表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

第1話 目覚めたら、獣人だらけの学園でした

はじめまして、この作品を読んでいただきありがとうございます!


 この物語は——

「動物とモフモフが大好きな人間の少年が、獣人だらけの学園で過ごす日常と成長」を描いた作品です。


 まずは簡単に登場人物の紹介です。


結城ゆうき あおい

 本作の主人公。動物やモフモフが大好きな普通の男子生徒。

 猫カフェにいたはずが、気づけば獣人だけの世界へ。

 この世界で“たった一人の人間”。


■ レオナ(ホワイトタイガー)

 大胆で落ち着いた王子様系。冷静で頼れる存在。

 蒼のことを興味深く見ている。


■ ルナ(狼)

 元気でポジティブ、少し能天気。

 人懐っこく、蒼に一番最初に話しかけた存在。


■ ガルド(ライオン)

 フレンドリーで目立ちたがり。

 強さにも自信があり、蒼を気に入っている。


■ シオン(黒豹)

 クールで真面目。観察力が高い。

 冷静に蒼のことを分析している。


■ モコ(熊)

 無気力で子供っぽいマイペース系。

 モフモフ好きで、蒼に興味津々。


 個性豊かな獣人たちと、人間である蒼がどんな関係を築いていくのか——

 ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです!

柔らかい。


 温かい。


 ふわふわで、ずっと触っていたくなる。


 ここは俺——結城蒼が一番好きな場所、猫カフェだ。


「……やっぱ最高だな、モフモフ」


 膝の上で丸くなっている猫の喉が、ゴロゴロと小さく鳴る。その振動がじんわりと伝わってきて、思わず頬が緩んだ。


 嫌なことも、不安も、全部どうでもよくなる。


 こうして動物に囲まれている時間だけは、心から落ち着けた。


 ——その時だった。


 ふいに、店内の空気が変わった。


「……え?」


 さっきまでくつろいでいた猫たちが、ぴたりと動きを止める。


 そして、一斉にこちらを見た。


 次の瞬間。


 視界が、白い光に包まれた。


 


 気づいた時、俺は立っていた。


「……は?」


 そこはもう、猫カフェじゃなかった。


 見知らぬ教室。


 見知らぬ景色。


 そして——


「え、ちょ、なにこれ……」


 周りにいるのは、人じゃない。


 耳がある。尻尾がある。牙が見える。


 ……獣人?


 夢かと思った。


 でも、風の感触も、足元の感覚も、全部リアルすぎる。


「新入生、入ってきなさい」


 低く落ち着いた声が、教室の前から響いた。


 振り向くと、そこには——獣人の教師が立っていた。


 逃げる間もなく、俺は教室へと足を踏み入れる。


 ざわ……と、空気が揺れた。


 全員の視線が、俺に突き刺さる。


「静かに」


 教師が手を上げると、一瞬で教室は静まり返った。


「本日からこのクラスに加わる新入生だ」


 そして、俺の方を見る。


「彼の名は——結城蒼」


 小さく頷くしかなかった。


「そして……」


 教室の空気が、少しだけ緊張する。


「この世界において、たった一人の——人間だ」


 


 ……え?


 ざわっ、と今度はさっきより大きく教室が揺れる。


「人間!?」

「マジで!?」

「初めて見た……」


 ひそひそ声が飛び交う。


 俺の方が聞きたいんだけど。


「詳しい説明は後にする。ひとまず席に着きなさい」


 教師に促され、指定された席へ向かう。


 座った瞬間、視線がさらに集中した気がした。


「なぁなぁ!」


 すぐに、声が飛んできた。


 振り向くと、五人の獣人がこちらに集まっていた。


 


「人間って本当にいたんだな!」


 最初に話しかけてきたのは、元気いっぱいの狼の獣人。


「俺、ルナ!よろしくな!」


「いやいや、落ち着けルナ」


 隣でため息をつくのは、黒豹の獣人。


「私はシオン。騒がしくしてすまない」


 落ち着いた声。クールな雰囲気だ。


「へぇ〜、人間かぁ。面白いじゃん」


 ニヤッと笑ったのはライオンの獣人。


「ガルドだ。特別扱いしてくれてもいいぜ?」


「……別に特別扱いする必要はない」


 淡々と言ったのは、ホワイトタイガーの獣人。


「私はレオナだ」


 その立ち姿は、どこか王子のような余裕があった。


「……ねむい」


 最後に、小さな声。


 熊の獣人が机に突っ伏している。


「モコ……あとで話す……」


 ゆるすぎる。


 


「すげぇな……」


 思わず笑ってしまった。


 さっきまでの不安が、少しずつ消えていく。


「怖くないのか?」


 レオナがじっとこちらを見る。


「普通、驚くと思うが」


「いや……驚いてるけど」


 正直に答える。


「でも——」


 五人を見渡す。


「動物……好きだからさ」


 一瞬、全員がきょとんとした。


 そして——


「ぷっ、なんだそれ!」


 ルナが笑い出す。


「変なやつだな、お前!」


「……だが、悪くない」


 シオンが小さく呟いた。


「気に入ったぜ」


 ガルドが肩を組んでくる。


「よろしくな、人間!」


 気づけば、自然と笑っていた。


 


