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失った思い出  作者: ういもと
第2章 奈穂の物語
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18話 お風呂

「奈穂入っちゃっていいよ」


リビングに顔を出したお兄ちゃんがお風呂を勧める。


「え、でも……」


疲れているお兄ちゃんより先に入ることに躊躇う。


しかしお兄ちゃんはそんなことを気にしているどころか、お兄ちゃんしかいないため入りたくないと勘違いしていた。


「いえ、そうではなくて先に入っていいのかと」


そのため弁解する。


「それなら全然大丈夫だよ」


その結果、私はお兄ちゃんより入らざる得なくなった。


バスタオルの位置とか丁寧に教えてくれてお兄ちゃんの優しさに心が温まる。


「服は今日買ったのを取り敢えず着てて」


紙袋を置いてお兄ちゃんは出て行った。


私は今日の疲れを湯船に浸かりゆっくり休める。


しかしこの後入るお兄ちゃんのことを考えると恥ずかしい。


それにそんなに待たせてはいけないという考えもあり、長湯にならないうちに上がろうとした。


その時、お風呂のドアを誰かがノックする。


「えっ」


急なノックに深く入り、身構える。


「私だけど、奈穂って下着ないよね?」


声で久美子さんと分かり、一安心する。


「持ってないです」


「そーだよね、今、真輝に買わせに行かせたから」


え……


一方的に告げられた言葉で心拍数が上昇する。


男の人に下着を買ってもらうのに女の子としてやはり抵抗があった。


そんなことを気にしない久美子さんは帰宅したお兄ちゃんからコンビニの袋をひったくってきて風呂から上がった私に渡す。


お兄ちゃんが遅れてリビングにやってきた。


「すみません」


私は照れながらもしっかりお礼を言う。


「気にしなくていいよ」


言葉ではそう言っていたがやはり恥ずかしかったのか私の目から視線を逸らし、下を向いていた。


それにどこか落ち着いていなかった。


それが心配でお兄ちゃんのことを見ていると向きを変えてリビングから出て行こうとしていた。


「じゃあ、僕は寝るから」


しかしあることに気づいたのか足を止める。


「ところで奈穂はどこで寝るの?」


「あー、そうだったね、私のところで良い?」


反論できる立場でないため賛成する。そのため必然的にお兄ちゃんがリビングになった。


「じゃあ、おやすみなさい」


「おやすみなさい」


久美子さんの部屋で寝ることにした。


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