表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
確かに初恋だったが、そこまで外堀を埋められると逆に困る  作者: まるちーるだ
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/27

おっさんの日記

番外編になります!

〇月×日 快晴


本日、ロミオ殿下から久々に遠乗りに誘われた。そして、今、俺は柄にもなく、十数年ぶりに辞書を引いた。

遠乗り:[名詞]馬や車などに乗って、遠方へ出かけること。

間違ってはいないが、俺としては不服であった。まさか、遠乗りの先が紹稀国だと思わないだろう……。




✿✿✿


Side ティボルト


快晴という言葉が何よりも似あう空だった。そんな青空を見ながら、久々に馬を走らせてやらないと、と厩に出向いた。そこには自分の愛馬のたてがみを撫でながら世話をしていた。


「ロミオ殿下、珍しいじゃないですか!」


正直、嬉しくなった。ロミオ殿下の愛馬の名前は『コクヨウ』。紹稀国産の黒馬で、半年前に紹稀国からロミオ殿下へ送られた。名前を『コクヨウ』に決めた時の姫様の顔は今でも忘れられない。どうやら必死で止めていたが、残念ながら黒馬の方がその名を気に入ったらしく、『コクヨウ』となった。ちなみに雌である。


「ああ、そうだちょうどいい、ティボルト遠乗りに行くけど一緒にいかないか?」


「嬉しいお誘いですね!すぐに馬を連れてきます!」


そう言って辺境領ジュリオを出た。出たまではいい。向かった先は国境を越え、まさかの紹稀国の王宮だった。


嘘だろ?


俺の気持ちなどいざ知らず、ロミオ殿下は皇帝に挨拶して、そして姫様に会いに向かった。俺はガクブルしたい気持ちを抑えながら、皇帝の謁見の間に残された。


「ティボルトさん!お久しぶりです!」


さっきまで皇帝の顔だった少年は、年相応の顔に戻った。まあ、この場にいるのは少年以外には初老の男しかいなかった。その男は武人としてもまだ活躍できそうな猛将・白金将軍だった。


……将軍じゃなくて今は宰相なんだが、イメージが将軍なので許して欲しい。


「久しぶりですな、皇帝陛下。お元気そうで安心しました。」


笑いながら、そう返せば、少年は満面の笑顔を浮かべた。まだ子供でいたい年頃だろう、せめて、俺は彼を子供でいさせてあげられる人間になろうと思った。


「おお、そなたが皇帝陛下の仰っていたティボルト殿か!多くの我が子供(・・・・)たちを助けてくれたことを心から感謝する。」


そう言いながら紹稀国式の最敬礼で頭を下げられた。彼の言う子供たちは少年だけではなく、一緒に来た少年二人と、姫様や琥珀などを指しているのだろう。彼にとっては全てが子供なのだ。


「あ、当たり前のことをしたまでです!それに……俺も同じようにしてもらった、から次の世代に返しているだけです。」


慌てるようにそう言えば、白金将軍は頭を上げてニコッと笑った。その表情は晴れやかに見えた。


その瞬間、バンっ!!と大きな音と共に、謁見の間の扉が開かれた。


「おい、親父!!?姫様薬湯中だって言っただろうがッ!!なんで隣国の王子、後宮に入る許可してんだよ!!馬鹿か!?」


その大音量の声の主が柘榴殿だとすぐに気が付いた。彼は例の国盗りの後、すぐに白金将軍の養子となった。聞いた限りでは、皇帝陛下が側近に欲しかったということと、後継者のいない白金将軍は幼い頃から可愛がり続けた息子同然の柘榴を手元に置きたかった言う思惑が重なったらしい。まあ、ちゃんと『親父』と呼んでいる辺り、親子関係は良好なのだろう。


まあ、ロミオ殿下がめちゃくちゃ引きずられているけど。

ちょっと、ロミオ殿下が赤くなっちゃっているけど。


「あれ、そうだったか?」


「そうだったか?じゃねえよ!?姫様の薬湯、翡翠がどれだけ必死に用意していると思っているんだ!?黒曜、じゃなかった姫様の傷を薄くしてやろうと頑張ってんだ!!それは汲んでやってくれよ!!」


そんなこんなで、俺とロミオ殿下は残念ながら姫様にはお会いできずに帰ることになった。


✿✿✿


〇月×日 曇り


ロミオ殿下にまた遠乗りに誘われた。なんでも、俺の方がブルータスを連れていくよりも、皇帝陛下が喜んでくれるらしい。

だが、ロミオ殿下に女心を解説する柘榴殿が面白すぎて、何を話したか全て忘れてしまった。

あと、ロミオ殿下はアポイントメントを取るということを学ばれた。


✿✿✿


Side ティボルト


「てめぇは……ほんとに……」


あー、柘榴殿のこめかみを抑えながら、なんとか怒りを抑えているような感じであった。……見えていますね、額に青筋が。


「姫様はお前が昨日の時間に来ると思って薬湯の時間、一時間早めたんだよ!!なんでぴったり一時間早めてくるんだよ!!大体、てめぇは馬鹿か??女性は好いた男の前ではキレイにしたいんだよ!その辺考えて、事前にいつ来るか伝えろや!?」


柘榴殿の言葉に、俺も、皇帝陛下も、白金将軍も視線を逸らせて笑いを堪えた。若干、皇帝陛下に至っては肩がプルプルと震えて必死にこらえているのが見て取れる。


「姫様がてめぇに会うの楽しみにドレス用意して、少しでもソネットの衣装で傷が目立たないように薬湯で傷を薄くしてんだ!その努力を無駄にするようなことをすんじゃねぇ!!