 ——こうして俺の、獣人だらけの学園生活が始まった。


 昼休みのチャイムが鳴ると同時に、教室の空気が一気に緩んだ。


「蒼!昼メシ一緒に食おうぜ!」


 ルナが勢いよく立ち上がり、俺の机を叩く。


「強引すぎるだろ……」


 苦笑しながらも立ち上がると、自然と五人が集まってきた。


 教室の端の方、窓際の席に移動する。


「ほら、ここ座れ」


 ガルドが自分の隣をポンポンと叩く。


「ありがとう」


 腰を下ろすと、それぞれが弁当を取り出し始めた。


 


「……でかっ」


 思わず声が出た。


 一番目を引いたのは——モコの弁当。


 箱というより、もはや“塊”だった。


 二段、三段どころじゃない。山みたいに積まれている。


「……これ、全部食べるのか?」


「……うん」


 眠そうな顔のまま、こくりと頷くモコ。


「熊だからな」


 レオナが淡々と補足する。


「エネルギー消費が違う」


「いや、レベルが違うだろ……」


 


「俺のも見てくれよ!」


 ルナが自分の弁当を広げる。


 中身は肉が多めだが、サイズは意外と普通。


「狼は動くからな!バランス重視だ!」


「なるほど……」


 


「俺はこれだ」


 ガルドの弁当は見た目がやたら豪華だった。


 肉、肉、肉。しかも全部大きい。


「主役は肉だろ?」


「確かにライオンっぽいな……」


「だろ?」


 満足げに笑う。


 


「……私はこれ」


 シオンの弁当は、見た目が整いすぎていた。


 彩りも完璧で、無駄がない。


「栄養と効率を考えている」


「性格出てるな……」


 


「私はシンプルだ」


 レオナの弁当は無駄がないが、どこか品がある。


 肉と野菜のバランスも良い。


「過不足ない食事が一番だ」


「なんか……王子様みたいだな」


「……否定はしない」


 少しだけ口元が緩んだ気がした。


 


「で、お前は?」


 全員の視線が俺に集まる。


「俺はこれ」


 コンビニで買った普通の弁当を出す。


 一瞬の沈黙。


 


「……ちっさ」


 ルナが率直すぎる感想を言った。


「少ないな」


 レオナも頷く。


「足りるのか?」


 シオンが真面目に聞いてくる。


「人間ってそんなもんなのか?」


 ガルドが覗き込む。


 


「いや、普通だと思うけど……」


 なんかちょっと恥ずかしくなってきた。


 


「なぁなぁ!」


 ルナが身を乗り出す。


「人間ってさ、どんな生活してんの?」


「肉食うのか?狩りとかすんのか?」


 ガルドも興味津々だ。


 


「狩りはしないな……」


「え、しないの!?」


「しない。店で買う」


「店!?」


 反応がいちいち大きい。


 


「じゃあさじゃあさ!」


 ルナが止まらない。


「走るの速いのか?」


「いや、普通」


「耳とか尻尾ないの不便じゃね?」


「それが普通なんだよ……」


 


「……匂いは?」


 シオンが静かに聞く。


「人間は、感覚が鈍いと聞く」


「まぁ……たぶんそうだと思う」


 


「弱いのか?」


 レオナの視線が真っ直ぐ向く。


 


 少し考えてから、答えた。


「たぶん……ここでは弱いと思う」


 


 一瞬、空気が止まる。


 


「でも」


 すぐに続けた。


「だからって怖いとは思ってない」


「……ほう」


 レオナの目がわずかに細くなる。


 


「だってさ」


 笑って言う。


「みんな、普通に話してくれるし」


 


 一拍。


 


「……変なやつだな、お前」


 シオンが小さく呟く。


 


「ははっ!気に入った!」


 ガルドが笑う。


「いいじゃんいいじゃん!」


 ルナも笑う。


 


「……悪くない」


 レオナが静かに言った。


 


「……もふもふ」


 モコがいつの間にか俺の腕を触っていた。


「ちょ、なにしてんの!?」


「……人間、めずらしい……」


 


 その一言で、全員の目が輝いた。


 


「ちょっと待て、俺も触る!」

「順番だろ」

「列作れ列!」


 


「いやちょっと待てって!!」


 


 気づけば、囲まれていた。


 


 でも——


 


 嫌じゃなかった。


 


 むしろ、少し嬉しかった。


 


 ここは知らない世界で、俺は一人だけの人間で。


 


 それでも——


 


「……悪くないな」


 


 自然と、そう思えた。

第1話を読んでいただきありがとうございます!

 異世界に来て、獣人たちと出会い、少しずつ馴染み始めた蒼。

 ここからどんな学園生活が待っているのか——

 次回は「授業回」です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