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第15話 再会(2)

アストレア王立学院高等部。


王都中央区から少し離れた丘に建つ、

王族と高位貴族のための教育機関。


この国で、

その名を知らない者はいない。


人々は、ただ「学院」と呼ぶ。


単なる学校ではない。


王宮の縮図。


王宮で起きる出来事は、

時にこの学院にも影を落とす。


ここで築かれる関係は、

そのまま将来の政治へ繋がる。


同級生は、

未来の同僚となり、

時に政敵となり、

あるいは盟友となる。


この国を動かす人間の多くが、

ここを通っていく。


そして時に、

王家の秘密もまた、

ここを通る。


基礎課程は共通。


歴史。

法。

神学。

外交。

戦略。

古典。


国を担う者として必要な素養を、

すべての学生が学ぶ。


その上で、

上級課程が分かれる。


■統治学課程

王族。

公爵家。

王権に近い侯爵家。

王宮勤務が確定している家系。


国家運営。

宮廷政治。

外交実務。

権力構造論。


国の「舵」を取る側の教育。


■法政課程

司法家系。

宮廷法務官の家。

裁定官や高等官僚を出す家系。


王国法。

条約法。

裁定制度。

行政制度。


国の秩序を

定め、守る側の教育。


■財政課程

財務官僚家系。

王国会計官。

国庫を預かる家系。


国家財政。

租税制度。

国庫管理。

貨幣制度。

予算編成。


国の「資金」を統制する教育。


■民政課程

大領地侯爵。

辺境伯。

実務家系。

都市や商会と結びついた家。


地方行政。

流通制度。

都市管理。

医療制度。

災害対応。

人口統計。


国民生活を支える制度と、

地方社会の運営を学ぶ。


国を止めずに

回し続ける側の教育。


■軍略課程

武門の侯爵家。

辺境伯家。

王国騎士団系の家。


軍事史。

戦略。

補給線。

要塞学。

国境防衛。


国を守る側の教育。


王太子エリオスが進むのは、

統治学課程。


その弟、ノアもまた、

同じ統治学課程に属する。


そしてリリアナが選んだのは、

民政課程だった。


王権の中枢で

国を動かす側と、


国を止めずに

回し続ける側。


立つ場所は、

最初から違っていた。


そして――


ここは、

縁を結ぶ場所でもある。


十六歳を迎える頃、

社交界も

活発になりはじめる。


多くの令嬢が

高等課程から入学する理由も、

そこにあった。


婚約。

家同士の結びつき。


未来の配偶者と出会う場所。


それもまた、

この学院の役割だった。



学院北棟の奥には、

研究棟がある。


王宮研究官が管理する、

許可制の研究区域。


王国史料。

古文書の解読室。

地誌と統計資料。

医療制度の研究。

薬理・植物研究。

法制度の旧記録。


王立図書館と連結し、

選抜された学生のみが

閲覧と研究補助を許される。


学生は研究者ではなく、

助手として関わる。


資料整理。

統計補助。

標本管理。


そうした役割を担う。


また研究棟には、

資料研究区とは別に、


薬理や植物学などの

実証研究を行う

実験研究区も設けられている。


学院の理学系授業の一部も、

そこで行われていた。


学院の表には出ない、

もうひとつの学術区画だった。



そして――


生徒会。


学院自治の機関でありながら、

王宮との正式連絡窓口でもある。


規律。

行事。

研究区の許可審査。

外部交流。


学院の頂点。


生徒会に名を連ねることは、

この学院における最高の名誉の一つとされている。


その名は記録に残り、

卒業後の進路に直接影響する。


王宮官職、行政機関、

あるいは国家事業の中枢に進む者の多くが、

かつてこの席に座っていた。


つまり――


生徒会とは、

未来の国家中枢を選ぶ場所でもある。


その長に立つのが、

生徒会長。


王太子――エリオス。

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