プロローグ・闇の底から絶望を ~更なる闇の深みへと~
序 章
プロローグ・闇の底から絶望を ~更なる闇の深みへと~
暗い、狭い箱の中で、手足を拘束され、口も塞がれて……
一切の抵抗を封じられたインスは、首にはめられた枷にギリギリ意識を失わない程度を残して魔力を奪われ続けていた。
「……っ……」
ここに閉じ込められてから、どのくらいの時間が経過したのか……
食事どころか、水さえ与えられずに、全身を、外側も、内側も。
物質的な器である肉体だけではなく、心を具現する器である精神体までもを、相手の魔力に蹂躙され続けて……
ズタズタにされそうな激痛と、それ以上に不快な嫌悪感とに狂いそうになりながら、それでも必死で自分を保つ。
けれど流石に、そろそろ物理的な限界が近い。
ずいぶん前から意識は朦朧としたままで、既に状況を把握できなくなってきている。
思考も途切れがちで、認識したと思った次の瞬間には、今、何を考えたのかも分からなくなって。
ぐるぐると回る世界に吐き気が治まらない。
冷たい汗が全身を冷やし、乱れた呼吸が途切れがちになっていた。
(……あいん、くん……?)
ふと、微かに感じた気配に、気のせいのようなそれに、闇の奥底まで引き込まれそうになっていた意識が僅かに浮上する。
「……っ……!?」
次の瞬間には、明確にアインの『魔力』を感じ取った。
突然の明かりに目が眩んで、悲鳴のようなアインの声が頭に響いて、必死に持ち上げようとした瞼が微かに震えるが、それだけの力さえ残っていなくて……
(っ。アインくん……)
呼び掛けたいのに、声も出ない。
心は焦るが、ふわりと頬を包んだ冷たい、小さな手の感触と、それとは逆に全身を覆いつくした、あたたかな、大きな魔力の感覚に驚く。
渇き切っていた身体を、ゆっくりと満たすように潤いがしみていく。
それで、少しだけ意識がはっきりしてきて……
激高したアインの、荒ぶる魔力が『水』を解放するのを感じた。
その魔力に、ふと、悪寒が走った。
なぜかは分からない。
けれど、だめだと、思った。
でも止められない。
それだけの力が残っていなくて、それに物理的にも封じられていて……
焦る心とは裏腹に、何もすることができないままに……
(……っ! あ……っ! ああ~~~~っ!!)
からだの中に突っ込まれた無遠慮な手に、心臓を、精神体の全身を、貫かれ、相手の魔力を刻み込まれる。
声にならない悲鳴を上げて、反射で仰け反る体が逃れようとするが、そもそも拘束されている。
抵抗などできないままに、呪紋が刻まれたのが理解った。
微かに残っていた意識が、思考が、完全に途切れる。
その直前、相手の手に、無造作に襟首を掴まれ、吊るし上げられているアインの姿を――認識た。
(……っ……!?)
全身を痙攣させ、口元を、喉も、胸元も、袖も……あちこちを赤く汚した、幼子を。
見た、そう思ったのが最後――ぶつりと記憶が途切れた。
番外編第9弾、開幕です!
拘束され、魔力を奪われ続け、意識も朦朧とするインス。
彼の前に現れたアインの小さな手と、潤いをもたらす魔力は、間違いなく一筋の希望でした。
しかし、無情にも事態は最悪の方向へと転がってしまいます。
インスに強制的に刻み込まれた呪紋と、途切れる意識の最後に目撃してしまった、血まみれのアインの姿……。
インスにとってこれ以上ないほどの絶望から始まる本作ですが、この深い闇の底から彼らがどう足掻き、何を護ろうとするのか?
次回もお楽しみに!
【今後の連載スケジュールについて】
続きは本日22時から、毎日昼と夜、1日2話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!
【ミニコラム掲載中!】
活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!
【読者の皆様へのお願い】
「面白い」「続きが気になる!」と感じていただけたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。
また次回もどうぞよろしくお願いいたします!
【第9弾は完結まで執筆済みです。よければ最後までお付き合いください。】
【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】
――――――
ノリト&ミコト
※番外編シリーズはこちら!
https://ncode.syosetu.com/s8365j/
※本編シリーズはこちら!
https://ncode.syosetu.com/s7443j/




