第36話 お泊まり会
魔道具が光ってルリが出てきた
「ごしゅじんさま、ありがとございました」
「それはハマルとアルレシャさんに言ったほうが良いよ」
「しろのおにいちゃん、ふくのおねえちゃん、ありがとございました」
ペコリと頭を下げてお礼を言う、でも最初の僕に対してのお礼は多分トイレを貸してくれた事じゃなくてトイレを許可された事だよね
こういった認識の違いは短期で直せるものじゃないから長期的に直していこう
と、雨が強くなってきたそろそろ2番目の馬車に帰らないとびしょ濡れになってしまう
「そろそろ馬車に戻ろう、ハマルも」
「俺はここに残るが、お前ら戻んの?」
「逆に戻らないの?」
「まだシャルと話してたいしな」
あぁそういうね
「そっか、じゃあ僕らは戻るから」
「おい、なにニヤけてんだ」
「戻ってしまうのですか?私はまだルリちゃんとお話してたいのに……」
「ここにいます」
その目は反則です、勝てません
「おねえちゃんとはなす?なにはなす?」
「そうですね~……そうだ!妹の話をしましょうか!」
「妹さん、いるんですか?」
「ええ、わんぱくですが、優しい子ですよ、ちょっとプライドが高いのが玉に瑕ですがね」
「こう、鼻につく感じ?」
「そこまで酷くはないですね」
「そっか、会うのが楽しみだね」
「あれに会っちゃえばそんな感想出ねぇぞ……」
ハマルが辟易しながら言う、いったいどんな人なんだ……
「今年で10歳なのでルリちゃんのいいお姉さんになれるかも知れませんね」
思ったより子どもだった!それならちょうど威張りたいくらいの時期だし納得感はあるね
「おねえちゃん、できる?」
「ええ、でも嫌なことははっきり言って大丈夫ですよ、はっきり言わなきゃわからないでしょうから」
辛口評価だ、結構我儘な子なのかな?
「あいつすぐ目ぇ眩ませてくるから母様と同じくらい苦手だ」
「あら、お母様はいい人でしょう?」
「いい人には変わりねぇけど、それはそれとして苦手だ、ことあるごとに風呂に乱入してくるしよ」
「乱入クエストってことか」
「なんだそりゃ?ダブルブッキングのことか?」
ダブルブッキング?
【同じ内容の依頼を別の依頼として受理してしまうことです】
【森の魔物調査と森の調査が張り出されるようなものです】
【この場合失敗しても違約金はありませんが、報酬は早いもの勝ちです】
そうなんだ、ていうか違約金あるの初めて知ったな
「ごしゅじんさま、おねえちゃんいいですか?」
「うん、良いと思うよ、ルリはどうしたい?」
「るりは…」
まだちょっと悩んでるみたい
「外の雨かなり強くなったな」
ハマルが窓を見ながら言う、確かにポツポツだった擬音がいつの間にかザーザーになってる
「ここで寝ればよいのでは?布団ならありますよ予備が一組ですが」
馬車に布団とは、さすが貴族だな
「私、ルリちゃんと寝たいのです!ヨウくん、ルリちゃん!いいですか!?」
「ルリがいいなら僕はいいですよ、ルリは?」
「こわいことしないで」
「しません!安心させます!」
「じゃあ、いいよ」
「やったー!では早速布団出しましょう!」
叡智さん、今何時?
【現在時刻水の4時35分です】
ちょっと早いけど寝る時間でもいいか、歯磨きどうしよ
「んじゃ、俺はあれだすぜ、ヨースケ手伝ってくれ」
「わかったけど、何を手伝えばいい?」
「歯磨きの代わりになる魔道具だ、口に入れるもんだから俺は俺の分しか作らねぇぞ?」
「衛生観念完璧だね」
「そう教わったからな!
え〜っと……これだ!これを噛んで飲み込め」
荷台からガムボールみたいな大きさの球体を取り出して見せてくる、飲むの?大丈夫?
【魔道具:小型石鹸・口内洗浄タイプ は飲むことで効果を発揮します】
【なお、魔力は内包されているため主でも問題なく使用できます】
問題はなさそうでよかった、ハマルの分を除いた3つを持ってみんなの場所に戻る
「お、もう敷き終わってんな」
もう布団が3組敷いてある、まるでお泊まり会だな、川の字だけど誰がどこに寝るんだ?
「あ、ヨウくん!ハマル!ルリちゃんがもう場所決めてくれましたよ!」
「嬢ちゃんが決めたのか、どこだ?」
「ごしゅじんさまがひだり、るりとふくのおねえちゃんがまんなか、しろのおにいちゃんがみぎ」
「ヨースケと離れちまったな!」
「そうだね、内緒話とかできないね、ハマルはアルレシャさんが好きとか」
「な、なに言ってんだ!バカが!」
照れちゃって可愛いね、僕はその恋応援してるよ、自覚してるか怪しいけど




