67 朝の日課
朝になり、ムトウは起きて顔を洗う為に水を空中に出す
『ほぅ。見事な魔力操作だな。お主ただの冒険者ではないな?』
後ろから声がしたので振り返ると、白龍が起きていた
「おはよう。ちょっと魔法が使えるだけさ。それより朝ご飯にしよう」
顔を拭いて竈に鍋をセットして料理を始める
『···訳ありか···。まぁいい···朝は何を食うのだ?』
深く聞かない白龍は朝食が気になる様だ
「う~ん···お肉と野菜のサンドイッチでどうかな?前に討伐した『暴走猪』『狂化熊』『爆裂針鼠』の肉が大量にあるんだよね」
格納庫から各々の肉を出して積み上げる
龍ならこれくらい軽く食べるだろう
『ほぅ!爆裂針鼠とは珍しい肉じゃな。それが良い!』
どうやら爆裂針鼠を所望のご様子
『爆裂針鼠』
一定の範囲内にいる敵へ針を飛ばして攻撃をする針鼠
その攻撃は広範囲に広がり、回避する方法は無いと言われている
さらに針を飛ばす時に自身を爆発させ、爆発した針鼠は命を落とす
正に『捨て身の攻撃』となる
爆裂針鼠の討伐方法は『遠距離からの狙撃』以外は確立されていないが、土魔法『土壁』による捕獲は可能だ
しかし、『土壁』を解除しての捕獲時に爆発されて命を落とす者もいるので、捕獲する者は少ない
肉は柔らかく、草食ゆえ臭みもないので高級肉として有名である
「わかった。それじゃあ、串焼きと鍋で用意するよ。俺達は狂化熊の鍋でいいか」
材料が決まったので調理開始だ
まずは爆裂針鼠の針を抜いて串打ちだな
ムトウは熱湯に潜らせた爆裂針鼠の針を抜いていく
この爆裂針鼠の針は、熱湯を通すと面白い様に簡単に抜けるのだ
そして抜き終えた肉は串打ちと鍋に入れて各々調理する
今回はシンプルに塩味だ
そして次の狂化熊はバラ肉とモモ肉を鍋で煮る
暫く煮ると灰汁と油が浮くので、灰汁は丁寧に取り、浮いた油の量を調整する
油が多いと獣臭くて食べ難いのだ
適度に煮えたら野菜と塩·酒を入れて煮込めば完成だ
「さて、アリス達が起きてくる頃にはできるから、それまで鍛練でもしますかね」
洞窟の外は雪が降っているので、寝床より少し離れた入り口よりで自己鍛練を始める
「まずは剣かな」
格納庫からさまざまなな剣を取り出して素振りをする
次は的を用意して投擲
スリングショットでの射撃
刀による『型』
素手での仮想敵とのトレーニング
最後に魔法を使っての一通りの動きをして終了する
「ふ~っ···あっついから外の雪で冷やして来よう」
入り口付近まで移動して涼んでいると、奥からアリスがやって来た
「おはようアリス」
「おはようムトウさん。ご飯出来てるみたいだよ?」
アリスは朝食が出来た事を教えに来た様だ
「わかった。すぐに行くよ」
『浄化』で身綺麗にして合流すると、白龍が待ち切れないと言わん雰囲気でこちらを見ている
「遅くなっちゃったかな?すぐに取り分けるからね〜」
ムトウは焼けた串肉と鍋を白龍に出し、アリス達の分も取り分ける
「それじゃあ、食べよう」
『うむ。待ちわびたぞ』
「いただきます」
プルプル···
温かい料理に礼をして、朝食を食べ始めるムトウ達であった




