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失った思い出  作者: ういもと
第2章 奈穂の物語
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6話 奈穂の涙

目が醒めると知らない家にいた。


いや、私は意識してここに来ていた。


徐々に昨日のことを思い出し、理解する。


「おはよう」


お兄ちゃんが笑顔で話しかけて来てくれた。


そのことで私は完全に理解した。


父のこと


久美子さんのこと


ここまで必死に来たこと。


そして目の前にいるのが兄であること。


目の前にいるのが兄であるのは直感で間違いないと思った。


言葉では表せないが兄だとわかるのだ。


そして昨日の辛いことが蘇り、涙が自然と溢れた。


その涙は止めようとすればするほど溢れてきた。


あまりの恥ずかしさにタオルケットで私は顔を隠してしまった。


ちゃんと私は来ることが出来たんだ。


お兄ちゃんに会えたんだ。

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