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ミッションコード:0Z《ゼロゼット》  作者: くろえ
激闘!バケモノVS化け物
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最悪の時を刻む時計

「シンディ!!?」

カルメンはすぐさま銃を構えた!

A・Jも即座に反応し少女の悲鳴が聞こえた方へ銃口を向け、ビオラも電磁ムチを振り上げる。

A棟だった瓦礫の中にはカルメン達の他にも『どっかんクッション1号爆弾』のお陰で命拾いした者達がいる。まだ拘束されたままの傭兵達や、逃げ遅れて倒壊に巻き込まれたリーベンゾル武装兵達だ。

その武装兵の1人がアサシン・ナイフを手に、瓦礫の中から飛び出してきたのだ!

一番近くに佇んでいたのは、シンディだった。

「いやああぁーーーっ!!!」

驚き叫ぶかよわい少女に、ナイフの切っ先が襲いかかる!


バキッッッ!!!


「おぉっ、見事な右ストレート!」

マルギーが賞賛の声を上げた。

カルメン達も度肝を抜いた。それぞれの武器を構えたままで両目を剥いて硬直する。

鋭く、強烈な一撃だった。

シンディが突き上げるように繰り出した拳は襲撃者の顔面中央をまともに強打!襲撃者は両足が一時地面から離れて宙を飛ぶほど大きく仰け反り、元いた瓦礫の山へと沈んでいった。


(な・・・なに?この感じ?!)

シンディは驚きつつ、半ば呆然と自分の右拳を見つめた。

沸き上がる興奮が抑えきれない。今まで感じた事のない爽快感に全身の震えが止まらない!

(すっっっごく気持ちいい!!!ヤバイ、アタシ人殴るの好きかも!!?)

自然に顔がにやけてくる。口元に浮かぶ凶悪な笑みに自分で気付き、大慌てて俯いた。

呆気にとられるカルメン達の目線が痛い。特にA・Jの目が気になった。

(え、なんで?もしかして、アタシ本当に、A・J(アイツ)の事・・・?!)

そう思うとカァッと頬が熱くなった。シンディはオロオロと狼狽えた。

「・・・ん?」

ふと、足下に大人の拳大ほどのカプセルが転がっているのを見つけた。

この場を誤魔化すのに丁度いい。すぐに拾い上げ、ロディの方へ突きつけた。

「ロ、ロディさーん!さっきの『何とか爆弾1号』、1個不発だったみたいー!」

いささかワザとらしい大声に、ハッとロディが我に返る。

「シンディ、それ『どっかんクッション1号爆弾』じゃない。

さっき襲ってきたヤツが持ってたモノだ。パンチ食らって吹っ飛んだ時落っことして・・・。」

急にロディの顔色が一気に変った。

シンディがポンポン投げて雑に扱うカプセルはどっかんクッションなんかじゃない。

もっとずっと強力な、相当ヤバい代物だった。

ロディの他にもう1人、カプセルの正体が即座にわかる者がいた。

「オーマイガーーーっっっ!!!」

スレヴィが絶叫した!


「 KH時限弾 やないかい、それ!!!

アカン嬢ちゃん、落とすンやないでーーーっっっ!!!」


時限式KH線弾。

これ1個でエベルナ統括司令基地全域がキレイに吹っ飛ぶ威力を持つ、本物の 爆弾 である。

「ひぃいいぃぃぃ!!?」

全員の口から一斉に悲鳴が上がる。

シャーロットが素早く周囲を見回した。瓦礫の中で呻いていた武装兵の1人を引きずり起こす。

さっき倒した敵の指揮官(コマンダー)だ。

「どういう事だ、知ってることを吐け!」

「・・・。」

指揮官(コマンダー)は殴られ腫れ上がった顔を歪めただけで、答えようとはしなかった。


「おい、話が違うじゃないか!?」


いきり立つシャーロットを見守っていたカルメン達は、ハッと背後に振り向いた。

たった今どっかんクッションの下から這い出してきたと思われる敵の武装兵が、恐怖の面持ちで震えていた。

「なんでそんな物、持ちこんでるんだ?!()()は使わないって言ったじゃないか!」

詰め寄られた指揮官(コマンダー)の歪んだ顔が、ゆっくりと笑み崩れる。

見る者の背筋を凍らせるような、凶悪な笑みだった。


「もう遅い。諦めろ!」


「!? なんやて!!?」

その一言にスレヴィが反応した。

シンディから時限弾をひったくると入念に調べ始める。

スレヴィの顔から血の気が引いた。彼は再び絶叫する!


「動いとる!アカン、タイマー作動しとるでーーー!!!」


「ひぃいいぃぃぃ!!?」

時限団を持つスレヴィの周りには、誰もいなくなった。

「なにを企んでいる!?吐け!!!」

シャーロットが片手で指揮官(コマンダー)の首を締め上げる。

詰問は指揮官(コマンダー)の笑みがさらに凶悪にしただけだった。これ以上は無駄だ判断すると、指揮官(コマンダー)を力任せに瓦礫の中へたたき込んだ。

自死を防ぐには少々荒いやり方だ。


指揮官(コマンダー)に詰め寄った武装兵ががっくりその場に跪いた。

「お、俺が教える!何でも話すから助けてくれ!

