3話 孤独
公園から歩き出した私はスマホだけを頼りに進んだ。
季節は夏で暑い日差しが私のことを熱した。
そのためか1時間くらい歩いたところで疲れが見え、歩くスピードが落ちていた。
しかしその分進んだことにより周りの景色はビルから住宅地に代わり、学校やスーパーなどが見えるようになってきた。
それまでは変わらないビルだけの景色に不安を感じていたが今ではその不安は薄れていた。
そんな気持ちの中、私は紙の住所目指してただ進んでいった。
その途中、やや大きめの公園があり、その公園で休むことにする。
そこには遊具が何種類かあり、小さな子どもたちが賑やかに遊んだり駆け回っていた。
「ねえ、お兄ちゃん待ってよぉ」
兄妹なのか一人の女の子が兄らしき人を追いかける。
ふと、私も幼い頃からお兄ちゃんと一緒だったらこんな感じなのだろうか、イメージをしてみる。
途端に恥ずかしくなり妄想を打ち消す。
しかし私のお兄ちゃんはどんな人なのだろうか。
そんな疑問が残った。
公園のベンチでそんなことを考えながら数十分休憩し、落ち着いたところで目的地に向かおうとした。
その瞬間、スマホが振動してお母さんからの着信を伝える。
まだ私はお母さんとまともに話せる自信がなく、電話を切ってしまった。
その刹那、胸に罪悪感が広がり苦しくなる。
しかし掛け直す勇気もなかった。
私は途端にそこに居たくないと感じ、紙に書いてある住所に急いで向かった。
この時、充電の残量が60パーセントを切っていたため4キロ直進のためしばらく電源を切ることにする。
そして4キロ先を目指してただ夏の暑さと蝉の鳴き声の中歩いた。
しかしスマホの電源を切ったことにより外と通じるものがなくなり孤独を感じて恐怖する。
周りは知らない住宅地。
目指すも知らない家でちゃんと会ったこともない人。
そんな不安もあるが戻るという選択肢がないため歩くしかなかった。




