無題
ブラットスフィア攻略を終えた次の日の朝
眩しい光が降り注ぐ清々しい朝、竜域は新しい一日を迎える
爽やか朝に木霊する兵士達の訓練する声、小鳥の鳴き声、クリルの悲鳴
「我が君、如何為されました苦虫を噛みつぶしたような顔を」
「いやいや、朝っぱらからいきなり生首見せられたらそりゃあそうなるだろ!朝食を食ってる最中に見せるなっての!!」
「それと、こちら戦利品の魔導書ロードオブグリモワールと天磐船に御座います、他の魔導書は王城内の書庫に導入して御座います」
「おー…なんか変なオーラでてないか…?」
「“統魔の魔導書”の1冊で御座いますからね、その様なオーラが出るのやも知れません」
「統魔の魔導書?」
「は、この世には3統魔の魔導書と呼ばれる3冊の魔導書が存在すると言われております、古代魔族が創造し、3冊を揃えるとなんらかの力が発動するとも言われております、名前は“ロードオブグリモワール”“ロードオブソロモンズキー”“ロードオブエノク”でございます」
「ふーん…なんかすごいってのは分かった」
クリルが魔導書を持ち上げるとそのページを捲る
「あー…よくわからないな、後で読んどくか」
「御意、あ、それと我が君、迷宮が完成した模様です」
「え?早くない?」
「魔法や魔道具を使って地下5000mまで掘り進めました、一晩あれば十分です」
「ほえ〜…じゃあ次の段階に進もうか、魔物を生きたまま集めてくれ、大量にな」
「は、はぁ…?了解致しました」
「どれ、じゃあウィエウス達を労いに行こうじゃないの」
「は、今の時間は兵達の鍛錬の時間ですね、丁度中庭に居るかと」
「あれ…ちょっと待て、その天磐船…何か入ってるな」
〜〜〜
中庭では兵達が訓練に勤しんでいた、木々の花が咲き乱れ、風に乗った真紅の花弁の舞う、甘い蜜の香りが漂う中庭に、兵達の荒い息遣いが聞こえる、
「お〜い、ウィエウス元気か?」
「これは我が君…わざわざご足労頂かなくとも、呼んでいただければ私自ら参りますぞ」
「あぁ、まぁ気にすんな」
「こらお前達何をしているか!!王竜陛下の御成だ!頭が高い!!」
「まぁまぁ、そう固くなくていいってのにそういえば今ふと疑問に思ったんだけどお前らって私のことを竜王と呼んだり王竜と呼んだりしてるけど違いはあるのか?」
「恐れながら申し上げます、竜王陛下と言う呼び名は対外的に我が君の存在を呼称する場合であり、内的には王竜陛下、と呼ぶしきたりにございます」
「そうなのか〜…っと、本題を忘れる所だった、攻略お疲れ様、聞けば胸に傷が空いたらしいじゃん」
「わざわざそれを…このウィエウス…一生の不覚」
「いやいやいや、生きてんだからそれで良いって、でもその穴は痛むか?」
「いえ…それが確かに胸に穴が空いたはずなのですが…後一つ残らず完治しているのです」
「はい!?本当に理屈分かんないのか?」
「お恥ずかしながら…申し訳ありません」
「ふむ…不思議なものだな、まぁお疲れ様、仇は…討てたようだな」
「…は、このウィエウスに…障害唯一の、身に余る温情を頂き…このウィエウス、生涯、生命を賭してー」
「何言ってんだい、それに随分老けたんじゃないか?このヤドロク」
風で煽られた花弁の群れがウィエウスの視界を覆う、姿は見えない、だが凛と響くその声でウィエウスはその声の主を確信する
「ガルニエ…?」
「おう!」
「何故だ…?其方は…其方は…」
「何だよ、死人を見たような顔して」
「其方…もう何年も前に…」
「お前の持ってきた天磐船、あれにガルニエの魂のかけらが混ざってたんだよ」
「んー…最後ケルベロスにやられた時あの剣が一緒に飲み込まれてなぁ、肉体を離れる時強い力を持つそれに引き付けられた?とかな、ま、アタシも訳わからねぇよ」
「あぁ……ぁ…あガルニエ…」
「ん?」
「お帰り…!」
「おう…ただ今」
花弁の舞う中庭で2人は遂に再会を果たす
「さて…今代の竜王さんに聞く分には息子が来てるらしいじゃん」
「あぁ…そうだ…会いに行こう、2人で…私達の息子に」
そう言うと二人は歩み出す、中庭を出るとやがてその身は人混みに紛れて見えなくなる
途中王城のそこかしこで古参の王城勤めの竜達の驚嘆の悲鳴が所々で木霊する
「あー…あいつら幸せそうに出て行ったけど…練兵はどうするよ…」
練兵は近くを通りかかったヴェンデルに任せ先日紹介してもらった鍛治師の所へ行くことにした
兵士達はこの世の終わりみたいな顔してたが…流石に加減はするだろう
〜〜〜
王城を出て暫く歩いた所にあると言ったが…あそこか?
