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記憶改竄的現世界物語  作者: さも
第3章:贖罪を求めて
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第27話:致命的な判断ミス

ゴーン、ゴーンと鈍い鐘の音が頭をよぎる。


自分が何を考えているのか、それさえも分からない。

一つ分かるとしたら、今の俺が如何いかに絶望しているかと言う事だけだ。


―――― キッ....と言葉にならない悲鳴が季子から聞こえた。

反射反応で季子から投げ飛ばされたテラの遺体は、気づくとバルトの姿になっていた。


ムクリと起き上がると、バルトは狂気的な笑みを浮かべ、こちらを睨んだ。


「ブーツは偽装能力。仮面は人心掌握。君等は遺品の本当の恐ろしさを知らない」


ケケ、フヒヒと気色の悪い笑い声を上げながら、バルトは自身の腕をかきむしった。

皮膚が剥がれ爪にこびりつき、血が表面に滲み出る。


滲み出た血が何かしらの文字....魔法陣を展開した。


「人はいつも自分が正気だと言い訳する」


「自分が狂気に染まっていても、自分は正気だと開き直る」


「人に難癖付けて自分を正当化するんだ....」


「狂気は正気を突き詰めたその先にあるものだと言うのに」


奇妙な笑みを浮かべるバルトは、腕の血文字をなぞりながらブツブツと何かを呟く。


「遺品は人の狂気を気付かせてくれる。人が持ってる狂気を!失われていた文明を!人類が未だ到達したことのない聖域を!」


「明朝は隣国を腐敗した。ケケケ....とても不快だ。だが、その背徳感に蝋燭が崩れていてとても狂乱だった」


「お前何を言って....」


バァン!とビルに響く爆発音。

バァン!バァン!バァン!と連鎖して音がなる。


「マズイ!伏せろ!」


先生がそう叫ぶと同時に、部屋が大爆発を起こした。

瓦礫が飛んできたが、先生がウッドソードで消してくれた。


ゴゴゴゴゴ、と鈍い音を立ててビルが倒壊していく。

ものすごい量の煙で視界がよく取れない。


風が舞い、バルトの灰....いや、恐らくあれはテラなのだろう。

テラの灰が宙に舞ってしまった。


「テラの生命エネルギーは俺の物だ!俺の!....ハハハハハハハ」


フェードアウトしていくバルトの笑い声。

この煙の中、そしてこの状況下で彼を追うことは不可能。


逃げられた。


しかし、この状況。

ビルが倒壊して行き、地面に叩きつけられ上から瓦礫が降ってくるこの状況。


――――死ぬ。








世界から色が消える。

その瞬間。俺等は倒壊するビルを眺めていた。


「せっかく解かれた呪いも、爪痕残されちゃ解けた気がしないのね...,」


ミレイ・ノルヴァだった。


「助かったよ、ミレイ....」


「助かったよ、じゃないわよ。貴方ならあのビル丸ごと消すことだって出来たでしょう?」


数秒黙り込み、先生が何処か元気のない様子で口を開く。


「僕はまた判断ミスを犯した。致命的なミスだ。だから判断が遅れたんだよ」


「テラの事ですか?」


季子が無慈悲な横槍を入れる。

グッ....と言葉詰まらせる先生の表情には屈辱的な感情が浮かんでいた。


「....あぁ」


「先生はあれがテラだって見抜けましたか?」


再び言葉を詰まらせる。


「....あぁ」


「―――嘘ですね」


「落ち着いて考えれば見抜けたかも....なんて考えてるならそれは大間違いですよ先生」


「腐ってもバルトとテラは兄妹。血の繋がりまであるんです。そんな人間に演技されたらどんな生物でも見抜けませんよ。ましてや遺品の力が加わっているんだから尚更です」


俊介先生は、何処か気が楽になったような表情を見せたが、それでも屈辱的感情を拭いきれてないようだった。


「やーい俊介。お前人間なんかに諭されてやんの」


聞きなれない声。

みんなの視線が一瞬で一カ所に集まる。


「グリシア!」


ミレイ・ノルヴァが声を上げる。


グリシア....?

グリシア・ヴァレン!覚えている。たしか馬場さんを殺したって言う....。


嘘だろ!?見た目小学生って言われても違和感無いぞ?

この女の子が馬場さんを....?


「なんの用だ?」


俊介先生がグリシアを横目で睨む。


「おぉ、こわいこわい。マヨイ様がお呼びなの。シュンの件でね」


「マヨイが?珍しいこともあるのね」


グリシアの手には【移】の文字が握られていた。


「はい、これ。ヴィクセンから借りてきたから」


「今すぐ行けってか?....ったく」


肩をパンパンと払い立ち上がる俊介先生。

先生が【移】の文字に触れると、姿が一瞬歪みその場から先生が消えた。


「ほら、貴方達もどうぞ」


グリシアの誘うままにみんな【移】の文字に触れる。

最後俺一人となった時に、グリシアが声をかけてきた。


「貴方が勝治ね。ずっと警戒してたみたいだけど、誰かにあたいの事聞いた?」


「まぁ、警戒されてるって事はあまりいい噂じゃないんだろうけどね」


そう言ってグリシアが俺の手を握った。

その瞬間今度はあたりの空間が歪み、ブロックノイズを走らせながら戻っていった。


シンクのカーペットに高そうなデスク。

その奥には膝を立て手の甲に顎を乗せて居る女性がいた。


「ほい、到着~♪」


グリシアのテンションが妙に高い。


その女性の横に立っている女性は側近だろうか....!!?


側近の女性に九尾の尻尾が生えている。

人間じゃないのは見ただけで分かるが...もしかしてここはつまり。


――――ヴァレン家....!


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