三分の天秤に掛けられたもの
この世界で勇者役である私には三分以内にやらなければならないことがあった。
それはもちろん、今三人の仲間と来ている期間限定ダンジョンのレアボス討伐である。
現在そのダンジョン最下層まで攻略し終え、残るはボス戦という前で最終調整中なのだが、私にはある問題が発生していた。
「……皆、ボス戦前に一つ大切な相談があるんだが」
「なんだよリーダー、改まってよ」
そう最初に告げたのは仲間内でサブリーダーを務める、顎髭がトレードマークのジゲンであった。
ジゲンの隣には同じ仲間で女性ヒーラーである赤竜と長身タンク老人姿のヌリカベがキョトンとした顔で私を見つめて来ていた。
私は全員の顔を軽く見てから小さく息を吸った。
「申し訳ないんだけど、一旦ここでログアウトしていい? もう直ぐ、部屋に大魔王が来るんだわ」
「「……はぁ?」」
三人が同時にそう口にした。
これからボス戦という前にログアウトする奴など普通はいないだろう。だが、このままでは私には最悪な事態が待っているのだ。
「ちょっと待ってよリーダー! 訳が分からないのだけど?」
「赤竜が言う事は最もだ。だが、悠長に説明している時間がないんだ。目の前のボス戦と部屋で溜めてきた宿題を天秤に掛けたときに、机に向かって宿題をしている方が絶対いいんだ! 絶対三分でボス戦は終わらないから!」
「いやリーダー、あんた今日もう何時間ログインしてるんだよ」
「今日は時短授業だったから、五時間は入ってる! これはまり過ぎて止め時が分からないんだよ! 時間が溶けるだよ! このままだと大魔王にハードを破壊されかねないんだ!」
「それは大変だね~行っておいで~」
ヌリカベは優しく答えたが、ジゲンと赤竜は口が開いたままであった。
「頼む二人共、私に部屋で宿題する許可をくれ! この通りだ!」
「……あ、はい。もう行って来てください」
私は土下座のままチラッとまだ答えてないジゲンへ視線を向けた。
「はぁ~……はいはい、どうぞ」
ジゲンは頬杖をつきながらそう答えた。
私は全員から許可を貰いすぐさま立ち上がった。
「皆! ありがとう! これで私のあ――」
直後、三人の前から勇者が忽然と消える。だがその出来事に三人は驚く事はなかった。
そう勇者は別世界の大魔王によって消されたのである。
そして、残された三人は目の前で消えた勇者を見て同じ事を思っていたのだった。
「「(あ、電源から持っていかれたな)」」
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