、ダンジョンにも行かない。

ジムにも行かず、ひたすら検索を続ける。


食料品は買いだめしてある。

そのために買い物にも行かず、外出もしない。


ここ最近の雨木にしては珍しく、家から出ないまま二日が過ぎた。


そして三日目の昼。

雨木のイージス端末が着信音を鳴らした。


「おっと……珍しいな。誰だ?」


イージス端末は軍事機器の側面を持つ最新鋭機だ。

スマートフォンよりも細かい設定ができる。


その機能を使って、雨木は冒険者からの連絡をすべてサイレントに設定している。


冒険者はダンジョンに入る前にパーティ設定を行う。

一度パーティを組んだ相手とは、端末アプリで連絡が取れるようになる。


冒険者同士、横のつながりを広げるための機能なのだろう。

――いずれチームを作るための。


だが単独でダンジョンに入っている雨木には、それが面倒だった。


明確に拒絶の意思を示したはずなのに、コメットからは毎日数回の連絡が来る。

コメットだけではない。四度参加したサークル臨時の同行者からもだ。

碌に絡んだ覚えもないのに、チームを組まないかという誘いが頻繁に届いていた。


雨木としては、サークル臨時に良い印象がない。


参加者の多くは、人を盾にして経験値を稼ぎたいだけ。

そんな連中とチームを組む気など、雨木にはなかった。


その中でも今、一番しつこいのがカナタだ。


コメットと同じく、最初の臨時野良パーティで知り合った男。

当初は上から目線だった誘い文句も、

最近は「仲間の女性冒険者を紹介してやる」という内容に変わった。


それでも雨木が乗らなかったためだろう。

最近は「ノリ良く人生を楽しもうぜ」という方向が混じってきていた。

それが特に鬱陶しかった。


だからカナタを含めた冒険者からの通知は、

音も鳴らず、画面にも表示されないよう設定してある。


元々雨木にとってカナタとの関係は、

臨時パーティで交わした約束の延長に過ぎない。


同い年ということで多少話すようになったが、

共通点といえばダンジョンの話くらいだった。


そして、少なからず――がっかりした部分もある。


雨木は短期間で稼ぎ、早く冒険者を辞めたいと考えている。

対してカナタの夢は、自分がリーダーのチームを作り、

深淵十二紋に入ることだと言っていた。


夢そのものを否定するつもりはない。


だが二度目に会ったあの日。

そんな話をしていたカナタは、周囲にちやほやされて格好を崩した。


もっと言えば、最初に聞かされた時の言葉も気に入らなかった。


「カナタが作るチーム」に、

()()()()()()()()()」と言われたのだ。


そんな男が今では、ちやほやしてきた女たちとチームを組んでいるという。


しかも、その女たちは――

サークル臨時で、雨木たちに魔物を押し付けてきた連中の仲間だった。


雨木はカナタの下に就く気は微塵もない。

ないが、それでもカナタ個人の戦力は評価している。


それだけに、おまえの語る夢は、

そんな連中と組んで叶うものなのかと、

雨木は静かにがっかりしていた。


だから雨木には、冒険者の知り合いが碌にいない。

通知音が鳴る連絡は、公的機関からのものだけだ。


主な相手はダンジョン省。

最高幹部の美濃原か、最近はその部下になったらしい、

鷹見と鷲倉という女性職員からの連絡が多い。


どちらも雨木好みの美人だ。

だが嬉しい反面、微妙な部分もある。


「どうも、女性に甘いの見透かされてるんだよな。

まぁ自覚あるから、どうにも……なんだけど」


そこは美濃原にも見抜かれているらしい。

雨木が激昂しない程度の言いにくい話は、二人の女性職員に伝えさせてくる。


顔はヤクザだが、出世争いを勝ち抜いた官僚だけあって抜け目がない男だ。


面倒な内容だったら嫌だなと思いつつ、

雨木はイージス端末を見た。


そこに表示されている通知は、そのどれでもない名前だった。


「熊澤さんか。珍しいな、電話してくるなんて」


女性警察官の熊澤は、ゴブリンダンジョンにおける雨木の担当だ。

ただ彼女はイージス端末を持っていない。


それは鷹見と鷲倉も同じだが、熊澤の場合は二人とは少し違う。

連絡のほとんどは、一般的なメッセージアプリで済ませている。


現地のダンジョン勤務ということもあり、

職務中は頻繁にスマホを触れる環境ではないからだ。


「あー、そういや言ってたな。通わなくなると、催促の電話するって。

それか?」


三日と明けずにゴブリンダンジョンへ通っていた雨木だが、ここ一週間ほどは顔を出していない。

他の冒険者が毎日通っていることを、この熊澤から聞いていたからだ。


ゴブリンダンジョンは、他の冒険者が入った後では稼げない。

だから雨木は、他のダンジョンを回っていた。


それは熊澤も知っているはずだ。

そして面倒ごとに巻き込まれ、二日間もイージス端末と睨めっこしていたわけだが。


「お、もしかしたらその競合他社が来なくなったか?

その連絡だったら嬉しいな。


――はい、もしもし?」

※本作は作者による構成・執筆を基に、一部AIを利用して調整しています。

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