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第15話 再会(8)

夜。


王宮の自室。


窓の外は

静かだった。


エリオスは

寝台に横になったまま

天井を見ていた。


今日一日を

思い返す。


面接。


灰色の髪。


淡い瞳。


触れたい。


抱きしめたい。


名前を呼びたい。


離したくない。


思考が止まる。


エリオスは

額に手を当てた。


「……何だったんだ」


呟きが落ちる。


あんなことは

初めてだった。


頭が真っ白になった。


身体が勝手に動いた。


触れたいと思った。


抱きしめたいと。


初対面の令嬢に。


あり得ない。


そのあとも。


書類が進まない。


会議が頭に入らない。


副会長に帰された。


こんなことは

今まで一度もない。


エリオスは

ゆっくり息を吐く。


……疲れているのか。


王太子としての実務。


生徒会。


ここ数日、

休む暇もなかった。


睡眠も浅い。


そのせいかもしれない。


あるいは――


エリオスは

少しだけ目を細める。


魅了。


人を惹きつける類の

女もいる。


社交界では

珍しくない。


だが。


あれは、

少し違う。


……危険だ。


胸の奥で、

静かにそう思う。


あの瞬間。


自分が

自分じゃなくなる感じがした。


王太子としての自分。


生徒会長としての自分。


今まで積み上げてきたものが


一瞬で崩れるような。


あれは、

まずい。


エリオスは

目を閉じる。


無意識に、左の指輪へ触れた。


そして、

結論を出す。


――近づかない方がいい。


関わらない。


距離を取る。


それが一番だ。


「……気の迷いだ」


小さく呟く。


疲れのせいだ。


きっと。


エリオスは

そう言い聞かせて

静かに息を吐いた。


だが。


瞼の裏に浮かぶのは


灰色の髪。


淡い瞳。


冷たい指先。


そして――


リリアナ。


その名前だけだった。

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