俺ぁただの雇われモンなんだ! テロ なんか起こすつもりはこれっぽっちもないんだよ!!」

「テロだと?どういう事だ!」

A・Jが武装兵に銃口を向け問いただす。

武装兵は怯えていた。歯の根が合わないほど震える彼は、必死の形相で話し出す。

「俺達傭兵はターク様の妹だってぇ娘を拉致するためにここへ来たんだ!

娘に引き渡し交渉が決裂した時の強行手段が今回の任務だった。

だが外惑星エリアを出る時になって急に、片目の男からエベルナ爆破の話を持ちかけられたんだ!ターク様が妹のことで交渉している隙に複数の時限式KH線弾を仕掛けるっていうから、俺達は反対してやめるよう説得した!」

「サムソン・・・隻眼の男はやめなかったんだな?」

シャーロットが悲痛に顔を歪めた。

「そのようだ。そのKH時限弾が動いているなら俺たちが侵入する時襲った宇宙ゲートにももう仕込んだに違いない!

あの片目の男が直接指揮する部隊は全員頭がイカれてる!今の指揮官(コマンダー)のように、例え死んでも地球連邦側の連中をぶっ殺してやるってヤツばっかりなんだ。

俺達は食うのに困って傭兵やってるだけなんだ!助けてくれ、爆発しちまうよ!!!」

通信機からエメルヒががなり立てる。

『何だとぉ!クソッタレ!!おい!どこだ、どこに仕込んだ!!?』

「予定では ゲート内のエネルギー管理設備と人が集まるゲートターミナルだ!

この基地内と地下通路にも取付けるって言っていた!!」

「うわ、基地内に付けるヤツがこいつかいな!?

ちょ、誰か!パスやパス!!!」

スレヴィがカプセルを持て余してオロオロと周囲を見回した。

しかし彼の周りには誰も居ない。当然ながら、全員受け取り拒否である。


シャーロットが近くに居たコンポンの腕を掴んで腕時計型の通信機に怒鳴った。

「地下通路のセキュリティ・パスを教えて下さい、私が宇宙ゲートへ行きます!」

『畜生、パスがバレたらセキュリティシステム再構築だ!あのシステム、高かったんだぞ!』

通信機の向こうでエメルヒが滑稽なくらい悲痛な声で喚く。

『おまけに司令室の修繕とA棟立て直し、金がかさむなぁおい!

よく聞け、パスワードは452358、最後に「XYZ」だ!

何とかリュイ達に連絡取ってこっちへ引き返すように言う!失敗なんかするんじゃねぇぞ!

そうなりゃエベルナ総人口54万人、KH弾で 瞬殺 だ!!!』

通信が切れた。

モカのキャスケットを床に叩きつけ、地団駄践んで呪いの言葉を吐き散らかすエメルヒの姿が目に見えるような切り方だった。


そんな上官とは対照的に、シャーロットは冷静だった。

「よし。地下通路を使って宇宙ゲートへ向かう!

カルメンとビオラは私と来い。途中でリグナムとモカを拾って・・・。」

キィン!

シャーロットの足下で金属が落ちる音がした。

即座にシャーロットがコンポンを抱え、カルメン達に覆い被さるように横へ飛ぶ!

A・Jはシンディを抱きスレヴィ、マルギー、ロディと反対側へ転がるように逃げた。

ナパーム弾が炸裂し、火柱が上がった。


無数の電磁銃弾が飛来しA棟の残骸を焼いていく!

瓦礫の陰に伏せたA・Jはすぐに飛び起き、状況を確認した。

新手だ。幸い自分達は銃撃の射程圏から逃れられたようだが、シャーロット達が捕まった。燃えさかる炎の合間から「どっかんクッション」を盾に応戦する姿が見える。

リグナム(あいつ)と関わるといつもこうだ、ろくな目に遭わない!)

A・Jは忌々しげに舌打ちした。

「だが、こうなってしまったら仕方が無い!

おい立てお前ら!地下通路へ行くぞ!」

「行くって、アタシ達が!?」

マルギーが目を丸くした。

「他に誰がいる!副官達はもう動けんだろうが!

・・・お前はどっか行って隠れてろ!足手まといだ!」

そう言って、震えてしがみついてるシンディを引っぺがした。

一瞬ポカンと目を見張ったシンディの顔がみるみる赤くなる。

「なんですってぇ!?アンタ、アタシのさっきのパンチ見てなかったの!?」

A・Jはこっそり逃げ出そうとするスレヴィの襟首をつかみ、彼が置いていこうとしたKH時限弾を押しつけた。

「いらんがなこんなモン!ワイは行かんで!絶対嫌や!!」

「うるさい、時間が無いんだ!行くぞ!!」

「それっきゃ、ないッスね・・・。」

「ちょっと!待ちなさいよー!!!」

メイン司令塔へ向かって走り出したA・J達をシンディが追いかける。

「イーヤーやー!!!」

引きずられて行くスレヴィの絶叫が尾を引いた。

彼の手の中で最悪の時を刻むタイマー表示は、『00:59:03』。

すでに1時間を切っていた。

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