別れ
音声さんがマスクを外した。
「エッ、それ、どういうこと???」太一が琴子に聞く。
「多分この人が社長だよ。皆の」と話した。
「ええエエエーーーーッ!!!こんなに若いの!!!!」戦隊チームの4人は驚く!
そこには琴子や笠原より若く見える、まるで少年みたいな青年がひっそりと立っていた。
「こ、この人が伝説の配信者…ウソ…」隆史が驚く。
身体も華奢だ。まるで少女みたいだ。
琴子なんかより何倍も美少女だ。
「あ〜あ、だから辞めとけと言ったのに〜」プロデューサーが頭を抱えた。
「いや、売られたケンカは買うよ。
まあ、楽しかったしね。久々」音声さんが急に態度デカくなった。
「会社設立したけど、新しい体験がなかなか無くって〜退屈してたし。
奥の手で取ってた警報機付きビブスまで使わなきゃいけないことになるとは!…楽しかった。」長年聞き慣れてた声で話す普通の人間は…スッと心を冷ましてくれた。
「そうか!だから海底でも鳴ったのか!僕らのビブスと最初から作りが違ったんだ!」太一くんが納得した。音声さん、いや社長のは普通の音なるビブスなのだ。
「参加してみて面白かったよ〜チームの最初思い出した…」やはり推しは配信者である事に飽きてしまったのだ。まず自分自身に。その先に夢が無いから続けるモチベが無いのだ。
その答えが、スッと身体に染み込む。
だって、自分がそんな人間だ。似てるのだ。冷めてると言うか現実世界に夢や希望なんか無いと思ってる。
それに恋も失ってる気配がする。きっと恋のために配信者になった人なのだ。
実際に会うと万能感は消えて、不器用な1人の男性がそこに居た。
メンバーみたいな配信者の先の未来、夢が推しには無かったのだ。
笠原はまだ色々信じられなくてボーッとしてる。
「俺…落ちたと思ったよ。琴子は分かってたんだ。なんで?」笠原が聞く。
「私の推しはね〜ムダが嫌いなの。
だから選考会の為に、島は借りないって。
これは、もう新しいキャラの為のフィールド作りなんだよ。撮影配信を念頭に置いてる。」と、説明したがイマイチ笠原には分からないようだ。
青い海から始まる新しいチームなのだが。
元推しチームとかぶる。
推しがそれなりに愛してくれてたことが分かる。
でも先が描けない、見えなくなったのだろう。
自分の居るままでは。
ミザリーみたいに足を切り落として言う事聞かせても
きっと琴子が見たい推しチームではなくなる。
現実の華奢な美少女みたいな棋士は盤上を動かす駒の中で自分すら余計な駒に見えたのだろう。
笠原を見る。彼には人生に成すべき夢が目的がある。
父の死で手に入れたそれを彼は人生を掛けて追うのだろう。
ふと手を握る。笠原が驚く。
「あなたの人生を死ぬまで観察したいわ。」推し活女の恋の仕方だ。
ううっ、自分の中で消化できたと思う。理屈は!
気持ちはまだまだずっと引きずるし無理だけど。