あと、明日は何時に来るんだ!?」


最後に律義に明日の予定を聞き出すあたり、柘榴殿は本当に寛容な方だと思った。だが、柘榴殿の女心の解説に、ロミオ殿下の顔が、鳩が豆鉄砲を食ったようになっていたので、代わりに「明日は今日と同時刻に参ります。」と答えておいた。


帰り道、ロミオ殿下にアポイントメントを取る重要性を言い聞かせたのは言うまでもない。

戦争ばっかりで、常識教えなかったもんね、教育係、伯爵家の養子になったけど、俺だったもんね。


……すみません。

全面的に俺の所為です!!


と、帰ってから謝るのであった。


✿✿✿


〇月×日 雨


今日は豪雨だった。ロミオ殿下は姫様との約束であるからと、雨の中、向かわれることにしました。前回の失敗を生かして、先に魔法で、『雨だけど行くから。』と飛ばしたあたり、成長しました。おかしいな、雨だからだよな?視界が見づらいな。



✿✿✿


Side ティボルト


雨の中だったので馬車で向かうことになった3日連続の紹稀国への訪問。隣国の王子がそんな頻繁に来てもいいのか?と疑問は残るが、おおむね歓迎ムードなので気にしてはいけないと思った。というか、ロミオ殿下、馬車に乗るので正装をまとっており、流石の俺も、正式な騎士服で行くことにした。よく、さすらいの旅人と言われる普段着を着ようとしら、侍女たちにも、侍従たちにも、全否定されて落ち込んだのは胸の中にしまっておく。


まあ、ロミオ殿下の隣で正装したところで霞むから何を着ても同じだと思うが、周りの意見に流されることにした。


で、正装で行くと、何故か皆が道を開ける。


普段であれば『ロミオ殿下!いらっしゃいませ!』とか、ここ王宮だよな?と思うほどフレンドリーに話しかけられるというのに、今日は皆が道を開ける。


原因は、ロミオ殿下が美しすぎるからだろう、と遠い目をした。

俺の顔は昔の文献に乗っていた哀愁漂うような表情の狐のようだっただろう。


やることはいつもと変わらず、皇帝陛下の謁見の間へ案内された。いつも通りに皇帝陛下と白金将軍が居て、他愛のない会話をしていれば、扉が開かれた。


そこにいたのは、柘榴殿が手を引きながら歩いてくる姫様。


紹稀国の衣装はソネットと違い、幾重にも重ねた様式のドレスで、王族は紅色を纏うことが多い。しかし、姫様の衣装は、深緑をメインにして、袖口に重なるドレスは黒と金。完全にロミオ殿下に色である。また、昔よりも長く、艶やかな黒髪は半分結い上げられて、簪が飾られる。


誰もが道を開けた理由を悟った。

侍女や、侍従、それに軍人らしき人間や、見覚えのある少年。扉の外から皆がこちらの様子をうかがっていた。これだけ着飾った姫様を、早くお披露目してやりたかったのだろう。


柘榴殿がロミオ殿下の目の前で手を離し、紹稀国の両手を組んで視線まで上げる簡易礼で頭を下げてからその場を離れた。


「ロミオ、様」


意を決したように声を出した姫様。


誰もが息を呑んでその様子を見守っていた。


スッと、その瞬間ロミオ殿下が片膝をつき、そして姫様の手を取った。


……このシチュエーションというか、シルエットはよく見るやつだ。求婚の時に。


「我慢できない、瑠璃、結婚しよう。」


で、殿下ああああああ!?


やると思ったよ!?やると思ったけどね!?

やると思っても先に婚約が先でしょうが!?

否、姫様フリーズしちゃっているじゃん!?

え、ちょ、誰か助けて……。


周り見たけどみんなフリーズ!?

分かる、分かるけど誰か止めて……。


「先に婚約だろうがアホたれ!!」


スパン!!と見事なまでのスナップ音と、急にフレームインしきてきた赤。柘榴殿だ。


流石です柘榴殿!!みんなの期待に応える男!!


片膝ついたまま求婚している殿下の頭をあんなに綺麗に叩ける男は柘榴殿以外にいません!!


「あ、そうだった。まず婚約しよう、瑠璃。」


いや冷静!?


流石の柘榴殿も引いている。でも、姫様真っ赤である。これ嬉しい方?恥ずかしい方?どっちもか?


「あとな、俺はどんな瑠璃でも好きだし、こうやって着飾ってくれるのも嬉しい。前も行ったけど、瑠璃の手を俺は誇りに思うし、好きだ。だからありのままでいてくれ。」


そう言ってロミオ殿下は姫様の手の甲に唇を落した。

まるでオーバーヒートしたように姫様のキャパシティー限界が訪れて、姫様は侍女たちに支えられて、謁見の間を後にした。


「うちの姫に何しとんねん!!」


柘榴殿の2回目のスナップが、立ち上がって首を傾げていたロミオ殿下の頭にクリーンヒットした。


この後から姫様はロミオ殿下からのキスが恥ずかしくて手袋を着けられるようになったそうだ。

まあ、この事件に尾ひれがつきまくって、曲解した状態で民衆には伝わったが、皆、姫様を好意的に見るようになったので良しとしよう。


この噂を流した兄王子たちに口を滑らせたという事実は、俺の胸の中で一生閉まっておく。





要するに民衆に伝わる美談と、現実はかなり掛け離れていたのだと、おっさんの日記で分かるわけです。

おっさんといってもティボルトの年齢は25歳になった頃です( ´∀` )

つまり、おっさん顔だけどまだ若いのです!!


ついでに柘榴が不憫だけど、ひたすらツッコミに徹している所を書きたかっただけです!( ´∀` )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