第15話 再会(7)
面接が終わったあとも、
生徒会室には仕事が残っていた。
志願者の選考は、
すでに終わっている。
残ったのは、
いつもの業務だった。
書類。
報告。
次週の行事の確認。
いつもの業務。
いつものはずだった。
「会長、この資料ですが」
副会長の声がする。
エリオスは紙を見る。
だが。
文字が、
一瞬意味を持たない。
同じ行を
二度読む。
三度読む。
「……会長?」
エリオスは視線を上げる。
「ああ。続けてくれ」
返事が
わずかに遅れる。
会議が進む。
話は聞こえている。
理解もしている。
だが、
思考が途切れる。
灰色の髪。
淡い瞳。
冷たい指先。
――離したくない。
不意に、
その感覚が蘇る。
エリオスは
書類の上でペンを止めた。
……何だこれは。
こんなことは、
今まで一度もない。
「会長?」
副会長が
もう一度声をかける。
「今ご覧の資料は、
すでに確認いただいています」
エリオスは
一瞬、沈黙した。
「ああ……そうだったな」
視線を落とす。
確かに、
机の上の書類は
さっき見たものだ。
副会長が
静かに書類をまとめる。
「今日はここまでにしましょう」
役員たちが顔を上げる。
「残りはこちらで整理します」
エリオスは
わずかに眉を動かす。
「いや、まだ――」
「会長」
副会長が
静かに言う。
「今日はお疲れのようです」
一瞬の沈黙。
エリオスは
机の上の書類を見る。
確かに、
進んでいない。
「……そうか」
短く息を吐く。
「頼む」
副会長が頷く。
「お任せください」
エリオスは立ち上がる。
そのまま
生徒会室を出た。




