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ミッションコード:0Z《ゼロゼット》  作者: くろえ
ハルモニアの暴露
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変質者の暴露大会

白衣の母親はエーコ・タッカーと名乗った。

ナムの母親にしては随分と若い。年齢はハタチから数えてないそうだが、後でナムが36歳と暴露した。

「まったく、ほっといたらメール一文字も連絡よこしゃしない!この親不孝モン!!」

「止めろって!後にしろよ、そういうの!」

辛辣ながら会えて嬉しそうな母親に対し、息子の態度は捻くれている。

ナムは弟妹の目を気にしていた。彼らにはもう親は居ない。母親との対面なんて見せるのは気が引けるし、見られるのもいたたまれない。

そんな息子の気遣いを母は察したようだった。

すぐに息子を解放し、ポカンとこの状況を眺める弟妹達に営業用のスマイルで話しかける。

「いっつもごめんね~。このボンクラ、ぜっっったい迷惑掛けてるんでしょ~?」

「あ、ハイ。」

「うぉい、ロディ!!!」

露骨に狼狽えるナムが可笑しくてたまらない。ビオラが笑いをかみ殺す。

「お母様は、お医者様なんですか?」

「えぇ。と言っても、外科医なんだけどね。

連邦政府軍から大学に派遣の要請が来たから便乗したの。日頃こいつが面倒掛けてる皆さんに是非お詫びがしたくって♪」

「あら~、いいお母様♪」

カルメンがのっかってきた。

意気投合したようで、3人でキャピキャピと話が弾む。

内容は全部ナムの事。馬鹿にする、こき下ろす、からかう、おちょくる、痛い話で盛り上がる。

「・・・うっわ、うっぜぇ」

「何か言ったか?!」

母がジロリと息子を睨み、凄んだ時だった。


「ぎゃあー!痴漢ーーーーー!!!」


悲鳴が上がった。

「またあの子だわ!まったく!!」

エーコがC棟建屋の中に駆け込んでいった。

「・・・あの子?」

メンバー達は顔をみあわせた。


身体測定の会場になっているC棟1階の会議室は、騒然となっていた。

身長・体重測定器が幾つも置かれた室内で、半裸の青少年達が大混乱に陥っている。自分の服で胸元を隠して恥じらい、乙女のように逃げ惑うマッチョな男子達は少々滑稽でもあった。

「やだなぁ、痴漢だなんて!

覗いてたらちょっと触って見たくなっちゃっただけじゃん、大げさな~♡」

あっという間に空っぽになった会議室には、少しも悪びれない堂々たる態度で笑顔を見せる痴漢だけが残っていた。

長い黒髪を複雑に編み込んでまとめた、茶褐色の肌とグレイの瞳の、背の高い大柄な、少女。

痴漢ではなく、どうやら()()のようだった。

「やっぱりまたアンタね!?年頃の娘が何考えてんの!?」

駆けつけたエーコが声を荒げる。しかし少女はまったくもって動じない。

「いや~、訓練受けて鍛えられた 胸筋 が、あんまりナイスだったもんで♡」

「だから何?!勝手に触っていいわけないでしょ!

って、その前に男が脱ぐ度にいちいち覗きに来るなゴルァ!!」

「だって、女の子は更衣室とかに紛れてたらいつでも覗けるんだモン♡

男が集団で脱ぎ散らかす光景なんて、滅多にお目にかかれるモンじゃないし・・・。おっ!」

少女はエーコの後から好奇心に駆られて付いてきたナム達を発見した。

人なつっこい笑顔を見せる。こうしてみる分には、普通に可愛い娘である。

しかし・・・。


「おぉ!美女がいっぱい!どれどれ・・・?

ショートカットのおネェさんは、88・65・89!

金髪ロングのおネェさんは、87・62・88!

ちびっ子、凄いね~。89・69・87!!!♡♡♡」


「えぇぇーーー!!?」

あ、当たってる!?スリーサイズを看破された??!

カルメンとビオラが胸を、シンディがはウエストを庇って後ずさる。

目を剥いて驚く女達をよそに、少女はステキな笑顔でナムに向かってサムズアップしてみせた。

「アタシ、人のスリーサイズ見破るの得意なの♡ 喜んでもらえた?そこの兄さん。」

「・・・いや、ぶっちゃけどうでもいい。」

モカなら知りたいけど。

と、口を突いて出ようとした暴言は、カルメンの拳が阻止してくれた。


顔を真っ赤にしたカルメンが少女に向かってどやしつける。

「ちょ、アンタ、どーゆーつもりだ、いったい何者!?」

「アタシ?変質者。」

サラッととんでもない事を言ってのける少女に全員言葉を失った。

レアな珍獣を眺める気分だ。ナムはどつかれた頭をさする。

「変質者とか、自分で言うのかよ?」

「人の裸見るの好きなの。男は筋肉、女は曲線美!サイコーだよね♡」

「いや、同意求めんなって・・・。」

この珍獣、ひたすら明るい。

ケタケタ笑う陽気な変質者に、呆気にとられるばかりだった。


「くぉらぁー!マルゴット、またやらかしとんのかー!!!」

ドタドタと慌ただしい足音と、オッサンのだみ声が聞こえてきた。

少女の名はマルゴットというらしい。

どうやら覗きは常習のようだ。タチの悪い変質者である。

「ヤベ、ウチの局長だ!」

少女は軽やかな身のこなしで開いている窓の窓枠に飛び乗った。

逃げようとして思いとどまり、ナムの方へ振り向き非常に可愛くウィンクする。

「アタシ、第3支局の諜報員見習いなの。マルギーって呼んで!

そこの兄さん、今度胸筋見せてよね♡ じゃ、まったね~♪!」

「御免被ります・・・。」

ナムは慎み深く辞退した。

他のメンバー達とエーコは、去って行く変質者を呆然と見送るばかりだった。

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