いかにもっぽい建物だな…だけど金属を叩く音も聞こえるしまぁ間違い無いだろ
「おーい、親父ー、いるかー?」
カーンカーンカーン
「おーい!」
カーンカーンカーン
「いるか親父ー!」
カーンカーンカーン
「……」
カーンカーンカーン
「とっとと出てこい数百年前のくたばり損ないがー!!」
「誰がくたばり損ないじゃああ!!!」
「おー、出てきた出てきた、お前が鍛治師だな?」
「如何にも…お前さんは?」
「王竜」
「へ?」
「あそこの王城に住んでる偉い人♪」
「まさか…んな冗談言うもんじゃ」
「お、これはこれは我が君、我が君もここに何か御用で…?」
「おー、ゴウメイか、ちょっと剣を打って貰いに、お前は?」
「私はここの鍛治師に用があってちょくちょく来ております、中々気が合う者で良く酒を酌み交わしております」
「ゴウメイ!この女にいってやんな!そんな自分を王竜陛下などと宣ってやがる!」
「おい…親父…」
「あぁ!?」
「この方…本物…」
「…へ?」
「本物の王竜陛下になんて事言ってんだー!!」
「だだだだって、まさか従者も連れずに街を歩くなんて考えねぇだろ!
「当代の王竜陛下は普通じゃない!!」
「ゴウメイお前今さらっと酷いこと言ったな、まぁそれはともかく、剣を打って貰いたい」
「はぁ…しかし俺の様な者で本当によろしいんで?」
「あぁ、私の執事がお前に剣を打って貰ったらしいが…中々の傑作だったな」
「…陛下…あの剣の出来栄えがお分かりになるんで…?」
「あいつの繰り出す攻撃に耐えうる硬度出せるなんてのは異常だと思うぞ?重力付与もする訳だし」
「ふむ…あの剣には仕掛けがしてある訳ですがねぇ…それは何かお分かりになるんで…?」
「強い魔素を感じたな…デッキ以外に魔石を使ってないか?それもかなり上等の」
「陛下…あんたになら寿命を減らしても最高の一本を打ってもいい」
「お、助かるぞ親父〜!」
「属性やスキル付与の希望は?」
「んー…こういうのって悩むんだよなぁ」
「時間はかかるが…完全オーダーメイドであんたのスキルも付与できるぞ」
「お?マジか親父!それってどうやるんだ!?」
「ん?あぁ、芯となる魔石にスキルを吸収させるだけだ、なんなら今ここでもできるぞ」
「ほえー…じゃあそうしよっかな」
「はいよ…じゃあこっち来てくれ」
「お邪魔するぞー…あっつ!!」
「そりゃあ中で火を焚いてるわけだからなぁ……そら、こっちだ、この魔石にあんたのスキルをかけて見てくれ」
「えっとー…こんな感じか…?」
クリルが手のひらから光の球を発生させ、魔石に吸収させる、魔石は金色に煌めいたと思うと心臓のように鼓動を始めた




