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罪人  作者: 天内翔


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18/21

警視総監との協力関係

 あまり進展のないまま、十一月に入り、半分が過ぎた頃、新しい動画がアップされた。

 今回は、仮面に国会議事堂らしきものが描かれていて、半分は、だらけている顔、半分は般若のお面のような恐ろしい形相で2と書かれていた。今回の動画を早速流してみようと再生ボタンを押すと、このような内容だった。

「はい。皆さまこんにちは。十一月に入り、はや二週間、サツマイモや栗が美味しくなってきましたね」

とサツマイモや栗など秋の旬の食べ物がたくさん入っているスイーツを食べながら言っていた。

「さあ前置きはさておき、今日は十一月十五日で、七五三だね。七五三は、子供の成長を祝う日。だけど、その子供自体が少なくなってきてしまっている。だから、子供が成長するのを妨げているもの。子供自体が少なくなっている原因を取り除こうと思うんだ。みんなは思わないかな、年金って必要以上に多くないかって。現在の日本は、少子高齢化の一途を辿っている。昔はさ、ベビーブームなんかがあって、四人以上兄弟がいることも珍しくなかったよね。だけど現在は、兄弟どころか子供、いや、結婚すら減ってしまっている。そんな現状を僕は非常に嘆かわしいと思う。そこで老人たちにかけているお金を若者たちにかけてほしいと思ったのさ。今回のターゲットは、日本に住んでいる老人全員だ。犯行時刻は今夜十時頃。もし、この意見に賛同し、行動したいというものがいれば、ともに目的達成のため尽力してほしい。警察官諸君、並びに自衛隊など国家公務員のみなさん。さあゲームを始めましょう」

と言って、動画は終了していた。俺は、どんどん犯罪の規模が大きくなっているなと思った。

 同時に、相手の計画が全く不透明なことに疑問に思う。

 これだけ犯行を繰り返していたら目的が見えてくるはずなのに、しっかりとした形が思い浮かばないことに、これまで感じたことのない感情を抱いた。

 と熟考にも等しい状態になっていたとき、警部から呼ばれ、ついていくと、いつも警視総監がいる部屋だった。

 警部が、コン、コンとノックをする。ちょっと間を空けて、入れという声が聞こえ、警部が失礼しますと声をかけてから、お連れしましたと言った。

 警視総監である掘田英三郎が、高級そうなソファーに腰掛けていた。「まあかけろ」と堀田が言ったため、俺達は、近くにあった椅子に腰掛けた。急に堀田の話が始まった。

「現在、暴れまくっている犯罪者の犯行は今回で、四度目の犯行だ。最初が美術館の作品の窃盗。次が、囚人たちの逃亡幇助ならびに、拉致監禁。その次が、まだ捕まえていなかった指名手配犯を含む犯罪者の公開処刑。そして、今回の老人たちの殺害予告。これ以上犯行をさせるわけにはいかない。本当は、もっと早く警察だけで、解決したかったんだが、そうもいかなくなった。ことが大きくなりすぎたんだ。これは、もうただの窃盗から大規模テロに発展している。もし、今回また犯行をみすみすやらせてしまったら、警察機構だけでなく、国の機関全般の信用がなくなってしまう。だから今回は、他の課や自衛隊、消防隊員、救急隊員、その他国家公務員で力を合わせて犯行を防ぎたい。首相が非常にお怒りだ。当たり前だろう。こんな惨状になったら、私でも国のトップとして耐えられなくなる。そこで今回、私は、佐伯くん、君が解決の糸口になると思った。だから疑問点や甘い点があったらいくらでも言ってくれ」  

 と口角泡を飛ばして言った。俺は自分の現在の考えを口にした。

「現在犯人は三つの事件を成功させています。これら一つ、一つの事件は、とても多くの人員を必要とし、かつ、莫大な費用、あらゆる方面のプロの協力者などとても一人でも、平凡でもなし得ないような事をなしてきています。だから国会議員の関与がとても濃厚だと思います。一人ひとり、取り調べを行ったほうがいいと思います」

 と言った。堀田は、フンっと鼻を鳴らして言った。

「いい考えだとは思うが、あいにくと、犯行は今日行われる。今まで長い間犯行がなかったのはおそらくこの犯行のための準備期間のためだろう。おそらくもう段取りは決まっていると私はふんでいる。やはり、君はいい人材だ。犯人に優秀な刑事として連れ去られただけあるな」

 と少し憎ったらしく言われた。

「また用ができたら呼ぶかもしれないから、頭の隅に入れておけ」と力強い口調で言われた。俺は、部屋から出る前に、振り向いてこう言った。

「俺の妄想みたいなものだと思うんですけど、今回は、これまでとは全く違う気がします」

 それからすぐに失礼しましたと言い、すぐに退出した。


⚠︎本作はカクヨムでも投稿しています

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